昨年フルモデルチェンジをして12代目が登場したHondaのCIVIC(シビック)に、待望のe:HEV(ハイブリッド)が仲間入り。「ハイブリッドって、どうせエコカーでツマラナイやつでしょ?」と思って試乗したら大間違い! 実に“爽快”で“正解”な1台でした。
走りがさらに楽しいシビック e:HEV


走りが楽しい12代目シビック。MT設定があるということもあって、約1年前、MT大好きのモデルでタレントで女優なショートカット党員の新 唯(あらた・ゆい)さんに試乗してもらったときに「シビックは家族持ちにはいいですよね」と好印象を抱かれておりました。というわけで、今回のe:HEVユニットを搭載した仕様も試乗をお願いし、エンジン車との違いについてインプレッションしてもらいましょう。
まずはEVに近いハイブリッドということで名づけられたe:HEVについて。高効率のエンジンに、発電用と駆動用の2つのモーターを搭載し、状況に応じてそれぞれを自由に動かせる構造としています。具体的には発進時や低速時は1つのモーターで走行。駆動バッテリーが減ってきたらエンジンを回して、もう1つのモーターを発電機として使って充電しながらモーター走行。高速域ではモーター駆動はやめて、エンジンだけで走行。これによりモーターとエンジンのそれぞれ「いいところ」どりで、効率のよい走りを実現しようとしているわけです。

このe:HEVユニットを搭載したモデルは、既にFITやVEZELで採用されています。それらは1.5リットルエンジンを使ったもので、既発売のシビックが1.5リットルターボエンジンだから、それらと同じe:HEVをシビックに搭載するのかなと思いきや、何と排気量は2000㏄にアップした新開発ユニットというから驚き。


驚くべきは1ストロークあたりの最高4回燃料噴射する多段噴射によって業界トップレベルの熱効率41%を達成したこと。つまり環境にお優しいエンジンというわけです。気になるエンジンの最高出力は141PS、最大トルクは18.6kgf・mと控えめで「やっぱりエコカーのエンジンじゃないか」と思いがちなのですが、シビック e:HEVが搭載するモーターの最高出力は184PS、最大トルク32.1kgf・mと、エンジン仕様のシビック(182PS/24.5kgf・m)を大幅に上回るので、クルマとしては「こっちの方が速い」といえるかも。
でありながら燃費はWLTCモードで、ガソリン仕様の16.3km/Lを大幅に上回る24.2㎞/Lを達成しているのです。さらにe:HEV仕様はレギュラーガソリンに対応。ガソリン仕様はハイオク専用車なので、お財布にもうれしいというわけです。


ガソリン仕様と外観での違いを見出すのは難しく、しいて言えばエンブレム類のみ。Hマークの内側に青の差し色が入り、リアにe:HEVのエンブレムがある程度。他には? と探してみると、タイヤがグッドイヤーではなくミシュランの、しかもパイロットスポーツに変更されているではありませんか。タイヤが違えば走りが違うのは言うまでもありません。担当者に話を聞くと「クルマのキャラクターに合わせて、ミシュランをチョイスしました」とのことでした。



内装はガソリン仕様の上位グレードと同等。グレードは1種類のみというシンプルな設定です。内観でガソリン車のCVTと大きく異なるのは、シフトがレバー式からボタン式に変わっているところでしょう。「シンプルでイイモノ感がありますね」という唯さん。ちなみに唯さん的には「エアコンの送風口がメッシュなので掃除が大変そう」との疑問が。その事をインテリア担当デザイナーに尋ねたところ「掃除機で簡単に綺麗になりますよ」だとか。ちなみに駆動用のリチウムバッテリーはリアシート付近にあるそうですが、それによって足元が狭くなるといったことはありませんでした。
シビックらしい軽快なハンドリング
走りの楽しさをスポイルしないe:HEV



まずはガソリン車のCVTとMTで感覚を取り戻すことから始めましょう。CVTでワインディングを走ってから、同じ道をMTでドライブ。峠道を登ったり下ったりして「シビックは楽しいクルマですね。安定感が高くて、道が荒れていても怖くないんですよ」と、シビックの良さを再確認。MT大好き唯さんのことですから、CVTよりMTの方がお好みかと思いきや「MTは楽しいですけれど、CVTの方がクルマの性格にあっているかも」というのが唯さんの評価。ともあれ気持ちのよいクルマということに代わりありません。

それではe:HEVにチェンジ。アクセルを踏み込んだ瞬間から「このクルマ、イイ! まどろっこしさがなくて、スーッと進むんですよ。それが気持ちイイんです」と、いきなりの絶賛。「ハイブリッド車にありがちなエコ感というか、進まない感じがしないんです」というわけで、エコとは逆張りの走りのよさ。

電気自動車は発進トルクが太い=加速感が強い一方、速度が乗ると頭打ちっぽい感覚になったりすることがあるのですが、新型e:HEVはスムーズにエンジンへと切り替わり、その感覚がない! といってよいほど。さらに無段階変速なのに、DCTのようなステップAT感があるのです。早い話「楽しい!」というわけです。ステップATのような感覚なので、パドルを使ったらMTみたいな走りができるのかな? と思いきや、これは回生量の調整用で叶わず、ちょっと残念。

ハンドリングの良さはそのままに、静粛性アップ。さらに言えばタイヤが変わってしなやかな乗り味に。「乗り比べると、なんとなく車のキャラクターに合わせてタイヤを変更した理由がわかるような気がしました。ハンドリングの楽しさを求めるとグッドイヤーかもしれませんが、e:HEVの静かさであったり、乗り心地の良さを求めるとミシュランなんでしょうね」。
SPORTモードにすると、排気音やエンジン音が変わります。このエンジン音はスピーカーから出ていているのですが、言われないとわからないかも。この音は「ンバァァァァ」と喜ぶ人もいれば、「なんか唸っている」とも。というのもイマドキのターボサウンドではなく自然吸気サウンドだから。唯さんは、どちらかといえば後者のタイプ。音はもっと過激にしても、よかったかもしれません。

こうして乗ってみて唯さんの感想は「今までハイブリッドって好きじゃなかったんですよ。シビックe:HEVは初めてハイブリッドがイイと思った1台です。シビックを買うならコレですね」というように、なんとガソリン車ならMTよりCVT、ガソリン車を選ぶならe:HEVを選択するという驚きの結果に。「e:HEVが一番ストレスフリーな感じがしました。今回のシビックは爽快がコンセプトということですから、もっとも爽快な気分が味わえるのは、このe:HEVな気がしました」。

シビックe:HEVは、エコでありながらドライビングが愉しめる素敵な1台でした。試乗後、唯さんはシビックe:HEVと一緒に自撮りをしてツイート。そこに書かれた「快適すぎて良いお車でした」という一言が、このクルマのすべてを物語っています。
昨日、CIVIC e:HEV乗りました
快適すぎて良いお車でした✨ pic.twitter.com/Ku0ebWbQsL
— 新唯ミスSPA!オーディション2022挑戦中 (@arata_yui_) July 14, 2022
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モデル紹介――新 唯(あらた ゆい)

10月5日栃木県生まれ。ファッションモデルとしての活動のほか、マルチタレントを目指し演技を勉強中。また2022年はSUPER GTに参戦するModulo NAKAJIMA RACINGのレースクイーン「2022 Moduloスマイル」として、グリッドに華を添える。