2022年D1GPシリーズの第4~5戦「EBISU DRIFT」が、8月20~21日に福島県・エビスサーキットで開催されました。シーズンの折り返しとなる本大会。ASCII.jpが応援するTeam TOYO TIRES Driftの活躍をリポートします。
災害から復活したエビス西コースで
ドリフトの祭典が開催

ドリフトの聖地だった南コースがダート路面の「スライドパーク」に改修したことから、今回からコースはエビスサーキット最長の西コースの一部が使われることになりました。西コースでの開催は2020年以来2回目。


令和3年2月13日に発生した「福島県沖地震」により、壊滅的な被害を受けた西コース。コースそのものは復旧しましたが、山肌からは当時の被害を今も伝えています。被災箇所はバンクが設置され、今後ここで大会を開催する予定とのことです。


競技区間はメインストレートから第2コーナーまでです。スタートしたらホームストレートで約160km/hまで加速し、審判席前あたりでドリフトを開始。すぐさま減速をして1コーナーをクリアしたあと振り返して、ヘアピンのような2コーナーを旋回。立ち上がったところでフィニッシュとなる、下り基調のS字コースとなっています。

ポイントは1コーナーの侵入。コントロールを失ってコースアウトし土壁に突っ込むクルマが何台も見かけました。



Team TOYO TIRES Driftは、今大会から新タイヤ「PROXES R888R Drift」を投入。名前は昨年までのタイヤと同じですが、今年のレギュレーションに合わせて仕様変更をした別物とのこと。さらにリアタイヤのサイズを20インチにアップ。ですが同デザインのグラムライツ・ブランドの19インチフロントホイールが間に合わなかったようで、前後で異なるホイールを装着していました。


#66 藤野選手、#88 川畑選手が乗るGR86は熟成も進んでいる様子。新タイヤの効果もあって、金曜日の公式練習から高得点を連発! 大会に期待がもてそうです! ちなみにカーナンバーの66と88は、2つ合わせると、今年から使用しているマシン「86」になるから、という理由で選ばれたのだそうです。
【第4戦・単走】川畑選手4位、藤野選手10位で追走進出
追走トーナメント決勝進出をかけた第5戦の単走決勝は、土曜日の午前中、曇り空の下で行なわれました。抽選の結果、川畑選手はAグループ3番目、藤野選手はBグループ3番目からの出走となりました。97点後半の走りをすれば、追走進出ができるだろう、というのが関係者の予想。





全選手の走行が終わって、川畑選手は4位、藤野選手は10位で追走トーナメント決勝進出をはたしました。しかも、トーナメントのラダーはそれぞれ違う組に割り振られ、決勝まで同門対決はナシという、チームとしては理想的な展開。ちなみに単走優勝は#70 横井選手(D-MAX)が獲得しました
【第4戦・追走】濡れた路面に苦戦
追走トーナメント決勝前の昼休み中に空から雨粒がポツポツ。一旦は止むものの、14時10分からの走行開始時間には、またしてもポツポツと降り始め、路面はセミウェットに。ラバーが乗ったところに、水が少し乗るという滑りやすい状況になりました。さらに気温も一気に冷え、半袖では肌寒さを覚えるほど。当然、路面温度も低下。これがチームの命運を左右します。


ベスト16戦の対戦相手は、川畑選手が#69 秋葉選手(Team BOOSTAR VALINO)選手、藤野選手が#31 蕎麦切選手(SHIBATA RACING TEAM SHIBATIRE)です。
川畑選手の対戦相手である秋葉選手は今シーズンからD1に参戦した若手。過去の最高成績は第3戦の13位です。川畑選手はここで格の違いを見せつけたいところ。空からは一旦は止んだ雨が降ります。滑りやすい路面の中、川畑選手先行の1本目に事件が起きました。

スタートダッシュで秋葉選手を引き離そうとした川畑選手。結果、1コーナーをオーバースピードでコースアウトし、土手に突っ込んでしまったのです。後ろにいた秋葉選手も土手へ。川畑選手は48点の走りに20点の減点で28点、秋葉選手は41点の走りに後追いポイント0で13ポイントのリードを許してしまいます。


車両はバンパーを壊した程度で大きな損傷はない模様。川畑選手後追いの2本目を迎えました。川畑選手は秋葉選手を追い回すものの、滑りやすい路面に苦戦。結果、なめらかな走行にはならず、DOSSの点数は伸びず。秋葉選手73点に対して、川畑選手78点に後追いポイント7。結果114対106でベスト16戦で敗退。単相順位の結果から9位となりました。


藤野選手と蕎麦切選手は昨年オートポリスで対戦しており、その時は藤野選手が勝利しています。雨が上がり路面も乾いた蕎麦切選手先行の1本目、藤野選手はやや間を開けて蕎麦切選手にプレッシャーをかけ続けます。蕎麦切選手97点の走りに対して、藤野選手も97点の走り。後追いポイントは5。


藤野選手先行の2本目は、スピードの面で圧倒。藤野選手98点の走りに対して、蕎麦切選手97点の走りに後追いポイント0.5。結果、藤野選手がベスト8に進出します。

藤野選手ベスト4の対戦相手は、#99 中村選手(TMAR×TEAM紫)。前回の奥伊吹戦で2連勝している相手です。藤野選手後追いの中村選手97点の走りに対して、藤野選手は少し空間を開けて97点の走り。後追いポイントは5。


藤野選手先行の2本目。中村選手は接近度の高いドリフトを見せて後追いポイント12点を獲得。さらに藤野選手にフライングもあって、中村選手の勝利。藤野選手は6位で土曜日の大会を終えました。大会は#79 目桑選手(Freem TEAM G-meister)がうれしい初優勝を果たしました。
RQは浴衣に! 夏っぽくなった会場の様子









Team TOYO TIRES Drift GALSの安西さん、山本さんは、土曜日は夏コスチューム、日曜日は浴衣姿でチームを応援! 浴衣の柄は、よく見るとタイヤのトレッドパターンであるほか、帯止めにもタイヤのミニチュアやTOYO TIRESのロゴが入るなど、とても凝った作りになっています。ちなみに耳飾りはふたりとも折り鶴で、勝利への願いが込められています。


物販ブースでは、珍しく新作グッズはなし。ですが、今回は購入された方にウェットティッシュプレゼントというサービスを実施していました。

他カテゴリーと比べ、選手のファンサービスが手厚いのもD1GPの魅力。今回も追走トーナメント前にコース内に入って、長い時間マシンと選手の写真を撮影したり、サインを求めるなど、楽しい時間を過ごされていました。また、今回は選手自らトレーディングカードを配るというサービスも。枚数が少なかったため、入手できた人は少なかったものの、こういった試みが多いのもD1の魅力です。YouTube中継も楽しいですが、ぜひ会場に足を運んでいただければと思います。

【第5戦・単走】川畑選手4位、藤野選手7位で追走進出
GRスープラの松山が単走優勝

前夜からの雨が上がり、好天に恵まれた日曜日。前日よりも気温は高く、夏が戻ってきたようです。ですが、時折秋の風を感じ、そしてコースサイドには赤トンボの姿も。


午前中に行なわれた単走決勝、藤野選手はBグループ、川畑選手はCグループからの出走となりました。





【第5戦・追走】川畑選手が3位入賞で
シリーズランキング2に浮上


ベスト16戦の対戦相手は、川畑選手が蕎麦切選手、藤野選手が秋葉選手と、前日とは逆の展開。

川畑選手先行の1本目。川畑選手は速さで蕎麦切選手を圧倒しただけでなく、綺麗な走りで99点を記録。一方、蕎麦切選手は97点の走りに後追いポイント3点で、わずか1点のリード。

入れ替えての2本目。1コーナーでややダート乗って3セクターで失速気味になるものの、終始蕎麦切選手を追い回す川畑選手。蕎麦切選手97点の走りに対して、川畑選手も97点の走りに後追いポイント7.5でベスト8に進出をはたします。

藤野選手と秋葉選手の対戦。藤野選手先行の1本目で、1コーナーで秋葉選手が後ろからプッシング。これで藤野選手のフロントが壊れてしまいます。秋葉選手に20点のペナルティポイントが与えられ、藤野選手は大きなリードを得ます。

修理しての2本目。普通に走れれば勝てるのですが、クルマが直っているのかが気になるところ。そしてダメージは相当深刻で、最終コーナーではコースアウトすることに。後追いもほとんどできず。ですが逆転されるには至らず、藤野選手もベスト8へ進出。次の出走までの間、ステアリングラックまで交換する大手術が行なわれることになりました。

川畑選手のベスト8戦の対戦相手は#15 植尾選手(VALINO)。ベテラン同士の対戦です。川畑選手先行の1本目、植尾選手もピタリとつけていきますが、最終のヘアピンコーナーでマシンストップ。ここで勝負が決し、川畑選手のベスト4進出が決定。

手負い状態の藤野選手のベスト8戦の対戦相手は、地元チームであるTeam ORANGEの21歳、#57 柳杭田選手。今大会からの参戦です。マシンは直っているのか注目を集めた藤野選手の後追いの1本目、若手に対し要所要所でつけていきます。柳杭田選手97点に対して、藤野選手は93点に後追いポイント7点。ちょっとDOSSの点数が伸びていないのが気になります。

入れ替えての2本目。速さで勝る藤野選手に追いつくことができない柳杭田選手という展開。これは勝利したと思いきや、藤野選手にジャンプスタートの裁定が。結果、藤野選手97点の走りで7点の減点。柳杭田選手は95点の走りに後追いポイント1。藤野選手のベスト4進出はならず、単走の結果から6位で大会を終えることになりました。
ベスト4に進出した川畑選手。その対戦相手は単走優勝者の松山選手で、TOYO TIRES同士の対決であり、最速進入同士の対戦でもあります。

松山選手先行の1本目、川畑選手はとんでもない後追いで1コーナーに侵入。ですがあまりに近すぎて出口でハンドルを戻してしまいます。その後も松山選手を追い立てます。松山選手100点の走りに対して、川畑選手は97に後追いポイント2。

川畑選手先行の2本目。松山選手は1コーナーで流れてミス。その後、追いきれず。一方、川畑選手は最終セクターでハンドルの戻りのミスが。川畑選手97点の走りに対して、松山選手も97点。そして後追いポイントは2。結果、川畑選手が敗退。単走順位の結果から3位入賞が確定しました。



決勝は中村選手と松山選手の対戦。松山選手先行の1本目は、松山選手がオーバースピードでコースアウト。後ろについていた中村選手もコースアウトしてしまうのですが、その際に後輪右側のタイヤが外れる(ビート落ち)が発生。ビート落ちは失格扱いのため、松山選手のD1初優勝を飾りました。


2位の中村選手は順位こそつくものの、ノーポイントの裁定。その結果、シリーズランキングは1位が横井選手の90ポイント。2位に川畑選手の79ポイント。3位の中村選手の78ポイント、4位に松山選手、5位に藤野選手と続いています。
次戦は九州・オートポリス
得意なコースだけに期待大!
次のD1GPは10月22日・23日の2日間、オートポリスで開催されます。オートポリスは2年前、藤野選手が手首を負傷しながらも単走100点を連発した地でもあり、期待が高まります。川畑選手・藤野選手に今大会の振り返りと次戦の意気込みを聞きました。

川畑選手「新しいタイヤと20インチはいい感じで、戦闘力が上がったように思います。初日はオーバースピードでミスをしてしまったけれど、今日は3位までこれてよかったです。今年はドリフトを楽しむ、ということを念頭に取り組んでいるので、楽しい大会でした。次回も頑張りますし、上を狙っていきたいですね」

藤野選手「新しいR888RDに20インチ化で、マシンの完成度は高まった印象です。久々の西コースでしたけれど、やっぱり壁に向かって走るのは怖いですね(笑)。今回はもうちょっと上を行けると思ったんですけれど……。(次回のオートポリスは)頑張ります。そして出直します(笑)」

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