1948年に初めてポルシェの名を冠した「ポルシェ 356 No.1ロードスター」を完成させてから、今年で75周年の節目を迎えたポルシェAG。それを記念してアジア最大となるコミュニティーイベント「ポルシェフェスティバル」が、ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京で開催されました。
自然体で参加できるポルシェの祭典

会計係でポルシェ好きの部員Sはノリノリで会場入り。ASCII.jp自動車部の部長にして本職は純情なアイドルの寺坂ユミさんも、映画「ワイルドスピード」の新作が上映中(2回も見に行った模様)であるうえに、4月にはアイドルとしては初めて「ポルシェのタイカンで富士スピードウェイを走った」という事もあり、彼女のポルシェ熱は沸騰寸前! 夜な夜なソロバンをパチパチしているとかいないとか。一方、書記兼写真係の部員Kは、「ポルシェのオーナーイベントということは、セレブリティーの集まりなのかな」と、少し気が重かったり。ちなみにドレスコードはないということで、ひと安心。





会場であるポルシェ・エクスペリエンスセンター東京に到着したASCII.jp自動車部。会場の駐車場には新旧様々でカラフルなポルシェがズラリと並び、お祭りムードを盛り上げます。部員たちは「やっぱり930だよなぁ」「でも最後の空冷ポルシェの993も捨てがたい」「実用面を考えると最新の992でしょ」と謎の数字を言いながら大盛り上がり。ゆみちぃ部長は、「カワイイ!」と声を挙げながら、様々なポルシェと自撮りしまくり。「そんな部長が、一番カワイイですよ」と甘い言葉をかける部員K。当然スルーでポルシェに夢中です。


入場登録のため施設内へ。「セレブリティーの集まりだったらイヤだな」と気が重たい部員K。

さて、取材を開始しようかなと思ったら、ゆみちぃ部長が行方不明。部員Kが部員Sに「彼女、どこに行ったんですか?」と尋ねたところ「着替えてくると言ってましたよ」とのこと。取材日の午前中は記録的豪雨だったため、服が濡れたのかなと思っていた数分後、「お待たせいたしました」と現れたゆみちぃ部長。その姿は、なんとTVアニメ「痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。2」 OPテーマ「この盾に、隠れます。」のステージ衣装ではありませんか!
これにはさすがに驚いた部員K。「ツーショットを求められたらどうしよう」「ツーショットは特典券2枚でしたっけ?」などと思いながら、本人以上に回りが不安な気持ちに。ですがオトナが集まるイベントということか、彼女と一緒に撮ろうという方はいらっしゃいません。遠目から見て見ぬふりもなく、自然に溶け込んでいる感じ。

すると「グーテンモルゲン」とドイツ語で声をかけてこられたのは、ポルシェジャパン代表取締役のフィリップ・フォン・ヴィッツェンドルフさん! 「ヤバい! 怒られる!」と思った部員たちでしたが、素敵な笑顔で「ウエルカム」と大歓迎。
ポルシェとゆかりの深いブランドが数多く出展


場内には、数多くのポルシェに関係する企業が出展されていました。まずはタグ・ホイヤー。タグ・ホイヤーのラインアップの中には「カレラ」というコレクションがあり、ゆみちぃ部長が手にしているのは「タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ × ポルシェ オレンジレーシング」というモデル。44mm径の自動巻きクロノグラフになります。お値段は88万5500円だそうで、ブランド品のクロノグラフにしてはお求めやすいプライス。「オレンジのステッチがカワイイですね」と好印象。


続いてドイツのファッションブランド「HUGO BOSS(ヒューゴボス)」。こちらもポルシェとは関係が深く、長年スポンサードをされています。さっそくオシャレ部長が見つけたのは、彼女のメンバーカラーであるアクアのTシャツ。「これ、めっちゃ可愛い!」と声をあげたのですが、1万5400円というプライスタグを見て「……いい値段しますね」と完全に沈黙。


ドイツのスポーツ用品ブランド「プーマ」も出展。



施設のショップでも、このイベント限定のアイテムが登場。ゆみちぃ部長が気になったのは、上下白のスウェットです。なかでも下のパンツは「これ、ダンスの練習着にいいかも」というわけで、本気で買いそうな雰囲気からのお買い上げでした……。



ポルシェのタイヤといったら、ムッシュ・ビバンダムでおなじみのミシュランです。まずはミシュランマンと一緒に記念撮影。撮影後「なんか、中からプシュプシュ音がするんですけど」と無邪気なことを言うおちゃめ部長であります。ブースではパイロットスポーツシリーズが展示。タイヤ適合表があったのですが、なんと初期のポルシェの名があったのが驚き。

ポルシェのエンジンオイルといったらMobil 1です。


ポルシェのカーオーディオはBOSEだそうで。ワイヤレスイヤホンを展示していました。音にウルサイ部長は、さっそくチェック。「うーん、音がいいですね。ノイズキャンセリングの切り替えがあるんですね」と興味津々でした。


ドイツの工具メーカー、HAZETの姿もありました。「水色なんですね」と、メンバーカラーにはウルサイ部長は商品を手に取ります。当日は会場限定価格で工具セットが販売されていました。部員たちが欲しいと思ったのは、ラチェットレンチっぽい形をした栓抜き。
こんな感じでブースを巡ったところで、ポルシェを見ていきしょう!
まるでポルシェミュージアム!
ここはポルシェ天国だ!














珍しいポルシェもいっぱい。驚くべきところは、これらのマシンには柵などが設けられていないということ。「こんなの、絶対触ったり傷をつけるやついるじゃん」と思ったのですが、ポルシェオーナーはお行儀がよい様子。



ゆみちぃ部長はカラーリング的に935がお気に入りの様子。935というと、グループ5(シルエットフォーミュラ)を席巻したマシンを思い出す部員たちですが、写真のモデルは2018年に77台限定で販売された911 GT2 RSをベースとした新型レーサー。3.8リッター水平6気筒ツインターボからは最高出力515kW(700PS)を発生。組み合わされるトランスミッションは7速PDK(ポルシェ・ドッペルクップルング)だそうです。ちなみに当時のお値段、701万948ユーロ(約9270万円)……。さすが高い物を判別する能力にすぐれた、お財布部長であります。
これだけではとどまりません! まだまだあります!






「1億円の959が雨ざらしで展示されている!」とか、もうすごすぎてよくわかりません! これ全部でナンボするんよ? と考えてしまう下世話な部員たちでした。
オジサン感涙! カーグラTVを完全再現の発表会




会場から少し離れた場所では、ステージイベントも開催されていました。イベントは「ポルシェ・スポーツカーの誕生75周年を皆さまと一緒に祝福することができ、本当にうれしく思います。

そして2台のクルマのジャパンプレミアが行なわれました。このジャパンプレミアの演出が、往年の名番組「カーグラフィックTV」のオマージュ! 会場に松任谷正隆さんの曲と、ブガッティが登場するオープニング映像が流れたかと思えば、古谷 徹さんのナレーションで貴重な映像と美麗な動画でポルシェの歴史とモデルを紹介するではありませんか。過去、様々なクルマのジャパンプレミアにお邪魔してきましたが、ここまでの演出は初めて! 広報担当者に伺ったところ、テレビ朝日さんの全面協力で制作したコダワリの逸品とのことで、「これをYouTubeにアップしてよ!」と素直に思います。


まず1台目は911ダカール。欧州ではラリーの成績が市販車の売り上げに直結するところがあり、911の歴史は1965年のモンテカルロラリーでの総合優勝から始まったといっても過言ではありません。そしてポルシェとラリーといえば、1984~1986年の3年間参戦したパリ・ダカール。特に1986年のポルシェ959は、エントリーした3台が優勝/2位/6位を獲得。この結果、959のレースでのプロモーション活動は見事に成功し、予定台数をはるかに超える受注と、959というクルマを神格化させることに成功したのでした。









911 ダカールは、1984年にパリ・ダカールラリーに参戦し優勝を果たしたタイプ953という、911ベースの四輪駆動車のオマージュモデル(これが四輪駆動ポルシェ911の始まりと言われています)。2500台限定で価格は3099万円。「ロスマンズカラーかっけー!」と、部員Kを感涙させたグラフィックは、ラリーデザインパッケージというオプションで、価格は433万7000円。ちなみにレースナンバーは自由に選択できるようです。
911 ダカール最大の特徴はオフロード走行に向けて車高を50mm高め、さらに30mm上げられるリフトシステムを備えたこと。タイヤはピレリ・スコーピオン・オールテレイン・プラスで、ハイウェイから未舗装路までに対応。リアに積まれる3リッター6気筒ツインターボエンジンは、最高出力480PSを発生。8速PDKと4WDシステムにより、0-100km/h加速3.4秒を実現しています。
車内はロールゲージが入っているため、2人乗り。ちなみに車体重量は1605kgと、911 カレラ4 GTSと変わらないところもポイント。「歴史を感じながら、ポルシェの無限の可能性、パフォーマンスを感じる1台」なのであります。

ポルシェの歴史を感じる仕上がりと、コンビニやガソリンスタンドでバンパーを擦る心配をしなくてもよいという実用性。身の丈を知りつつも、部員Kはとても買える金額ではありませんが「これだよ! コレが欲しかったんだよ」と911ダカールに大興奮。3500万円があればスグにでもフィリップ・フォン・ヴィッツェンドルフさんに「これ売ってください!」という勢いです。一方、ゆみちぃ部長と部員Sは「うーん」とまったくもってピンと来ていない模様。SUV大好き部長的に、車高が高くてイイのでは? と思ったのですが「ホイールとフェンダーの間の隙間が気になる」だけでなく、「911はサーキットを走るクルマなんですよ」なのだとか。わかってないなぁと思う部員Kです。





そんなSUV大好き部長の目をキラキラさせたのが新型カイエン。マトリクスLEDヘッドライト、ポルシェアクティブサスペンションマネージメントシステム(PASM)、20インチホイール、フロント&リアパークアシストなど、充実した装備を搭載。パワートレインの違いによって「カイエン」「カイエンE-ハイブリッド」「カイエンS」「カイエンクーペ」「カイエンE-ハイブリッドクーペ」「カイエンSクーペ」の6モデルが用意され、価格は1198~1644万円。

「カイエンいいなぁ。でも大きいからマカンかな。値段はそれほど変わらないみたいだから、カイエンの方がお買い得かな」などと夢を膨らませるゆみちぃ部長。どうやら、ゆみちぃ部長がポルシェを買うなら911ではなくSUVなのだとか。部員Kは、その心境がまったくわからず。だから乙女心がワカラナイのか、と思いながらカイエンを撮影。でも、カイエンに詳しくないのと、そもそもSUVに興味が薄いので、写真点数は911 ダカールより少なめです。ゆみちぃ部長は「偏向報道だ!」と声を挙げますが、その通りです!
漫画家の麻宮騎亜先生やカノカレ911も登場!

波乱のジャパンプレミアが終わると、ステージではDJショーやトークイベントが開催。その中で部員Kを喜ばせたのが、世界的に著名な漫画家・イラストレーターの麻宮騎亜さんが登壇されたこと。思春期にサイレントメビウスとかコンパイラを愛読し「海洋堂やWEVEのガレージキットが欲しかった」世代としては、神様仏様麻宮様の存在です。














そんな麻宮先生は、自身が「シュトロゼックメガ911」という超希少なポルシェに乗っていらっしゃって、会場にはクルマが展示されていました。さらに自動車漫画「彼女のカレラ」を連載されていることもあり、キャラクターをラッピングしたいわゆる痛車が3台展示。そのデキのよさに驚くとともに、ポルシェジャパンの遊び心に驚いた次第。もっとお堅い会社だと思っていました。


1955年製「356 スピードスター」に日本の「わび・さび」を取り入れた作品プロジェクト「356 Bonsai」で知られるアーティストのダニエル・アーシャム氏が来日。会場には日本のポルシェチューナー、中井 啓氏率いる「ラウヴェルト・ベグリフ(RWB)」とのコラボレーションによるRWBAが展示されていました。「964」をベースに、フラットノーズ化。RWB流の大きなオーバーフェンダーを備えたオールホワイトのボディーに、内装を全面アーシャムグリーンのレザーで仕上げていて、ゆみちぃ部長もウットリ。さらに麻宮騎亜先生によるRWBAをモチーフにした漫画も展示されていました。

アートというつながりか、タイカンをキャンパスにしてのライブペイントも行なわれていました。最後まで見届けたかったのですが、時間の都合で断念しました……
ドリフトやオフロード体験コーナーも
シミュレーターではアイドルと編集者がガチバトル!





会場ではドリフトとオフロードの同乗体験が行なわれていました。この2つは大人気コンテンツで、整理券獲得するのに1時間以上並ぶということで断念。ほかにもカイエンによるオフロード体験もできました。


「なんだ、クルマの運転できないのか」とションボリ部長。ですが、この日はシミュレーターが大開放! 5分程度で無料ということで、挑戦です。せっかくなので、部員Sとのレースになりました。コースは日本が誇る世界の鈴鹿サーキット。クルマは911 GT3 Cupで、コースレコードは近藤 翼選手の2分2秒317。果たして知多半島出身のゆみちぃ部長、地元(やや遠いけど)コースで表彰台の中央に立つことができるでしょうか? 部員Sは「俺、昔走ったことがある! クルマ廃車にしたけど!」とドヤ顔。これはいろんな意味で期待できます。



それはそれは酷いものでした。レース展開を一言でいえば、血で血を洗うミサイル合戦。目には目を、歯には歯を、やられたら、やりかえす。鈴鹿サーキットの国際コースは凄惨な報復の場となりました。大接戦の末、部員Sが勝利を納めましたが……実に大人げないレースだったことをお伝え申し上げます。シミュレーターでよかった……。
ポルシェオーナー自慢の愛車が
コース上にずらり勢揃い!

コース上には多くのオーナー車がズラリと並び、多くの方が自分のポルシェを写真に収めたり、オーナー同士の交流をされていらっしゃいました。素敵な午後のひと時を見ながら、いつの日か自分達もその仲間に入りたいと願ったASCII.jp自動車部一行。

車両価格が高額ということもあり、お堅く近寄りがたい存在と思っていたポルシェ。それは大間違いで、実はフレンドリーで、親しみやすい存在だったことを思い知った1日でした。ポルシェだからと気負うことなくカーライフを楽しまれるオーナーたちと、気負うことなく自分たちも楽しもうというポルシェジャパンのスタッフをみながら「ポルシェの楽しみ方は無限大、楽しまないのは人生の損」。そんな事を思いながら、部員Kは心の中に勝手にベルリンの壁を作っていたことを恥じた次第です。
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寺坂ユミ(てらさかゆみ)プロフィール

1月29日愛知県名古屋市生まれ。趣味は映画鑑賞。志倉千代丸と桃井はるこがプロデュースする学院型ガールズ・ボーカルユニット「純情のアフィリア」に10期生として加入。また「カードファイト!! ヴァンガード」の大規模大会におけるアシスタント「VANGIRLS」としても活躍する。運転免許取得してから上京後は一切運転していないが、最近は自動車にも興味を抱く。こだわりが強く興味を抱くとのめりこむタイプであることから、当連載で、お気に入りの1台を探す予定。