オールマイティーさが魅力のクロスカブ
地球上でいちばん売れているオートバイといえば、これはホンダ・スーパカブ。世界中のどこへ行っても見かける、郵便・警察・銀行・出前の足であり、お仕事のパートナー。なにせ、生産累計1億台を超えたのが2017年。

そして今、スーパーカブファミリーは遊びの足や趣味の乗り物として、どんどん人気が高まっている。街乗りによし、ツーリングによし、仕事にもよし。カブファミリーでロングツーリングは、一種のブームにさえなっている。

中核にいるのは、やはりスーパーカブファミリー史上もっともゴージャスな「ハンターカブ CT125」だ。アウトドアムード満載、走りもどっしり。けれど、しっかりしすぎて、逆にスーパーカブ感が希薄なハンターカブは、もはやカブファミリーではなく、別のオートバイと考える人も少なくない。そこで注目されているのが、「クロスカブ CC110」だ。
ハンターカブと同じく、スーパーカブのバリエーションモデルで、ハンターカブよりも前の2013年に登場。2018年にはフルモデルチェンジを受け、スーパーカブの代名詞ともいえるレッグシールドさえ取り払ったスタイリングにお色直しした。50cc、110ccの2ラインナップだが、やはり公道30km/h規制を受ける50ccよりも110ccの方が、行動範囲も広く使い勝手もイイ。




そのクロスカブが2022年にマイナーチェンジ、最新の排気ガス規制に適合し、エンジンもボア×ストロークを変更してロングストローク仕様に。
その新型クロスカブは、走りの印象がガラリと一変。エンジンの回転フィーリングが滑らかで、振動が少なく、回転フリクションを感じさせない特性となった。旧型からトランスミッションがややローギアードに振られているから、ローギアからの発進が力強く、ギアのつながりがいい。トップ4速もローギアードにされているから、最高速ではエンジンの回転数が上がってうるさいのでは? と思いがちだけれど、そこはロングストロークエンジンのおかげもあって、エンジンがうなるほどではない。シフトアップごとに力強く、最高出力が変わっていなくてもパワーアップしたような印象があった。



車体まわりも、スポークホイールからキャストに変更されたことで、走りがカッチリしたわけではない。ただしディスクブレーキの採用で、制動・減速がはるかに良くなった。ブレーキレバーを握り込めばコントロール性はよく、制動力も強い。キャストホイールは、走りの質というよりもチューブレスタイヤを履けるようになった効果が大きく、これはスーパーカブファンが一番喜ぶところかもしれない。
カブだからこそ気楽に走れる
110モデルなら道路の流れに乗れる
もちろん、カブなので最高速はそれなり。30km/hを超えると切符を切られる原付とは違い、ピンクナンバーの原付2種はまわりのクルマの流れにあわせて走れるから安全性も高い。さらにクロスカブはおそらくトップ4速の60km/h(法定速度)にギアレシオを合わせているのか、60km/hくらいの速度域で流すのが気持ちいい。






さらにクロスカブ110(だけではない、原付2種全体のメリットとして)は、ギアを4速に入れて、ついつい幹線道路を気持ちのいいスピード域で流していても、せいぜい50~60km/h。これなら免許だって安心なのだ。
ちなみにこの取材の日に燃費もチェックしたところ、都内を走って約61km/L、信号の少ない郊外を流して約65km/Lといったところで、カブらしいスーパー好燃費はきちんとキープしている。

【まとめ】ハンターカブもいいが
軽くて安いクロスカブをオススメしたい
今カブファミリーのベストセラーといえばハンターカブ 125だけれど、クロスカブ 110は、ハンターカブ 125よりも13kg軽く(クロスカブ107kg、ハンターカブ120kg)、77000円も安い(クロスカブ36万3000円、ハンターカブ44万円)。ハンターカブ指名買いでもない限りは、選択肢のひとつに入れておくことをオススメしたい。
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■筆者紹介───折原弘之
1963年1月1日生まれ。埼玉県出身。東京写真学校入学後、オートバイ雑誌「プレイライダー」にアルバイトとして勤務。全日本モトクロス、ロードレースを中心に活動。1983年に「グランプリイラストレイテッド」誌にスタッフフォトグラファーとして参加。同誌の創設者である坪内氏に師事。

■写真集
3444 片山右京写真集
快速のクロニクル
7人のF1フォトグラファー
■写真展
The Eddge (F1、MotoGP写真展)Canonサロン
Winter Heat (W杯スキー写真展)エスパスタグホイヤー
Emotions(F1写真展)Canonサロン