Topstone Neo Carbon Lefty 3にまたがるの図。身長は約170cm。フレームサイズは4種ありこれはMDサイズ

 ASCII.jpらしく、スマホと連動する理想のe-bikeを求めて第2回(前回はオシャレだけど走りはガチのe-bike! BESV「PS-1」は電動アシストが切れても快適に走れる)。今回はグラベルロードバイクに挑戦! というわけで、実は自転車3台持ってる荻窪 圭です。内訳は折りたたみ自転車、クロスバイク、ロードバイクとジャンル違いの3台。自転車と一口にいっても、得手不得手用途でバリエーションがあり、それぞれ良さが異なっているのである。


 でもグラベルロードバイクは知らなかった。どうやら最近出てきた新しいジャンルらしい。グラベルは「砂利道」のこと。一般に非舗装路を指す言葉だ。ロードバイクは舗装路専門、その代わりめちゃ軽くてめちゃスピードを出せるのが特徴だ。


 グラベルとロードってなんか矛盾してるけど、舗装路でのスピードはそこまで追求しない代わりに悪路にも強いロードバイクと考えるのが良さそうである。


 そして、そんな新ジャンル「グラベルロード」のe-bike版がCannondale(キャノンデール)の「Topstone Neo Carbon Lefty 3」なのだ。今回は、何台ものスポーツバイクに乗ってきたわたしが、電動アシスト付のグラベルロードにまたがったら快適すぎてヤバかったという話。


Topstone Neo Carbon Lefty 3はこんな自転車

 キャノンデールはアメリカの有名なスポーツ自転車ブランド。プロサイクリングチームと機材の契約もしているガチのスポーツ自転車ブランドが展開するe-bikeが「Topstone Neo Carbon Lefty 3」なのである。価格は68万2000円。


 Topstone Neo Carbon Lefty 3と長い名前だが、ちょっと分解してみよう。それでどういう自転車かわかる。Topstoneはグラベルロードのシリーズ名。グラベルロードは遠目にみると(あるいは近視の人が眼鏡を外してみると)ロードバイクそのもの。ドロップハンドルだし、フレームもきれいな三角だし、サドルもロードバイク用だ。横からみると電動アシスト付には見えないのがすごい。


68万円の価値はアリ! キャノンデールのグラベルロードe-bikeはバッテリー持ちがスゴイ!
Topstone Neo Carbon Lefty 3。黄色と黒のフレームがカッコいい、ロードバイクにMTBの要素が少し加わったようなボディーだ。ボトルケージとスマホホルダーは私物

 でもよく見ると未舗装路を快適に走れる仕様になっている。一番違うのはタイヤ。タイヤが太い。ロードバイクって幅が25mmくらい(25cという)の細くて軽いタイヤを履くのが普通だが、グラベルロードは太くてグリップ力を重視したトレッドパターンのタイヤだ。砂利道や泥道でもしっかりグリップしてくれる。


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太くて悪路に強いタイヤを履いているのがグラベルロードの特徴だ

 Topstone Neo Carbon Lefty 3のタイヤは650×42。かなり太めだ。グラベル用でも太さやトレッドパターンのバリエーションは多く、これはゴツい方といっていいだろう。


 次は駆動系。Topstone Neo Carbon Lefty 3はシマノのGRXというグラベル用のコンポを使用。フロントのギヤは1枚で、リアは11段。一番軽いギアにするとアシストなくてもどこでも上れるんじゃね、と思えるくらいこぎやすい。


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コンポは島野のGRX。グラベルライド用に開発されたコンポーネントだ

 Topstone Neo Carbon Lefty 3の「Neo」は電動アシストを示す。Topstone Neo Carbon Lefty 3の電動アシストユニットはBOSCHの「CX250W」。BOSCHは自動車部品で有名だが、e-bike用のドライブユニットも作っているのだ。ドライブユニットもバッテリーもうまくフレームと一体化しており、特にバッテリーはe-bikeとは思えないほどの収まり具合(フレーム内蔵タイプ)。ボトルケージも付けられるので、フレームの色に合わせたドリンクを選んでみた。


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Boschの小型ドライブユニット。バッテリーはフレームと一体化しているのでいわれないと気づかないかも

 Topstone Neo Carbon Lefty 3のCarbonはカーボンフレームのこと。最後のLeftyは左側1本のみというサスペンション付のフロントフォークを示している。


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フロントフォークは左側のみで保持。こちらはサスペンション付きだ

 長い名前を解読するとその内容がわかるって、カメラのレンズ名みたいですな。


まずは専用アプリをセットしてスタート

 どんなe-bikeかわかったところで充電とスマホ用アプリのセットアップだ。バッテリーはフレームと一体化しており、着脱可能だがフレームにあるコネクターから直接充電するのがデフォルトのようだ。フレームに充電用端子があるので室内に持ち込んで充電した。


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フレームのカバーを開くと充電端子が現れる
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自宅の狭い廊下で充電中

 バッテリーは2.9kgとけっこう重いが、そのぶん500Whと大容量で持ちがいい。充電完了してサドルの高さや位置などを調整したら、次はスマホだ。アプリは必須ではないが、あると格段にサイクリングが楽しくなる。なお、iOSとAndroidの両対応だ。


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キャノンデールのロゴがアイコンになっているアプリをインストール

 アプリを起動し、フレーム下のバーコードを読み込むかシリアル番号を手で入力すると、自動的に車種の情報が登録されて準備完了だ。


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シリアル番号や車体のカラー、さらに使用しているパーツやサスペンションのセッティングまで記録できる。しばらく乗っているとメンテナンスのタイミングも教えてくれる

 このアプリの主な仕事は「ライド」、つまり走行記録や走行時の情報表示や、自転車のメンテナンスガイドだ。


さすがスポーツ車、アシストパワーがすごい!

 では走り出そう。手持ちの自転車用スマホマウントを使ってスマホを装着。ライドモードから「ライドスタート」をタップするべし。


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ライドスタートをタップすると記録開始

 走行中はこんな風に現在速度、距離、消費カロリー、獲得票高、平均速度などなど各種情報を表示してくれる。


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走行中の画面。平均速度や距離や現在の速度などが表示される

 自転車側の操作はハンドルについた小さなコントローラで行なう。左にある「+」と「-」のボタンでアシスト力の切替え。ボタンを長押しすると表示内容が切り替わる。


 アシストモードはECO・TOUR・SPORT・TURBOの4段階。ECOモード時は最高で176kmまで走れるというけど、ECOモードで使うくらいなら、電動アシストなしの自転車の方がそのぶん軽くて快適なんじゃないかと思う今日この頃なので、まあ普通は使わない。デフォルトはSPORTモードだ。


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走り出そうとしたらSPORTSモードだと残り92kmと表示された

 せっかくのガチのグラベルロードなので起伏が大きなルートを走ってみようと出発。こぎ出しは最高に快適。ちょっと踏むとすぐ反応して、細かなストップ&ゴーも全然気にならない。まずは川沿いの低地に降り、丘陵エリアに辿り着くまでは、ほぼフラットな道をぐいぐい走る。上り坂にさしかかる前にバッテリーをチェックしておこうと表示を見ると……、20分くらい走ったのに残り走行距離(RANGE)が増えてるじゃん。なにが起きたんだ?


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出発から約25分後のメーター。残り116kmに増えてる

 きっと、下り基調で交差点以外でのストップ&ゴーがない=ほぼスピードが乗ったアシストのない状態で走ってたので、バッテリーをあまり消費せず「このペースならあと116kmいけるよ」と計算されたんだろう。


 そしてこのあと丘陵地帯に入って、最初の激坂を上った直後はぐぐっと減ったのである。このあとは坂を上ると減るけど下り基調になるとちょっと伸びてって感じで、着実に残り距離も減っていったのだった。


 今回走ったルートの丘陵地帯部分を高低差のグラフとともに用意してみた。キャノンデールのアプリは走行後にマップ上に走行ルートを表示できるのだけど、詳細なログは記録してくれないので、ログ用に別の地図アプリ(スーパー地形)も動かしていたのだ。ABCの3ヵ所が主な峠で、一番長くて急なのが、川沿いの低地から一気にAへ上る坂。ここを上りきったときは一気にバッテリーが減ったのだった。


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この日の走行ルートの丘陵地部分。川沿いの低地からAへ行き、B→Cと回ってまた川沿いの低地に下りたのだった

 その後、下って上って下って上ってってコースを楽しみ、最後はよみうりランド(図のC)へ。ここを超える坂はランド坂と呼ばれてて自転車乗りには有名なのだ。


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無事よみうりランド前に到着!

 そして北方へ坂を下りて(道路が新しく付け替えられててびっくりした)出発地点に戻ってきてメーターをみると、残り77km。あれだけ走ってまだ77km走れるとは!


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終了後のメーター。暗くなると自動的にバックライトが付くのはありがたい。残り77kmと表示

 そして、今日のライドはここまで、というところで「ライド終了」をタップ。


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「ライド終了」をタップすると記録が保存される

 すると、その日のライドの記録を編集し、必要なら写真も追加して保存できるのだ。その結果がこちらだ。


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記録された結果。獲得標高、平均速度などが記録され、今までの最長ライドとか最大獲得標高ってバッヂがついた

 この日の走行距離は40.4km。平均17.3km/h。消費カロリーは959kcalで獲得標高は437m。楽しいのは「獲得標高」という表記。自転車レース好きにはおなじみなのだけど、その日に合計どれだけ上ったかを示す値で、坂ひとつひとつの標高差が数10mしかなくても、たくさん上り下りした小さな坂も全部足すと、合計437m分の標高を上りましたよ、ということなのだ。こう書かれるといっぱい上ったなと思う(すべての上り坂で電動アシストが仕事しまくってくれたおかげです)。


よく動くサスペンションと太いタイヤ
そして強力なパワーで激坂もラクチン

 結論としては、アシストパワーがすごい。今までいろんな電動アシスト車に乗ってきたけど、これが一番楽だった。今より10歳以上若い頃、アシストなしのスポーツ車でひいひい言いながら必死に上った坂が、座ったまま問題なく上れちゃうのだ。


 舗装が荒れていたりちょっとした段差を乗り越えたりするときはグラベルロードの太くて空気圧が低めのタイヤとフロントサスペンションが仕事をしてくれるし、急な上り坂でも問題ないし、上り坂の途中で赤信号で止まってもそこからすっとこぎ出せる。それは予想以上にスゴかった。


 走ること自体が(上り坂も含めて)快楽になる。自転車好きにはたまらないし、そうじゃなくても好きになるはずだ。ドロップハンドルだけど、ロードバイク用に比べて少し横幅が広く、前から見るとハの字なのもよい。


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ハンドルが少しハの字型に開いているのが格段に乗りやすかった

 タイヤが悪路仕様なので、舗装された平地を高速巡航するのは得意じゃないけど、25km/hくらいなら快適だし、上り坂に関しては(わたしが知る限り)最強だ。どのくらい最強かは、いつも登坂テスト用に使う急坂で撮った動画を見てください。かなり余裕でのぼってるのが伝わるはず。DJI Action2をハンドルバーに装着して、坂を上った動画を録ってみた。


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e-bikeのチェックをするとき必ず上ることにしている世田谷区の岡本三丁目の坂。見ての通りの急坂だ


アシストパワーもすごいが
バッテリーの持ちも特筆モノ

 さてこのe-bikeも10日ほどお借りして走ったのちに返却。返却直前にメーターが残り何kmといってるかチェックすると、あと34km走れるという。最後にフル充電してから74.5km走ったので、合計で108.5km。つまり1回のフル充電で……、峠をいくつも越えるような過酷なライドをしないなら100kmくらい走れそうというわけだ。


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返却直前のメーター。残り34km走れるといってる

 アプリを立ち上げて「すべてのアクティビティ」をみると、9回乗って最長が40.4kmで合計114km。獲得標高が合計で922mと教えてくれた。


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借りている間に9回乗って、合計114km
68万円の価値はアリ! キャノンデールのグラベルロードe-bikeはバッテリー持ちがスゴイ!
総獲得標高は922mだったようだ

 週ごとや月ごとのアクティビティーも表示してくれる。すると今月は何km走ったなとか、今月はよく上ったなとかわかるので、励みになって楽しい。


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週ごとのライド結果

 このキャノンデールのTopstone Neo Carbon Lefty 3は、ガチのスポーツe-bikeで価格もかなりするんだけど(68万2000円)、自転車としてもe-bikeとしてもすごくいい作りで、サスペンションの効きもいいし、長距離の高速巡航には向かない以外は超快適(つまり、高低差があまりない舗装路を何kmも走るなら普通のロードバイクの方がいい)。坂を見ると上りたくなるe-bikeだ。


 その上、バッテリーの持ちもいいわけで、予算があって自転車道楽をしたいなら、これは超オススメ。休日のたびに気持ちよくいろんなところへ走れるので、地図を見ながら「今日はここへ行こう」とちょいと高いところへ登って眺望を楽しむ(そして、実は自分の脚力も使ってるのでいい感じに運動になる)のも、またヨシである。


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