JAF公認のドリフト競技日本選手権「D1グランプリ」。その2024年シーズン第3戦と第4戦が6月29~30日の2日間、筑波サーキット(茨城県)で開催されました。
ASCII.jpが応援する昨年のシリーズチャンピオンにして、参戦20年目を迎えたTeam TOYO TIRES Driftの様子をレポートします。
【大会前の様子】GR86は新型リアスポイラーでカッコよさマシマシ
コースは例年同様、筑波サーキットの約半分を使う今大会。スタート位置は例年よりもメインスタンド側へと移動した以外、大きな変更はないようです。
シーズン屈指のロングコースゆえタイヤへのダメージが心配されますが、TOYO TIRESは持ち込んだタイヤ「R888RD」に特別な対策はしていないとのこと。それだけ完成度の高いタイヤなのでしょう。
#66 藤野選手、#88 川畑選手はリラックスした表情。GR86に新型リアスポイラーが装着されていたことがトピックス。今までと比べて大型化したことから、ダウンフォース対策かと思われましたが、藤野選手によると「新しいスポイラーがパンデム(エアロメーカー)さんから出たのでつけてみました。新しいからカッコいいかな(笑)」と笑顔。ちなみに「今まで使っていたものと直接比較をしたわけではないので。効果はあると思うのですけれど、正直、現状ではわからないですね」とのこと。
【第3戦・単走】藤野選手11位、松山選手18位、川畑選手22位で終える
この日は前日の大雨から一転してのドライコンディション。朝は曇天模様でしたが、次第に雲は晴れ、初夏の陽気の中で大会は行なわれました。出走38台のうち、午後の追走トーナメント決勝に行けるのは16台。
天気が雨から晴れに変わったということもあって、各選手は苦戦。特に必ずタイヤを通さなければならないゾーン設定がアウト側に設けられている1コーナーでクラッシュが続出! スポンジバリアーに競技車が吸い込まれるように刺さり、何度も競技が中断しました。
前日の練習走行でクラッシュした川畑選手。メカニックの頑張りによりマシンは修復したものの、土曜朝の練習走行も走ることはできず、いきなり本番を迎えました。1本目は1コーナーでミスをして94.7。2本目もセクター1の点数が伸びずに95.7。結果22位で第3戦を終えてしまいました。
藤野選手は1本目97.4を記録。2本目はゆっくり走行。タイヤ温存かと思われましたが、実は1本目でエンジンの不調を感じ、2本目でさらに悪化したため、途中で中断。結果11位で単走を終えて追走へ進むことができましたが、直すことはできるのでしょうか?
前戦で単走優勝を果たした松山選手。
【第3戦・追走】藤野選手のエンジンは治らず! 12位で大会を終える
藤野選手のベスト16戦の相手は#2 田中省己選手(SEIMI STYLE SHIBATIRE DRIFT)。ですが藤野選手のエンジンは治っておらず、1本目を走らせるもののスロー走行。2本目はリタイヤを宣言し、12位で大会を終えました。優勝は#87 齋藤(太)選手(FAT FIVE RACING)が、前戦の雪辱を果たしました。
川畑選手「金曜日の練習走行1本目でマシンを壊してしまい、単走の状態ではいまだちょっとおかしい状態でした。チェック走行も何もできていない状態で、ぶっつけ本番が単走本番で。全然、無理できなかったですね」
松山選手「筑波の高速レイアウトにGRカローラの長いホイールベースが合うんじゃないかと思って来ました。ウェットはそれなりに良かったんですけれど、晴れになってから、思いのほか乗りやすくなりませんでした」
藤野選手「1本目の前のチェックランの時は問題はなかったのですけれど、単走1本目で力がないような、路面が変わった感じがして。スタートで、いつもかかっているブースト圧がかからなくなり、何かおかしいと思った時、1セクターを立ち上がったところですごい振動があって。単走後に色々調べたらエンジンが原因で、ブーストが全然かからない。
【大会の様子】タイヤメーカー応援シートは大いに盛り上がる
都心から自動車で約90分という立地もあってか、筑波サーキットは人・人・人。追加で立ち見チケットが出るほどの盛況ぶりでした。
今大会ではタイヤメーカー応援シートが用意されたのがトピック。記念グッズも手に入るということもあってか、席は即完売という人気ぶり。お邪魔してみると、Team TOYO TIRES Driftの総監督を務める「ドリフト侍」こと今村隆弘さんが場を大いに盛り上げていました。
TOYO TIRESの出展ブースでは、新作の子供向けTシャツが人気。親子でチームを応援するのに好適です。
また、20周年を迎えての記念Tシャツも好評。これはチーム関係者が全員着ているものと同じです。大会関係者や他のチーム関係者からは「〇〇選手のカーナンバーって20でしたっけ?」と戸惑う姿を目にしました。
単走と追走の間ではドライバーによるトークショーも開催。
大会の最後には、選手がメインストレートでサインや記念写真に応じる姿も。ピット前でも同様の姿を何度も目にしました。レースはもちろんのこと、ファンサービスの厚さが、D1グランプリの大きな魅力です。
日曜日にはダウンフォースジャパンというイベントも併催。空力パーツを装着した一般参加のクルマが数多く展示されていました。
【第4戦・単走】藤野選手5位、松山選手7位、川畑選手12位で追走進出
前日に比べると雲の多かった日曜日。気温は少し下がり、過ごしやすい中で9時30分から単走決勝が行なわれました。
エンジンを交換した藤野選手は、1本目が98.1、2本目はゾーン3を外して96.8。単走5位で追走トーナメント進出を果たします。
川畑選手は1本目97.2、2本目97.0と前日に比べ点数を伸ばすことに成功。車速も168.49km/hと高く12位で追走トーナメント進出を決めました。
松山選手は1本目97.9と追走トーナメント進出の安全圏に入ると、2本目は攻めた走りを披露。ですが、途中のJ2区間とセクター5でミスして90.4。7位で追走へとコマを進めました。この日の単走優勝は#18 日比野選手(SHIBATA RACING TEAM)が勝ち取りました。
【第4戦・追走】藤野VS川畑はわずか0.3ptで決着
川畑3位表彰台で反撃の狼煙をあげる
松山選手のベスト16戦の相手はヴィトー 博貴選手(DRIFT STAR Racing)。松山選手先行の1本目は、相手を寄せ付けない走り。入れ替えての2本目で松山選手はドリフトの戻りが多発。10点減点されてしまい12位で大会を終えました。
追走トーナメントのベスト16戦で、藤野VS川畑のチームメイト同士の対決が実現。マシンも同じ、さらに言えばタイヤの空気圧も同じにし、イコールコンディションでの対戦となりました。
藤野先行の1本目、綺麗なラインをトレースする藤野選手に対し、川畑選手は終始、うしろにつける走り。藤野選手99.1の走りに対し、川畑選手は97.1の走りに12.7の後追いポイントを獲得して109.8。
入れ替えての2本目。
川畑選手ベスト8の相手は、同じTOYO TIRESユーザーである#70 横井選手(D-MAX)。川畑選手後追いの1本目、ここでも藤野選手との対戦のようにピタリとつける走りで10.7ポイントの後追いポイントを獲得し、有利に進めます。
入れ替えての2本目。横井選手もピタリとつけますが、最終コーナーでコースアウト減点。併せて少し離れてしまい、後追いポイントを稼ぐことが出来ず。川畑選手の勝利となりました。
ベスト4戦の相手は#18 日比野選手。GR86同士の対決です。川畑選手後追いの1本目。前半部分では少し置いて行かれたものの、後半で巻き返しをみせます。ですがセクター3を真っ直ぐに走行する部分があり点数が伸びず。大きなアドバンテージを日比野選手に与えてしまいます。
圧倒的不利な状況での2本目。日比野選手は深追いせず自分の走行をして勝利。ここで川畑選手の3位が決定しました。優勝したのは前日に続き#87 齋藤(太)選手。
大会を終えた3選手に話を聞きました。
藤野選手「単走は1本目98.1を出して追走は決まったと思い、2本目は攻めたのですけれど、ゾーン3で外してしまいダメでした。追走は、お互いに変なことは考えずイコールコンディションで行こうと。自分も失敗した部分があったので、0.3ポイントという勝敗につながったのかなと思います」
松山選手「色々と足のセッティングを変えて今日の練習走行を走って、何となくまとまってきたかなと。追走はちょっとパワーが出てなくて。2本目もやはり余裕がない感じでドリフトをするのが精いっぱいで、相手に合わせられず戻りで大きく減点をしてしまいました。新しいクルマになったので、もっとテストをしてクルマの動きを自分の意のままにしなければダメですね」
川畑選手「セッティングはファイナルギアを変えるなど、色々と調整して今日に挑みました。練習では98点の後半が出ていたのですけれど、単走では97.2で。スピードでは横井選手にはついていけないかなと思ったのですけれど、ちょっと上手く乗り方で何とか帳尻があったかなという感じでした。ですが、ちょっと詰まるような感じで、セクター3で0点になってしまった。あれがなければ勝てたかもしれません」
【次戦】昨年TOYO TIRESが圧勝したエビスサーキット
秋の巻き返しに期待したい
次戦のD1グランプリは9月28~29日の2日間、福島県のエビスサーキットで行なわれます。
昨年は藤野選手が1日目の単走と2日目の追走で優勝、川畑選手が1日目の追走で優勝。松山選手も2日目の単走優勝に追走も2位とTOYO TIRESが圧倒。ゲンの良いコースといえます。
松山選手にロングホイールベースのクルマは相性がよいのでは? と尋ねると「そう思って筑波に来たんですけれど……。ちょっとわからないですよね」と不安な表情。
川畑選手は「まずは順位がつくところまでは行けたのですけれど、これで喜んではいけないポジションですよね。きちんと追走に出ることが大切。もっときっちりやっていかないとですね」と気を引き締めた表情をみせました。
藤野選手は「次のエビスは昨年優勝しているので、今年も優勝を目指し、シリーズを巻き返したいです。エビスまでの2ヵ月はメンテナンスであったり、スペアのエンジンを使ってしまったので、それを作ろうと思っています」と、次戦を万全の準備で臨む様子。
思い起こせば昨シーズンは筑波まで不調だったTOYO TIRES陣営でしたが、エビスで一気に流れを変えました。今シーズンもほぼ同じような展開で進んでいるように思います。次戦エビスでのTOYO TIRESの巻き返しに期待しましょう!
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