ドリフト競技「D1グランプリ」2023シーズンの第3~4戦が6月24~25日の2日間、筑波サーキットで開催されました。ASCII.jpが応援するTeam TOYO TIRES Driftの#66 藤野秀之選手、#88 川畑真人選手の様子をお届けします。


クラッシュ多発! 大荒れのD1第3~4戦・筑波でTOYO TIRES Driftは善戦

筑波サーキットのコースレイアウトはちょっと特殊

クラッシュ多発! 大荒れのD1第3~4戦・筑波でTOYO TIRES Driftは善戦
今大会のコース設定

 2021年以来の開催となった筑波サーキットTC2000での開催。コースレイアウトは、最終コーナーからスタートし、メインストレートに設けられた2ヵ所の障害物を抜けて1コーナーへ侵入。その後、S字を抜けながら加速し、第1ヘアピンで大きなドリフトをみせてゴールと。サーキットの約半周を用いて行なわれます。結果、シーズン最長の走行距離で、2回走行したらタイヤは使い物にならなくなるとか……。


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第1コーナーでクラッシュしたマシン
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第1ヘアピンでクラッシュ
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第1コーナーでクラッシュしたマシンの部品により、ガラスが散乱
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第1ヘアピンから第1コーナーでマシンがクラッシュした瞬間の様子
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第4戦の第1ヘアピンには、コースのアウト側を通らないよう、内側1mに規制線が設けられた。背景のクラッシュパッドの多さが、事故の多さを物語る

 さらに筑波サーキット側から「(タイヤラバーが乗りすぎるため)レコードラインを走らないようにしてほしい」という要請に基づき、必ず通らなければならない「ゾーン」のうち、第1コーナーと第1ヘアピンの2ヵ所はアウト側のわずかに出口(立ち上がり側)に設定。


 いずれも高速で侵入し、一気に高角度をつけないと攻略できないコーナーであることから、コーナーの侵入で姿勢を乱してアウト側へ車が流れるクラッシュが続出。結果、コースサイドの小石が舞い観客席に飛んでくるだけでなく、クラッシュしたマシンの破片により「ポスト」と呼ぶサーキット監視員の待機小屋の窓ガラスが破砕するなどのアクシデントが発生しました。


 そのためスポンジバリアーの位置を都度変更したり、2日目はコース幅を狭めクラッシュを予防する処置などがとられていました。藤野選手、川畑選手も例に漏れず金曜日に行なわれた練習走行でコースアウト。やや不安を覚える中で大会を迎えました。


【第3戦・単走】藤野選手5位、川畑選手18位と振るわず

 24日の午前中から午後にかけて行われた第3戦の単走は、快初夏らしい汗ばむ陽気の中で行なわれました。事前抽選の結果、藤野選手、川畑選手ともにAグループからの出走となりました。


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藤野選手の単走の走り

 藤野選手の1本目は、安定感のあるミスのない走りで98.2を記録し、ほぼ単走通過を決めます。2本目は攻めた走り。車速は大幅に伸ばして175.59km/hからの1コーナー侵入は見るものを震え上がらせます。ですが第1ヘアピンに設けられたゾーン3が不通過で95.8点と点数アップにはならず。


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川畑選手の単走の走り。前走車がコースアウトをしたため、路面には小石が撒かれてしまっている

 川畑選手の1本目は、安全を狙った走り。ですが1コーナーのアウト側に設けられたゾーン2が不通過となり95.1点と失敗。後がなくなった2本目ですが、ゾーン2で脱輪、ゾーン3不通過で失敗。結果92.7に終わりました。結果、藤野選手は単走5位で追走トーナメント進出を決めたものの、川畑選手はベスト16に残ることはできませんでした。単走はクラッシュが続出し、予定より2時間近く時間が押すなど大荒れ。その中、#31 蕎麦切広大選手(SHIBATIRE RACING)が優勝を決めました。


【第3戦・追走】藤野選手のマシンに大きなダメージ
ベスト8で大会を終える

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藤野選手先行、松井選手とのベスト16戦
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クラッシュしてマシンを引きずり出される松井選手

 藤野選手の相手は、TOYO TIRESのサポートドライバーである#7 松井有紀夫選手(TEAM RE雨宮 マツモトキヨシAPA)。藤野選手先行の1本目、松井選手は1コーナーの侵入で藤野選手の運転席側リアと松井選手の助手席側のリアが接触し、松井選手はそのままコースアウト。松井選手はオイルクーラーが破損しリタイア。藤野選手がベスト8にコマを進めます。


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藤野選手先行、目桑選手とのベスト8戦

 ですが藤野選手のリアは大きく損傷。アライメントが狂うなど、かなり手負いの状態でベスト8の対戦相手である#79 目桑宏次郎選手(TMS Racing Team G-meister)を迎えます。藤野選手後追いの1本目、目桑選手は96点の走りに対してゾーン2不通過の減点2で94点、藤野選手は少し間を置いて綺麗なドリフトを心がけて97点の走りに3.5点の後追いポイントが加わり100.5点。


 藤野選手先行の2本目、目桑選手はスピードを活かして終始ピタリと寄せます。そして藤野選手は第1ヘアピンの出口で、わずかに失速するとともにカウンターステアが戻り気味。その結果、目桑選手と接触。藤野選手95点の走りに対して、目桑選手は96点に後追いポイント8.5の104.5。3ポイント差で藤野選手は敗退し、第3戦を5位、13ポイント獲得しました。優勝は#15 植尾勝浩選手(VALINO VAZESTRA)。


【レース外の様子】応援シートは大盛り上がり
限定アイテムは即完売するも次戦に新作登場

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TOYO TIRESの物販ブース
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新登場のカートに乗るTeam TOYO TIRES Drift GALS

 応援グッズを販売する物販ブースには、TOYO TIRESのカラーで彩られた小さな電気自動車が展示されていました。こちらナンバー取得済みで公道走行できるのだとか。新作アイテムはデフォルメされた2台のGR86が描かれた限定80枚のTシャツが登場したのですが、撮影する間もなく土曜日のうちに完売。次戦で同じ絵柄で黒の限定Tシャツを販売する予定とのことなので、希望される方はお早目に購入されることをオススメします!


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トークショーの様子

 単走と追走の間には、ブース前で選手たちのトークショーが開催。走行直後に自身による振り返り解説があり好評を博しています。最後にはジャンケン大会でグッズをプレゼントなど盛りだくさんの内容でした。


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TOYO TIRES応援シートの様子
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Team TOYO TIRES Drift GALSも一緒に応援!

 さらにメインスタンドではTOYO TIRES応援シートが設けられ、応援グッズを手に声援。Team TOYO TIRES Galsの2人も歓声を送っていました。


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コースウォークの様子
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サインをする藤野選手
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サインをする川畑選手

 両日とも追走トーナメント決勝後にはメインストレート前にマシンを並べ、コースウォークを開催。選手たちは長い時間、ファンにトレーディングカードを手渡し、サインや写真撮影に応じていました。このファンサービスの手厚さがD1GP観戦の魅力。YouTube配信も楽しいですが、ぜひ会場に足を運んでみましょう!


【第4戦・単走】川畑選手7位、藤野選手11位で通過
藤野選手にマシントラブル

 日曜日午前中に行われた単走決勝。前日の大幅遅延を考慮し、開始時間を早め9時40分スタートとなりましたが、この日もクラッシュが相次ぎ、約40分押し……。


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単走に挑む川畑選手

 前夜に行なわれた抽選の結果、川畑選手はAグループ、藤野選手はDグループからの出走。

川畑選手の1本目は168.67km/hで1コーナーに侵入。綺麗なドリフトをみせて97.9点を出して、ほぼ当確。2本目はゾーン3をコースアウトをしてしまい減点2の95.83。


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藤野選手の単走1本目

 昨夜マシンを直した藤野選手の1本目、前日98点を出しているだけに期待です。ですが手負いのマシンゆえか97.18と少し伸びず。


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急ぎトランスミッションを交換
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取り外されたサムソナス製ミッション
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残り1分でジャッキが降ろされコースへ

 そして2本目は1コーナーを抜けたあたりでスローダウン。原因はミッションの3速が飛んだため。ピットでサムソナス製ミッションそのものを乗せ換えるのですが、時間は追走までのコースイン時間(13時5分)までの約40分程度。メカニックは追走準備をしながら、見事に間に合わせてマシンは復帰。ピット前で見ていたファンや関係者から拍手がわき起こりました。


【第4戦・追走】川畑選手、藤野選手ともにベスト8戦で惜敗

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粂選手対川畑選手のベスト16戦・2本目

 今シーズン初の追走に挑む川畑選手の相手は、#8 粂 哲也選手(HIRANO TIRE ★ VALINO RACING)。川畑選手先行の1本目、粂選手は1コーナーでコースアウト。川畑選手は落ち着いて走り切り、19点のアドバンテージを得ます。

入れ替えての2本目も落ち着いた、お手本のような後追いでベスト8へコマを進めます。


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川畑選手対日比野選手のベスト8戦(川畑選手先行)

 ベスト8の対戦相手は、今年復活の#18 日比野哲也選手(SHIBATIRE RACING)。GR86同士の対決です。川畑選手後追いの1本目、1コーナーで日比野選手はゾーンを外すミスをし、さらに失速。そこに川畑選手のラインがクロスして接触しコースアウト。日比野選手は96点の走りに対してゾーン外し減点2の94点。一方、左フロントにダメージを負った川畑選手87点の走りにコース外走行の5点減点、後追いポイント2.5の84.5点と9.5ポイントの差をつけられてしまいます。


 修理が規定時間に間に合わず、5点減点で始まった川畑選手先行の2本目。修理したことを忘れてしまうような川畑選手の見事な走りを披露。川畑選手は98点の走りに5点減点、日比野選手は97点の走りに3.5点の後追いポイントとなり敗退。ですが川畑選手にとって希望が持てる走りでした。


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藤野選手に詰め寄る中村選手

 藤野選手のベスト16戦の相手はベテランの#99 中村直樹選手(TEAM VALINO × N-style)。

中村選手は今年からGR86に乗り換えたので、ここは先輩として勝ちたいところ。藤野選手後追いの1本目。1コーナーまでは少し離れてしまいましたが、後半が常にピタリと綺麗な後追い。中村選手はゾーン3でミスをして2点減点の96点。藤野選手は97点の走りに7.5点の後追いポイントで8.5ポイントのアドバンテージ。ですが中村選手相手の場合、8.5ポイントあってもまったく油断はできません。


 入れ替えての2本目。中村選手によると「藤野さんが一番合わせやすい」というように、終始ピタリと寄せます。一方、藤野選手はお手本のような98点の走り。対する中村選手は94点の走りに後追いポイント12。結果、わずか0.5ポイントで藤野選手がベスト8へ勝ち残ります。「クルマが一緒なので、なんとなく角度だったりとか合わせやすい部分はありましたね」と藤野選手。


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横井選手先行の1本目

 藤野選手ベスト8の対戦相手は、第2戦終了時点でシリーズトップの#70 横井昌志選手(D-MAX RACING TEAM)。藤野選手の後追いの1本目、横井選手に離されず終始ピタリと寄せて、横井選手99点の走りに対して、藤野選手は97点の走りに後追いポイント9,5の106.5点。入れ替えての2本目。横井選手が終始、藤野選手以上の寄せをみせます。藤野選手99点の走りに対して、横井選手98点に11点の後追いポイントで109点。2.5ポイント差で敗れてしまいました。結果、川畑選手5位、藤野選手8位で第4戦を終えました。優勝は蕎麦切選手。初めての優勝に笑顔が絶えませんでした。


【総括】「クルマが煮詰まってきた」
「次はカッコよく走りたい」

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藤野選手

藤野選手 いつもの事なんですけれど、徐々にコースに慣れてきたという感じですね。86の時もそうでしたけれど、86になってから筑波に良い思い出がないんですよ(笑)。金曜日にはコースアウトをしてエアロが壊れたりしましたけれど、メカニックが治してくれて、その後は気持ちよく走ることができました。土曜日の松井選手との接触で、後ろのリアメンバーとかアームが全部曲がってしまって、(コース上の)ホットピットでは修復不可能なので、アライメントとかをなんとなく合わせて、目桑選手と走りました。一度工場に持って帰るか迷ったんですけれど、パーツは全部スペアがあったので、筑波で直した方が速いだろうということで、修理しました。


 何となくクルマが煮詰まってきたかなと思います。先が見えてきたかなという感じですね。ですから 、やりたいことが今回出たかなと思います。次のラウンドまでにはセットアップをして、もっといい方向へ持っていきたいですよね。次戦は優勝を狙いに行きますよ(笑)。


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川畑選手

川畑選手 土曜日はクルマの調子は良かったんですけれど、どうしてもコースアウトをしやすい状況でした。コースアウトは練習走行の時に1度してしまったので、どうしてもそれを嫌って消極的な走りになってしまいました。結果、ゾーンを外してしまったりとか、いい点数が出せなかったですね。


 日曜日は少し頑張ってやったんですけれど、練習走行とか前や後ろの選手がコースアウトをしているのを見ると、またリミッターが効いてしまって、本来できる走りというのがまったくできなかったです。今シーズン初めて追走を走りましたけれど、最初の粂選手がルーキーということもあって、余裕がある状態で対戦でき勝てましたが、日比野選手の時はもう思いっ切りやろうとしたんですけれど、自分の中で上手くクルマも動かせなくて接触もあって。もっといけるのに、というのがあったんですけれどね。その後の走りは思いっきり走れたので、スカッとしました。


 成績はあまり残らなかったんですけれど、いろいろ出しきれていないので、次戦に向けてその辺のメンタルコントロールを頑張ろうと思っています。次戦は、あまり得意なコースではないんですけれど、かっこよく走るのを重点にやってみます。


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昨年のエビス第5戦の藤野選手

 D1グランプリ2023シリーズの折り返しとなる次戦は、8月26~27日の2日間、福島県エビスサーキットで開催予定。いまだ詳細は明らかにされていませんが、D1ライツシリーズと併催することから、コースは昨年開催のバンクをメインコーナーとしたものではなく、従来の西コースでは? と噂されています。得意ではないという川畑選手は、昨年の第5戦で3位を獲得していますので、期待しましょう!


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