ゆみちぃ部長の「腰に優しいクルマ探訪」の2回目となる今回は、BMWのSUV「X1」をチョイスしてみました。SUV大好き部長は、きっと気に入ってくれるハズ!
◆BMWのSUVを知るにはまずエントリーの「X1」から
なぜ今回、BMWのX1をセレクトしたのか。コトの発端は、お仕事で寺坂ユミさんを撮影されているプロカメラマンが、「ASCII.jp自動車部」の記事を見つけたことに起因します。

突如BMWに興味を抱いた、ワガママ部長の希望を叶えるべく、エントリーとなるX1をお借りしてきた、というわけです。

「BMWの商品構成ってどういう感じなのですか?」と尋ねる部長。「数字の前にXがついたらSUVで、MとZがついたらスポーツ系のモデル。アルファベットがつかなかったら、普通のセダンかクーペですね」と、ザックリと説明。そのうえで「頭の数字が1、3、5、7と奇数だったらコンサバティブなデザイン、2、4、6、8と偶数だったらクーペスタイルになります。数字が大きいほどボディーサイズが大きくて、値段も高いです」と、おおまかなBMWの掟を伝授。
「なるほど! つまりX1ということは、BMWでイチバン安いSUVということですね」と、ゆみちぃ部長は実に飲み込みが早くて助かります。イチバン安いといっても586万円以上はするわけで、十分に高いのですが。
◆BMW X1はスポーツモデルも存在
2023年2月に日本に上陸した新型BMW X1。X1としては通算3代目にあたるモデルで、2シリーズ アクティブツアラーなどと共通の、FFプラットフォームを採用しています。
グレードでパワートレインの仕様に関わらず「Xライン」とスポーツ系の「Mスポーツ」を用意。2つのグレードに上下はなく、価格も同じ。ちなみに「もっとパワーを!」という御仁にはエンジンの最高出力を317PSにまで高め、さらに連続可変ダンパー「Mアダプティブサスペンション」を備えた「X1 M35i xDrive」が用意されています。



BMWのSUVの中で、イチバン安くてイチバン小さいといっても、寸法は全長4500mm、全幅1835mm、全高1645mmと、Hondaの「ZR-V」とほぼ同寸。いわゆるミドルクラスSUVに属します。逆にいえば、日本において「実用面と道幅から考えて、このくらいの大きさが限界」な気がします。というのも、これより大きなクルマになると、駐車場や細い道などで少なからず苦労することになるから。
都内には、こういう場所は意外と多く「クルマは簡単に大きくなるけど、道はそうはいかない」と思うわけで、その限界値がX1ぐらいのミドルクラスSUVだと思う次第です。

話を戻しましょう。BMWといえばキドニーグリル。

このキドニーグリル、最上位のXMをはじめ、今年発売予定のX2など、最近では光るようになりました。「これだと夜でもBMWだって、わかりますね」と思いきや「さすがに夜光るのは……」と、やや引いたようです。







BMWの奇数はコンサバティブなデザインとお話しました。ということで、スタイリングはクロカンテイスト。ゆみちぃ部長的には「これは荷物がいっぱい載りそう」というわけで、大好きなスタイリングです。荷室の容量は540Lで、後席を倒せば1600Lへと大幅に拡大。ただ完全フルフラットにはならず、車中泊は難しそう。
◆後席は広いしリクライニングもするが……




ゆみちぃ部長は、腰を痛めて以来「後席の居心地」をとても重視しています。その点において、X1の広さはCセグメントSUVトップクラスといえるもの。







後席は十分すぎるほど広いし、シートにはリクライニング機構もある。アメニティも問題ナシ、革の質感もイイ感じ。何より室内の雰囲気が実にイイ感じで「スピーカー部分などにある格子模様みたいなのがカッコいい。このセンスのよさがBMWですね」とニッコリ。
しかし、「5人乗りなのに、フロアー中央が盛り上がっているんですね。真ん中に座る人はお子様限定ですね」から始まり、「ドアのところの段差が結構おおきいですね。あとシート先端とドアの開口部分が思ったより狭くて、乗り降りが少ししづらいかも」というではありませんか。
4WDだからドライブシャフトが真ん中通るから中央が盛り上がりますし、サイドシルが盛り上がるのは衝突安全基準によるものなのですが、そんな言い訳は彼女に通用しません。そしてトドメが「リクライニング量が足りない。もっと倒れてほしい」と重箱の隅を突きまくります。
実はX1ほど倒れるクルマも珍しく、同じくらい倒れるのはトヨタの「ハリヤー」とレクサスの「RX」でしょうか。










次に運転席に着座。「おぉ、BMW」と、感動したようです。「インテリアがとても素敵です!」と、ここでも称賛の声をあげます。「近未来的なのですが、高級感があっていいですね」と、シンプルながらコクピット感のある、それでいて上質な空間にウットリ。収納部分を、またしても重箱の隅をつつくようにチェックすると「アームレストの収納が助手席側に開口するんですか?」と、素朴な疑問。もともと左ハンドルのクルマですからね……。
◆スマホ連動はiPhoneのCarPlayがメイン






操作系をチェックしましょう。走行モードセレクターはイマドキなシーソースイッチ式。メーターパネルは昨今のBMWではおなじみのカーブドディスプレイです。「ノングレアだったら見やすいのに」というのはスマホにうるさい部員S。「でも、光沢の方が高級感ありますよ」とゆみちぃ部長。
ステアリングリモコンまわりは、かなりスッキリしていて、クルーズコントロールも、あれこれボタンを押さなくても、一発で速度と車線監視が決まります。いちいちセットボタンを押さなくてよいのはホントに便利。










ASCII.jpらしく、車両のスマホ対応チェックしましょう。スマホトレイは挟み込み式でサイズを問わないのが◎。その一方でワイヤレス充電に非対応なのが残念なところ。ひょっとしたらオプション設定であるのかもしれません。
ワイヤレスApple CarPlayには対応していますが、Android AUTOは非対応で、Android端末を接続するとBMWアプリのインストール指示がなされ、そして連絡先の同期が始まります。さすがに個人情報を広報車に残したくないので、今回同期しませんでしたが、その後はBluetoothでコントロールできるようです。
驚いたのはアレクサ対応だったこと。家の家電などもアレクサでコントロールできるのでしょう。



車内を見回した部長は、ルームミラーあたりにカメラがあることを発見。「なんですかコレ?」というと、これはどうもドラレコカメラのよう。そして車内撮影にも使えそうです。つまりお友達とドライブして記念撮影ができる、というわけです。



エンジンは、2L 直4 DOHC 16バルブ ターボで、最高出力は204PS(150kW)/5000rpm、最大トルクは300N・m(30.6kgf・m)/1450~4500rpm。トランスミッションは7段ATで、四輪駆動というのが動力スペック。燃料は今や贅沢なハイオク専用。ガソリンタンク容量は54Lですから、高速道路でハイオク満タンをしたら1万円コースになります。
さて、前置きが長くなりましたが、試乗記に移りましょう。
◆SUVでも駆けぬける歓びは変わらず!

BMWらしい重厚さよりも、カジュアルで気負いのないクルマという印象。カジュアルといっても、それはBMWというブランドの中であって、乗り味は十分に高級車です。BMWの期待に違わないし、それがブランドというものでしょう。
ゆみちぃ部長が最初に戸惑ったのは、ペダルの前後関係。ブレーキペダルに合わせると、かかとを軸にアクセルペダルを踏もうとした際に、小さな足だと届かないようなのです。教習所のような「ペダルをきちんと踏み変えましょう」であったり、レーシングドライバーのような左足ブレーキなら問題はありません。「これはちょっと、疲れるかもしれません」と慣れるまで苦労された様子。

乗り味は、硬い柔らかいというと硬め。そのあたりは、実にドイツ車らしいといえます。それが時として後席に座る同乗者にとってはつらい時も。今回、ゆみちぃ部長は主に後席に座っていたのですが、居住性に文句はないものの、シートの硬さも相まって、たとえば高速道路のつなぎ目などでは「うーん、もう少し柔らかいといいのですが」とも。
運転している時は、そのような不満はないようで、むしろ快適そのもの。おそらく後ろのダンパーが硬いのかもしれません。
パワー感に不足はまったくナシ。強いて言えば低速トルクが少し細いかなとか、DCTだからか、発進時にほんのわずかギクシャクするかな? というのはあったりしますが、それとて重箱の隅をツンツンした程度の話。驚いたのは、ハイブリッド車ではないのに、街乗りでリッター13kmを記録したこと。リッター10km以下を覚悟していたので、これはうれしい誤算でした。




走行モード切替は「パーソナル」「スポーツ」「エフィシェント」「エクスプレッシブ」「リラックス」「デジタルアート」の6種類。サスペンションは固定減衰なので変わりはないものの、モード変更でアクセルレスポンスやメーターの表示機能、快適装備や疑似エンジン音、イルミネーション、さらにはACC制御まで変えるというからすごい。
パーソナル、スポーツ、エフィシェントは何となくわかるのですが、エクスプレッシブやリラックス、デジタルアートというのは、何が何やらわからず。部員Kが運転中、助手席に座った部長がリラックスを選ぶと、シートマッサージが作動しはじめたではありませんか! 「な、なに?」と驚くとともに「とめて! 運転中にコレは勘弁!」とひとり大騒ぎ。その慌てぶりに、ゆみちぃ部長は大笑い。ですがモードを切り替えてもマッサージは切り替わらず……。メニュー画面からマッサージ機能を見つけて、事なきを得ました。

「後席の乗り心地が、もう少し柔らかいといいなと思いました。でも運転している時はとても良くて、何より楽しいクルマでした」と、駆けぬける歓びを実感したゆみちぃ部長。「すごくイイクルマですね。でも600万円かぁ……」とソロバンをはじかれていました。
そして「ほかのBMWのSUVにも乗らないと、このクルマがどういうクルマなのか、わからないですね」とも。過去MINIの全モデルを試乗する「ミニMINI大作戦」を行ないましたが、今度は「BMWのSUV、全部乗る」という、おそろしい企画を言い出したゆみちぃ部長。それくらいBMWが気に入られたようでした。だから、今までゆみちぃ部長にBMWを乗せてこなかったのです。絶対「全部乗りたい!」と言いだすのがわかっていたから……。
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寺坂ユミ(てらさかゆみ)プロフィール

1月29日愛知県名古屋市生まれ。趣味は映画鑑賞。志倉千代丸と桃井はるこがプロデュースする学院型ガールズ・ボーカルユニット「純情のアフィリア」に10期生として加入。また「カードファイト!! ヴァンガード」の大規模大会におけるアシスタント「VANGIRLS」としても活躍する。運転免許取得してから上京後は一切運転していないが、最近は自動車にも興味を抱く。こだわりが強く興味を抱くとのめりこむタイプであることから、当連載で、お気に入りの1台を探す予定。