早くから自動車の電動化に力を注いでいたBMW。その同社が「近未来のBMWはこうです」と提示したのが、同社BEVラインアップのフラグシップの「iX」です。
BMWのEVは50年以上前にさかのぼる
BMWが電気自動車を手掛けたのは、1972年開催のミュンヘンオリンピック長距離走の先導用向けに、「1602e」という試作の電気自動車を提供したことが始まりと言われています。そして研究が進み、2013年に同社初の市販電気自動車「i3」を販売開始。単なるモーター駆動なだけでなく、ワンペダル動作をはじめとして、電動車ならではの工夫がなされていました

その後、一時的に停滞はするものの、2020年に初めてSUVタイプの電気自動車「iX3」を発売。第5世代にまで進化したeDriveテクノロジーは、完成度の高いモデルとして注目を集めました。その後、BMWは電気自動車「iシリーズ」を次々に発表。iXは、iシリーズのフラグシップとしてリリースされました。
最上位モデルらしいド迫力のボディー



ボディーサイズは全長4955×全幅1965×全高1695mmで、ホイールベースは3000mm。ちなみに車重は2560kgと立派な躯体。それでも現行のX5よりは小さく、少しだけ扱いやすかったりします。



立派なボディーに、大きなキドニーグリルとキリリとした細目のヘッドライト。「このグリル、どうしちゃったんですか?」と、唯さん。近づいてみるとすべてふさがされていて、早い話が装飾品。グリルをよくみると、ADAS(先進運転支援システム)のセンサー類が隠されています。
パワートレインはフロントモーターが最高出力258PS/最大トルク37.2kgf・m、リアモーターが最高出力313PS/最大トルク40.8kgf・mという四駆システム。システムとして最高出力523PS/最大トルク78.0kgf・mを誇ります。バッテリーの総電力量は76.6kWhで、一充電での走行距離はWLTCモードで650kmとのこと。


驚いたのは家庭用充電で10kWh、急速充電で150kWhの入力に対応しているところ。150kWhの急速充電はともかく、我が国の家庭用充電は3kWhが一般的で、大きくても6kWh。将来性の高さもiXの魅力に思います。
リアシートを倒せばとんでもなく広い荷室が登場!







荷室の容量は、後席背もたれを倒さない状態で500L。「広い」と感嘆の声をあげる唯さん。後席をたたんだ状態だと、1750Lにまで拡大します。さらにマフラーなどがないため、床下には深さのある2段構造のサブトランクが設けられているのも美質です。
後部座席は足を組んでも余裕あり!
グラスルーフも付いてる豪華仕様









唯さんを驚かせたのは、後席の広さと仕立ての良さ。床面はフラットで、なにより足を組んでも平気なほどの前後の広さ。レザーシートの手触りは極上で、さすがBMWといったところ。
環境問題も重要ですが、従来の産業も維持しながら環境に配慮するのも持続可能性のテーマであると感じます。着座した唯さんは「実にいいですね」とご満悦。さすがショーファーカー(運転手に運転させるようなクルマ)も手掛けるブランドです。


天井はグラスルーフ。ですがボタン1つで曇りガラスに早変わり。面白くて何度も切り替える唯さん。














運転席はカーブドディスプレイをはじめ、昨今のBMWではおなじみのインテリア。ステアリングは独特の形状で、ちょっと戸惑ったりも。驚いたのは走行モード切替が車両の走行特性に加え、車内体験の演出までも変更されること。

シフトセレクターなどのコントローラーに、カット加工の施されたクリスタルを用いているのも、iXの特徴のひとつ。「なんかキラキラしすぎて」と唯さんは苦手そうですが、筆者は「お金持ち感」があってキライではありません。
ちなみにボルボも、こういうクリスタルのシフトセレクターを使っており、唯さんは「これはちょっと……」と語っていました。


驚いたのは、ナビにAR(拡張領域)を採用していること。実際のカメラ画像の上に、方向指示のアニメーションを重ねるもので、最初は「見づらいなぁ」と思うのですが、慣れてくると「コレはコレでわかりやすい」となります。この手のARナビは、メルセデスにも採用実績がありますし、BMWのほかのモデルでも採用しつつあります。
2.5トンのボディーが軽やかに走る

「結構軽くて運転しやすいですね」と、唯さん。BMWの上級モデルは大地に根を下ろしたかのような重厚で安定感のある乗り味が基本なのですが、iXはそうではなく、実に軽やか。もっと言えば2.5トンという車重を感じさせない、フワッとしていながらピタッとした乗り味。

「スポーツ」モードにすると車高がダウンして、連続可変のアダプティブダンパーも引き締まりますが、それでも足は柔らかく、Mシリーズの硬派さを知る身からすると戸惑います。
ですが、アクセルを踏み込むとFRっぽい動きになるあたり、やっぱり血は隠せないんだなとも。「BMWって、こういう感じですよね」と、唯さんもニコニコです。

なにより高い静粛性に驚き。「とっても静かで、ロードノイズがすごく低く抑えられているように思います」とも。エンジンというノイズ源をもたない電気自動車の多くは静粛なのですが、iXは段違いで静か。
ライバルとして考えられるのは、アウディのQ8と、その前モデルであるe-tronでしょうか。Q8は未試乗なので、e-tronとの比較になってしまうのですが、違いを一言でいえば、アウディの方が乗り味や操作感が重厚で、iXがアウディっぽい柔らかさをもつという印象。端的にいえば真逆。でもどちらもラグジュアリーであり、快適であり、ショーファー要素の強いSUVといえます。

唯さんは最近、大きなSUVに魅力を感じているようで、iXも素敵だと思った様子。「でも自分で運転しているより、後席に座っている方がいいですね」とのことでした。
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モデル紹介――あらた唯

10月5日栃木県生まれ。ファッションモデルとしての活動のほか、マルチタレントを目指し演技を勉強中。また2022年はSUPER GTに参戦するModulo NAKAJIMA RACINGのレースクイーン「2022 Moduloスマイル」として、グリッドに華を添えた。