強烈な動力性能に斬新なインテリア
EVサウンドなど驚きの連続!
メルセデス・ベンツのEVである「メルセデスAMG EQE 53 4MATIC+」のハンドルを握る機会を得ました。どんなクルマなのか、その走りはどうなのかをレポートします。
メルセデスAMG EQE 53 4MATIC+
今回、試乗したのは「メルセデスAMG EQE 53 4MATIC+」というEVです。


ちなみに昨年9月には、同時にもうひとつ上のクラスの「EQS」も発売となりました。どちらも、メルセデス・ベンツ初のEV専用プラットフォームを採用しており、客室を前側に置いたキャブフォワードデザインと、ワン・ボウ(弓)をイメージしたフォルム、シームレスデザインの「センシュアルピュリティ」コンセプトを採用しています。そのため、まぎらわしいことに、「EQE」と「EQS」は顔つきとスタイルがそっくりなのです。
ただし、よくよく2台を見比べてみると「EQE」の方が全長は短く、トランク部分が小さいというのが2車の違いとなります。具体的に言えば「EQS」の全長5225mmに対して、「EQE」は4955mmとなり、270mmの違いがあります。よりセダンらしい「EQS」に対して、「EQE」は5ドアセダン的なプロポーションになっています。

そして、スタンダードの「EQE 350+」と、AMGバージョンの「メルセデスAMG EQE 53 4MATIC+」はどう違うのか。エクステリアの違いはフロント周りのデザインとホイールなど、わずかなもの。


ただし、搭載するリチウムイオンバッテリーはスタンダードもAMGも同じ90.6kW。そのため航続距離は、スタンダードの「EQE 350+」は624km(WLTCモード)に対して、AMGバージョンの「メルセデスAMG EQE 53 4MATIC+」は549km(WLTCモード)。パワーがある分、75kmほど航続距離が短くなっているのです。
ちなみに価格は、「EQE 350+」が1248万円なのに対して、「メルセデスAMG EQE 53 4MATIC+」は1922万円。十分に高額ですが、スタンダードに対してAMGの価格が2倍というわけではありません。
スペックもスゴイが中身はもっとスゴイ!
左右141cmの中に収まった巨大スクリーンの衝撃!
スペック的に驚きの多い「メルセデスAMG EQE 53 4MATIC+」ですが、実車に触れるとさらに驚かされました。
まず、インテリアにびっくりします。全体のレイアウトや6本スポークのステアリングは、それほど珍しいものではありません。しかし、運転席の前からセンターコンソール、そして助手席の前まで、ダッシュボード全体が1枚のワイドスクリーンになっていました。



走らせてみると、また別の驚きがあります。街中を流れに乗って走らせている分には静粛性に優れたEV、しかも上級セダンとしての上品さを感じさせます。どっしりとしており、そして穏やかな所作です。ところが、いざアクセルを深く踏み込めば、AMG版ならではの強烈な加速を見せます。460kW(625馬力)、最大トルク950Nmの加速力は尋常なものではありません。まるで遊園地のジェットコースターのよう。身構えていないと、首が痛くなりそうなほどです。



これがEVへのパラダイムシフトサウンドだ!
メルセデス流EVサウンドが流れる
ステアリングについている丸いダイヤルでドライブモードを変更することができます。そこで「スポーツ」にして加速すると、加速にあわせて不思議なサウンドが車内に響き渡ります。これが「サウンドエクスペリエンス」というもの。
強烈な加速に、ドライバーの気持ちを高めるEVサウンド。とはいえ「メルセデスAMG EQE 53 4MATIC+」がスポーツカーかといえば、そういう印象はありません。車両重量が2540kgもある超ヘビー級ということもあり、どれだけ加速力に優れていようとも、動きそのものはセダンの範疇です。ただし、快適でゴージャスな気分に浸れる高級セダンでありながらも、その上で驚くほどの動力性能を備えている存在は稀有なもの。しかも、モダンさもあわせ持ちます。


EVというだけでなく、驚くほどのモダンさと高級感、静粛性と高い実用性。そして驚異の動力性能。それらすべてを満たす、欲張りな1台が「メルセデスAMG EQE 53 4MATIC+」だったのです。
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筆者紹介:鈴木ケンイチ
1966年9月15日生まれ。茨城県出身。
最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)。
