マツダの「ロードスター」乗りにとって、年に一度の大きなイベントが「軽井沢ミーティング」です。5月27~28日に開催された、今年のイベントは前夜祭から参加してきました。


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メイン駐車場の向いには長野新幹線の路線が見える。雨もなく、絶好のイベント日和となった

2600を超える応募数から駐車券を獲得!

 毎年、5月の最終の週末に開催されるロードスターの「軽井沢ミーティング」。ロードスターのオーナーズ・イベントとしては国内最大のものとなります。ちなみに、イベントの企画&運営はボランティア有志によるもので、マツダはあくまでも協力という立場。


 ただし、毎年ロードスターの開発担当者をはじめ、何十人もの人を現地に送り込むだけでなく、過去、NC型ロードスターの日本初公開や、ND型ロードスターのシャシーの日本初公開も、この軽井沢ミーティングで実施されました。マツダが非常に力を入れているイベントのひとつです。


 また、この「軽井沢ミーティング」は、あまりに人気が高いということで、参加には何段階かの手順を踏む必要があります。まず、4月までに往復はがきにて、駐車場の抽選に応募します。イベント会場に愛車を持っていけるかどうかの抽選です。もしも落選したら、電車で現地まで行かないとダメ。そして、駐車場が当選できたら、改めて人の参加の申し込みを行います。2段階の手続きを求められるのです。去年は落選したので、電車で日帰り取材となっていました。


約1200台のロードスターが集結! ロードスター軽井沢ミーティング2023レポート
前夜祭とあわせて前泊した軽井沢プリンスホテルウエストのコテージ
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土曜日の夜に軽井沢プリンスホテルウエストの宴会場にて開催された前夜祭

 また、イベントは土曜と日曜の2日間にわたって行われます。初日の土曜は、昼間に「コマ図ラリー」というドライブを楽しみ、夜に「前夜祭」が会場となる軽井沢プリンスホテルウエストにて開催されます。前夜祭にはお酒も出ますから、当然、宿泊したいもの。ところが、会場のホテル宿泊も枠があります。こちらの場合は早いもの勝ち。ですから、前夜祭と日曜日の2日間に愛車を駆って参加しようという場合は、4月の駐車場の抽選、そして枠に限りあるホテルの予約という2つのハードルをクリアする必要があります。


 今年は、運よく駐車場の抽選をゲットすることができました。聞くところによると、当選1200に対して応募が2600以上もあったとか。2倍以上の倍率を潜り抜けての駐車場の確保ができたというわけです。また、ホテルの予約もぎりぎりで成功。そのため、2019年以来、4年ぶりの前夜祭参加となりました。


ホテルの宴会場にて200人規模の大宴会

 軽井沢ミーティングの前夜祭は、軽井沢プリンスホテルウエストの宴会場にて行なわれます。会場には8人掛けの円卓のテーブルが30近くも並んでいます。

参加者は、定められたテーブルに着席。どんな方と一緒になるかは、当日のお楽しみです。今年、同じテーブルで会食を楽しんだ相手は、広島から来たマツダの方、20代と50代の2組の夫婦、そして若い女性という顔ぶれでした。マツダの方とは、クルマだけでなく、サッカーの話でも盛り上がりました。


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軽井沢ミーティングの会場の全景。手前の駐車場だけでなく、その奥の三角形の駐車場、さらにその奥のアウトレットモールの駐車場にまでロードスターが並ぶ。その数、1100台以上。写真提供:軽井沢ミーティング事務局
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イベントのメイン会場となったのがスキー場の駐車場。写真提供:軽井沢ミーティング事務局

 前夜祭で特に印象的だったのは、2代目NB型と3代目NC型ロードスターの主査を務めた貴島孝雄さんによるお話です。ロードスターの歴史と、4月に亡くなった初代ロードスターの主査・平井俊彦さんをしのぶ内容に、ちょっとしんみり。今、ロードスターを楽しく乗れているのも、最初のNA型ロードスターを平井さんたちが苦心の末に生み出してくれからこそ、ということを改めて確認できる前夜祭となったのです。


絶好のイベント日和の元
1200台近くのロードスターが参加

 ロードスターの軽井沢ミーティングの本番は、日曜(28日)が本番です。朝の8時にオープンする会場に向けて、続々とロードスターが集まってきます。

今年も天気はバッチリ! 薄曇りで、絶好のイベント日和です。この日のために、イベントの実行委員は、最寄りの熊野皇大神社にて晴天祈願をしてもらっているとか。また、熊野皇神社には、マツダのNDロードスターのデザインに使ったオブジェ(造形のマスターピースモデル。通称:御神体)を祭る「星乃道神社」が建立されています。ロードスター乗りであれば、一度は覗いてみることをおすすめしたいスポットです。


 公式発表された今年の参加数は、以下のようなものでした。


・日曜参加台数実数 1157台/型式割合NA25%、NB11%、NC10%、ND43%、RF11%
・日曜参加人数 2530名/日曜平均年齢 48.5歳


 この数字には、ブース出展したショップのデモカー(約40台)が数に入っていないとか。それをあわせれば、ほぼ1200台ものロードスターが集まったことになります。これは2015~16年の1300台レベルに及ばないものの、直近3年では最大の数字。コロナ禍を超えて、イベントが例年並みに戻ってきたことが実感できます。


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最前列にはフィリピン、香港、上海など、海外からやってきたクラブの面々が並んだ。写真提供:軽井沢ミーティング事務局

初心者向けの案内ツアーは200名を超える人気に

 今回の軽井沢ミーティングで初の試みであったのが「初心者向けツアー」です。これは、「初めて参加した人に向けて、軽井沢ミーティングの見どころや楽しみ方をレクチャーする」というもの。

なんでも、軽井沢ミーティングは、毎回参加者のうち約4割が初参加だとか。そのため「初めてで思うように楽しめずに帰ってしまう」という不幸な人を減らすのが目的で開催したそうです。


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毎年、初めて参加する人が4割ほどいるため、今年初めて実施された「初心者向けガイドツアー」。参加希望者が殺到したため、3回に分けて実施するほどの人気に

 そんな初心者向けツアーでしたが、フタを開けてみると大盛況。なんと、たった1人の案内人しかいないというのに、200人を超える希望者が殺到したのです。あわてて3回にわけてツアーを実施することになりました。来年以降は、もっと案内人をたくさん用意して開催するのではないでしょうか。


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軽井沢ミーティングの楽しみのひとつがロードスター専門ショップによるグッズ販売だ
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マツダは2022年よりオフィシャルのグッズショップ「MAZDA ONLINE SHOP」をスタートさせている。そこで販売されるモデルカーの製造過程の説明も行われていた
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毎年恒例の「ペダルカーレース」。グッズ担当者から「電動ペダルカー」の販売を検討しているという話も飛び出た。写真提供:軽井沢ミーティング事務局

故・平井さんをしのぶトークショーも開催

 イベントのメインステージでは、午前と午後に、それぞれ1時間ほどのロードスター開発者によるトークショーが開催されました。


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イベントには、開発担当者だけでなく、数多くのマツダの人間が駆け付けてくれた

 午前中のトークショーは、NB型とNC型を担当した元マツダの貴島孝雄さんと、その片腕として活躍した現・マツダの山口宗則さんによるもの。内容は初代ロードスターの誕生秘話と故・平井さんを紹介するものでした。

これは、近年の参加者はND世代が急激に増えてきているため、NA時代のことをきちんと伝えておこう、という狙いがあったそうです。確かに、今年の参加の内訳を見ると、現行のNDとRFで54%を占めます。「NAロードスターには乗ったことがない」という人も増えているはずです。


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会場には1157台もの参加者のロードスターが並ぶ。そのうち半数以上が、現行型となる

 そういう新しくファンになった人たちに、ロードスターの誕生の話を伝えるのも、軽井沢ミーティングの大切な役割と言えるのではないでしょうか。


「990S」の生産終了というサプライズ!

 午後のマツダからのトークショーでは、現在のロードスターの主催である齋藤茂樹さんが登壇。そこでいくつかの爆弾発言が飛び出しました。そのひとつが「990Sグレードは、今年で終わり」というもの。毎年恒例の年次改良で、どうやら「990S」グレードは廃止になってしまうようです。ちなみに齋藤さんは、この春にジルコサンドメタリックのロードスター「990S」を購入したとか。商品改良でなくなってしまう前に自身でも手に入れたということでしょう。「990S」を狙っている人は、急いでディーラーに相談しましょう。


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写真左から、元主査の木島さん、初代主査である平井さんの娘さん、そしてマツダの山口さん。
後ろにあるNAロードスターは平井さんの元愛車
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トークショーに参加するマツダの開発陣。右から山口さん、元主査の中山さん、そして山本さん

 ちなみに廃止の理由は、どうやらバックカメラ義務化への対応のよう。「990S」にバックカメラを付けるには、ディスプレイを追加する必要があります。その重量増を嫌ったというのが「990S」廃止の理由ではないでしょうか。


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現在のロードスターの主査を務める斎藤さん。自身も写真と同じ色の990Sを購入したとか

 そして「今年の商品改良で、マツダコネクトのディスプレイが大きくなる」とも。ディスプレイ本体のサイズはそのままですが、画面が最近のスマホのように筐体のふちギリギリまで大きくなるそうです。これもバックカメラ義務化に伴う改良でしょう。


 最後のサプライズは「2リッター・エンジンの幌車をやっている(検討している)けど、今年はないよ」ということ。RFグレードと同じ2リッター・エンジンを、普通の幌車に搭載するという期待は、まだまだ叶えられないようです。


 また、「ナビだけじゃなくて、ダイナミック性能もいろいろなところに、いろいろな~」という発言もありました。どのような改良がなされるのかに注目です。


 久しぶりに前夜祭からの2日間の日程で参加した軽井沢ミーティング。古い知り合いにも数多く会えましたし、初代NA時代の話も改めて聞くこともできました。まさに温故知新。古い話を知ることで、今のロードスターがさらに魅力的に感じることのできるイベントでした。


■関連サイト


筆者紹介:鈴木ケンイチ

 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。


 最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)。



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