7月20~21日の2日間、東京ビックサイトにて「東京キャンピングカーショー2024」が開催されました。今年は過去最多となる100社/229台以上のキャンピングカーが出展されたとあって会場は大盛況。
会場はとにかく人、人、人、そして犬
キャラバンMYROOM
日本RV協会の「キャンピングカー白書2023」によると、国内のキャンピングカー保有台数は過去最高となる14万5000台に達しているのだとか。また昨今のアウトドアブームなども相まって、「軽キャンパー」「車中泊」といった言葉が一般化しているのは、誰もが知るところでしょう。
今後も成長が期待される市場とあって、日産自動車は昨年、キャラバンを車中泊仕様に架装した「キャラバンMYROOM」を出したのも記憶に新しいところです。


そんな状況もあってか、会場内は人、人、人。筆者はキャンピングカーに関するイベント取材は、2019年に幕張メッセで開催された「ジャパンキャンピングカーショー」以来なのですが、その時とは比較にならないほどの人の多さに驚いた次第。年齢層は幅広く、老若男女という言葉がピッタリ。

来場者の関心度の高さも印象的。ブースによってはキャンピングカーに関するハウトゥーを説明されるのですが、あっという間に人が集まるほか、説明員に積極的に話を聞く人も多いように見受けました。

ほかの自動車展示イベントで見かけないのが、愛犬と一緒に回る人の多さ。あちらこちらで犬の鳴き声が聞こえましたし、足元に何か当たったと目を落としたら犬の姿が……なんてことも。犬は家族の一員なので、キャンピングカーにも乗せたいですよね。
キャンピングカーのメインは「バンコン」
キャンピングカーは、軽自動車からワンボックス、バスやトラックを改造したもの、そしてけん引タイプまで様々。これだけ種類があるのは、オーナーのライフスタイルに合わせてのことなのですが、とはいえ売れ筋が気になるところ。




バンコンとは、ワンボックス車やミニバン、ワゴンをベースに架装を施したモデルのこと。バン+コンバージョン(架装、改造)の略です。元のナンバーのまま登録できる仕様から、ポップアップルーフの架装や、キャンピング登録に必要なキッチン設備を持つ8ナンバー仕様など多種多様なモデルが存在します。
写真のモデルは、業界大手ホワイトハウスがハイエース標準ボディーをベースに架装した「Bit's POP UP ROOF」。人気の理由は、ハイエース標準ボディーなので、高さ制限2.1mの駐車場に入る取り回しのよさと、室内装備の充実・快適さ。テーブルや椅子が置かれているので、これで寝られるのか? と思いますが、収納すれば幅広いベッドスペースを作ることができます。水回りも完備されているのも驚きです。
ただ、商用車ベースですので「普通のクルマ」に慣れている方にとっては「乗り心地が……」「車線監視クルーズコントロールは?」といった物足りなさもあったり。それゆえ、色々な車種があるというわけですね。
軽自動車のキャンピングカーは300万円~400万円くらい




それでは1~2人の利用にピッタリな軽自動車のキャンピングカーから見ていきましょう。ホワイトハウスのN-BOX CAMPER Neo POP UP ROOFは、ベース車両にポップアップルーフを取り付け、大きなマットレスを敷いたという、架装割合の低い1台。価格も289万4100円と比較的低価格でした。




軽キャンパーで人気が高いのはHondaの「N-VAN」を架装したモデル。ALFLEXのmia picnicaは見た目に楽しい1台で、荷室部分にワッフルカウチを設置。このカウチがベッドにもなります。サイドタープも取り付けられています



N-VANの架装で最も多いのが水回り+電子レンジ付きという仕様。フロアーは2階建てにすることで、下側に荷物の収納スペースを設けています。価格は車両込みで300万円を少し超える場合が多いようでした。





ここから先は、軽キャンパーとしては高額の部類に入るモデルをご紹介しましょう。
ダイハツ「アトレーRS」をベースにVANTECHが大人の軽キャンパーへと仕立て上げた1台。間接照明によって、大人の空間に仕上げられているのが特徴です。驚いたのはオプションのプルダウンベッド。




カラーリングやインテリアのオシャレさから、若い女性からの視線を集めていた1台。ベースモデルはダイハツのハイゼットカーゴで、ここまで可愛く仕立てられるのかと関心した次第。それ以上に軽自動車で向かい合って食事ができるのは、かなり画期的。テレワークにも使えそうな1台です。





スズキ「キャリイトラック」の荷室部分を大幅にさせたオートショップアズマのK-ai。車内をみるとL字型のシートにテーブルという仕様で、肩を寄せて食事をしたい人には良さそう。さらに天井を高くすることができるので、大柄の男性が立った状態で車内移動ができるのも◎。
普通車ベースのキャンピングカーは
バンコンよりは少しお安め

軽自動車はちょっと狭い、車両として機能面で物足りない人には、普通車ベースのキャンピングカーがオススメ。大型のリチウムイオンバッテリーを搭載し、エンジンをかけずともエアコンが使えるモデルが多いという特徴があります。それでは見てみましょう。





トヨタ「タウンエースバン」をベースにしたStage21の「リゾートデュオ ルクシオ」。




ホワイトハウスがスズキ「ジムニー」の5ドアをポップアップルーフ仕様にチェンジ。どこでも行けるクルマで、どこでも寝れる。真のアウトドアを体験したい方にピッタリといえそうです。



日産「NV200バン」をベースにしたキャンピングカー。サイズのわりにお求めやすい価格でありながら、サブバッテリーは105Aと大容量。走行充電も可能なのも◎。ほかにも様々なところで、ものようなミニバンベースのキャンピングカーを見かけました。






ホワイトハウスがFIAT「DUCATO」をベースに作成したバンコン。バンコンとしては最大級の大きさです。手洗いやシャワースペースが設けられており、価格も1500万円を超えるハイエンドぶり!
キャンピングカーの王道!
キャブコンタイプも根強い人気
それではキャンピングカーの王道といえる、運転席部分以外を居住スペースに乗せ換えたキャブコン(キャブコンバージョン)タイプを見てみましょう。




三菱自動車のピックアップトラック「トライトン」の荷台部分にアドオンするキャブコンタイプのキャンピングカー。取り外しができるそうで、車検や自動車売却時に上物を取り外すだけで済むそうです。取り外しはかなり大変だと思いますが……




トヨタ「ハイラックス」をベースにしたVANTECHが作成したキャブコン。「世界の様々なフィールドを制覇するクロスカントリーキャンパー」というコンセプトで開発され、エクステリアは力強さを覚えるデザインが印象的。いっぽう室内は落ち着いたラグジーな雰囲気でした。






トヨタの「ダイナ」(トラック)をベースにしたキャブコン。このあたりのモデルになると、車内にトイレとシャワースペースが設置されているタイプになります。
VANTECH/CORDE Doggoはペットとの時間を大切にするというコンセプトのモデルで、車外にリードを頑丈に固定できるリードフックを設けたほか、リチウムイオンバッテリーを6kWh搭載。さらに240Wのソーラーパなるを天井に設けることで、エアコンを長時間可動できるようにしているとのこと。車内でペットがお留守番するときでも安心です。






NUTSの人気キャブコン「ボーダーバンクスtypeTハイパーエボリューション」。






都内ではあまり見かけませんが、けん引タイプのキャンピングカー「キャンピングトレーラー」をご紹介しましょう。スペインのエースキャラバンは、約330万円というプライスでありながら、キャブコンでは得られない室内の広さは魅力的。ちなみに重量が750kg以下なのでけん引免許は不要だそうです。






オートキャンプの本場であるアメリカのエアストリーム。世界最高峰のキャンピングカーと自認するだけあって、その空間に言葉を失います。サイズも大きく、全長6400×全幅2490×全高2900mm! もはや走る別荘といえそうです。
色々とキャンピングカーを見ていくうちに、クルマイベントというより住宅展示場に来たような気分に。見ているだけで楽しくなりますし、多くの人が来場するのも納得です。キャンピングカーショーは全国各地で開催されているので、一度足を運ばれてはいかがでしょうか? 最初は興味がなくても、次第に欲しくなること間違いナシです!
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