ランドローバー「ディフェンダー 90 V8」1500万円

4WDの血統を脈々と受け継ぐランドローバー

 今や乗用車の定番となっているSUV(スポーツ・ユーティリティー・ヴィーグル)。多くのモデルは街乗りをメインとしたクロスオーバーSUVが基本ですが、もちろん厳しい悪路走行を前提とした「クロカン」(クロスカントリー)と呼ばれる本格派モデルも熱狂的な支持を集めています。


 その中でも伝統的にSUVばかりを生み出してきたブランドがあり、イギリスを代表する4輪駆動車ブランド「ランドローバー」もそのひとつ。

今回は、ランドローバーが送り出すクロカン「ディフェンダー」の変わり種「V8」モデルをご紹介します。


エコもなんのその! V8エンジンで525馬力のSUV「ディフェンダー」は趣味車として最高の選択肢
ディフェンダー
ランドローバーの過去のモデル

 まずランドローバーについて、少し説明しましょう。ランドローバーは、高級クロカンとして有名な「レンジローバー」で知られる自動車ブランドですが、その原点に最も近い存在が今回の主役「ディフェンダー」です。元々は悪路走破性を重視した質実剛健のクロカンでしたが、2019年に発表された現行型は、全面刷新を図ることで、高い走破性やワイルドな雰囲気を受け継ぎつつ、乗用車としての性能が磨かれています。


 その結果、世界的な大ヒットに。特に日本で販売されるランドローバーの大半が、ディフェンダーだと言われるほどです。


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ディフェンダー
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このご時世に5L V8 525PSで車重は2t超え!

 ボディータイプは、3ドアショートボディーの「90」、5ドアロングボディーの「110」、5ドアエクストラロングボディーの「130」が用意されています。パワーユニットは、ダウンサイズエンジンの2.0L 直4ガソリンターボとマイルドハイブリッド仕様の3.0L 直6ディーゼルターボを基本としていますが、なんと2024年モデルより、5.0L V8スーパーチャージャーエンジンを搭載したハイパワーモデル「V8」が選べるようになったのです。


エコもなんのその! V8エンジンで525馬力のSUV「ディフェンダー」は趣味車として最高の選択肢
ディフェンダー

 V8エンジンの性能は、最高出力は386kW(525PS)/6000rpm、最大トルク625Nm/2500~5500rpmを発揮します。トルク重視である3.0L 直6ディーゼルターボエンジンは最大トルクが650Nmなので上回っていますが、最高出力は221kW(300PS)と圧倒的な差があります。


 それもそのはずで、このV8エンジンは、ランドローバーの高性能モデルや上級モデルに搭載されていたものであり、同門のジャガーの高性能セダンやスポーツカーにも搭載されていたもののデチューン版でもあります。いわゆるスポーツ系の高性能エンジンであり、それをクロカンであるディフェンダーに載せてしまったというモンスターなのです。


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ディフェンダー
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 V8モデルは「90」と「110」の2タイプのボディーが選べますが、今回は最もコンパクトな「90」を選択。

なにしろ110だと全長が5m近く、ホイールベースも3mほどあるので、都市部ではちょっと気を使います。しかし、90ならば全長4.5mとホイールベースも2.6mほど、車重は2310kgなので、国産SUV並みの取り回しやすさを誇ります(90の本体サイズは全長4510×全幅1995×全高1970mm)。その身軽さとV8パワーのマッチングを試してみたかったのです。


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ディフェンダー
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エンブレムやスポーティーな演出など
V8モデルならではの差別化

 内外装は基本的には、他グレードと共通ですが、各部にはさり気ない差別化が図られています。エクステリアでは、ボディーサイドに「V8」エンブレムを装着。さらにリヤスタイルの力強さが増す「クアッドアウトボードマウントエキゾーストパイプ」や「グロスブラックブレーキキャリパー」などを標準化。さらにインテリアは、ステアリングがスエード仕上げとなるなどスポーティーな演出が加えられています。


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ディフェンダー
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 スポーティーな3ドアボディーは5人乗り仕様となっており、後席も快適なスペースを確保しています。その分、ラゲッジスペースは小ぶりですが、後席は可倒式となっているので、2名+αの乗車なら必要な荷物はしっかりと積み込むことができます。


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大排気量エンジンならではの滑らかなフィール

 エンジンを始動すると、重厚なV8サウンドを轟かせますが、大排気量エンジンらしい滑らかなエンジンフィールも魅力のひとつ。サスペンションもエアサスを搭載しているため、乗り心地も上々です。もちろん、軽くアクセルを踏み込めば、俊敏な加速を見せるので、常にスピードの出し過ぎには注意が必要ですが、かなり大人な味付けでもあります。この雰囲気は、武骨なディフェンダーの中に、レンジローバー系で楽しめる大人の余裕を隠し味として追加していると表現したくなります。


 ちなみに、このV8エンジンは先代レンジローバーにも搭載されていました。

今回の試乗が街中のみというのが、非常に残念でなりません。ただ、V8エンジンと最も軽快な走りの「90」の組み合わせとあって、機敏な身のこなしを活かしたスポーティーな走りを感じることができました。


 きっと高速や峠に連れ出すと、新たな一面を見せてくれるでしょうから、その機会を楽しみにしたいと思います。


エコもなんのその! V8エンジンで525馬力のSUV「ディフェンダー」は趣味車として最高の選択肢
ディフェンダー

いつまでも あると思うな V8モデル
買うなら今でしょ!

 ディフェンダーのV8モデルは、本国では設定があったものの、日本では2024年モデルが初上陸。発表時点では、2024年モデルだけの特別設定とのことでしたが、好評のようなので、ひょっとすると今後も続投、または限定車として登場する可能性もあるでしょう。


 しかし、年々環境規制が強化される現在、いつV8仕様が生産終了してもおかしくないのも事実。欲しいならば、今が絶好の機会といえます。


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ディフェンダー

 その価格は、標準仕様の「90 V8」で1500万円と超高価。エントリーの2L 直4ガソリンターボ「90 S」の約2倍の価格となっています。1台で同じクルマが2台も買えてしまうとは、まさに選ばれし者のディフェンダーといえるでしょう。


 ロングボディーの「110 V8」は1588万円となっており、より7人乗りの大きなボディとなることで、ちょっとお買い得のような錯覚になりますが、こちらもエントリーの「110 S」の約2倍の価格となっています。


 最新技術で蘇った伝説のクロカンに、ちょっとクラシカルなV8スーパーチャージャーという組み合わせは、かなりユニークなもの。

趣味車として、かなり面白い選択といえそうです。


エコもなんのその! V8エンジンで525馬力のSUV「ディフェンダー」は趣味車として最高の選択肢
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