昨年2位表彰台だった鈴鹿
今年も優位かと思われたが……
2023年のSUPER GT第3戦「SUZUKA GT450km RACE」が6月3~4日に鈴鹿サーキットで行なわれ、eスポーツプレイヤーの冨林勇佑選手が乗る5号車「マッハ車検エアバスター MC86 マッハ号」は、波乱含みのレースを走り切り19位で完走。目標としているポイント獲得にはつながらなかったが、今後に向けて“ヒント”を得る1戦となった。
今回の舞台となる鈴鹿サーキットは、冨林がSUPER GT初表彰台を飾った思い出の地。


大会前日の搬入日は、日本に接近していた台風2号の影響により、一時は暴風雨となるほど悪天候に見舞われた。その日の午後には東海道新幹線が運休を余儀なくされ、東名高速も通行止めになるなど、一部関係者がサーキット入りできない混乱も見られたが、冨林と相方の松井孝允は問題なく現地入り。週末のレースに臨んだ。

雨上がりの予選はタイヤが微妙に噛み合わず
3日(土)の予選日の朝には雨が上がり、公式練習からドライコンディションでセッションがスタートした。予選に向けてマシンバランスやタイヤの確認を行なっていくが、思うようにペースを上げられず。トップから3.5秒遅れのクラス25番手という苦しい結果に。今回も用意してきたタイヤとコンディションが微妙に噛み合わず、ライバルに近づくようなパフォーマンスを見せられずにいた。


サポートレースが予定より大幅に遅れて終了した関係で、予選Q1は当初よりも20分遅れてスタートした。5号車のQ1は松井が担当。公式練習よりもタイムを上げ、1分59秒957をマーク。
なお、ポールポジションは61号車「SUBARU BRZ R&D SPORT」で、ドライバーの山内英輝選手は13回目となる最多ポールを獲得した。


決勝レースの1周目でピットインの奇策
だがアクシデントで作戦が機能せず


4日の決勝レースは、朝から晴天だったもののスタート時刻が近づくにつれて雲が増えていった。GT300クラスの24番手からスタートする5号車は、松井がスタートスティントを担当。前日までの流れを考えると、上位進出の可能性は厳しい状況で、次回以降に向けてポジティブな要素を見つけるために、チームは新しい試みを行ないながら、少しでもポイント圏内に近づくための可能性を模索した。


まずはスタート直後の1周目にピットインし、今回も義務となっている2回の給油作業のうち、1回を消化。さらに今まで試したことのなかったタイヤに履き替え、今後に向けてのデータ収集をすることになった。ただ、このピットストップで作業違反の判定を受け、ドライブスルーペナルティーが課されることとなる。これで一気に遅れることになったのだが、幸いにもセーフティーカーが導入され、ペナルティーでの遅れを取り戻すことに成功した。


レース再開後も、順調に周回を重ねた松井。新しく試したタイヤも思いの外パフォーマンスを発揮し、31周目終了時点ではGT300クラス5番手につけ、ポイント圏内でのフィニッシュの期待も膨らみはじめた。
タイヤの感触についても良好という松井のコメントもあり、32周目に行なった2度目のピットストップではタイヤ無交換を実施。ドライバーも交代し、冨林が乗り込んだ。


なんとかゴールに向けて粘り強く走ろうとした冨林だが、レース終盤に大きなアクシデント(クラッシュ)が発生し、GT500クラスのトップが60周目を迎えるところで赤旗が出され、そのままレース終了となった。
幸い、クラッシュを喫した23号車「MOTUL AUTECH Z」の松田次生選手と、87号車「Bamboo Airways ランボルギーニ GT3」の松浦孝亮選手は無事だった。ただ、松田に関してはクラッシュの衝撃が大きかったこともあり、病院に搬送された。
一時はポイント獲得の可能性も見えていた5号車は、結局19位で第3戦を終了。望んでいた結果にはならなかったものの、シーズン中盤戦に向けてはポジティブな収穫材料もあった。上位進出を目指して、さらなる挑戦は続く。
冨林勇佑選手コメント
「1周目にピットインして、今まで履いたことがないタイヤを試しましたが、それが前半はうまく機能してくれました。そのまま、タイヤ無交換で行こうとしたんですけど、曇り空でコンディションの変化もありましたし、燃料を積んで車重が重くなったことで状況が変わってしまいました。ピットアウトした時からグリップ感がなくて、そこをごまかしつつ走っていましたが、途中からピックアップもひどくなってしまいました。もしかするとタイヤ交換をして後半スティントに臨めば、ポイントも獲れていたかもしれません。


なお、GT300クラスのトップ争いは、各チームとも戦略の差が出て二転三転する展開となったが、早めにピットストップを消化していく作戦をとった7号車「Studie BMW M4」が、赤旗が出る前にトップに浮上。そのままクラス優勝となった。ちょうど1年前の鈴鹿大会でも優勝を飾ったBMW。今回も力強い走りをみせ、ライバルを圧倒したのだった。




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