お台場の特設コースを
ドリフトマシンたちが駆けぬけた!
ドリフト競技「D1グランプリ」の2024年シーズンの第9戦と最終戦が、11月9~10日の2日間、お台場特設会場(東京都)で開催。最終戦でASCII.jpが応援するTeam TOYO TIRES Driftの#88 川畑選手が見事優勝を飾りました。#66 藤野選手、#77 松山選手の様子も含め、チームの活躍をレポートします!

お台場の駐車場に仮設スタンドを設置して行なわれる本大会。


今大会は、マッド・マイクの愛称で親しまれるニュージーランド出身のドリフトスター・Mike Whiddett選手がスポット参戦。残念ながら追走トーナメント進出はなりませんでしたが、愛車TOYO TIRES×RedBull FURSTY RX-3の熱い走りは、ファンの記憶に残ったことでしょう。
【土曜日・単走】川畑選手が単走優勝!
松山選手6位、藤野選手7位で追走進出
好天に恵まれた土曜の午前に行なわれた単走決勝。走行は藤野選手、川畑選手、松山選手の順。
藤野選手は1本目に98.5と高い点数を出して、追走トーナメント進出をほぼ手中に収めます。2本目はさらなる点数アップを目指しますが、セクター2でコースアウトし2点減点。結果7位で追走進出を決めます。



続いて川畑選手。1本目からトップスピード116.21km/hと、ほかの選手より10km/h速い速度でコーナーに侵入。その後も切れ味の鋭い走りで99.5点と、ほかの選手を圧倒。


昨年のお台場を制した松山選手。今シーズンからGRカローラに乗り換えての1本目は、ミスのない走りで97.9。ほぼ追走トーナメント進出を手中に収めると、2本目はより角度をつけた走りで98.7と、点数を伸ばし6位に入りました。
【土曜日・追走】藤野選手4位、川畑選手5位、松山選手8位で終える

午後に始まった追走トーナメント決勝。松山選手ベスト16戦の相手は#56森選手(GP SPORTS×GreenTop)。松山選手先行の1本目は逃げ切って森選手を寄せ付けず。入れ替えての2本目は、一瞬ヒヤリとする場面があったものの、追走ポイントを重ねて圧勝。

松山選手ベスト8の対戦相手はルーキーの#90 山中選手(ウエインズトヨタ神奈川×俺だっ!レーシング)。松山選手後追いの1本目ですが、山中選手のスピードに対して寄せきれず。入れ替えての2本目で松山選手はコースアウト。山中選手も終始寄せをみせて惜敗。8位で第9戦を終えました。

川畑選手ベスト16の対戦相手は、#47 米内選手(GP SPORTS×GreenTop)。川畑選手先行の1本目、川畑選手はノーミスの走りで98.7と高得点の走り。米内選手は詰め切れずに、4.5ポイントしか獲得できません。入れ替えての2本目で、川畑選手は落ち着いて米内選手についていき圧勝。

ベスト8戦は#87 齋藤選手(FAT FIVE RACING)。前戦での因縁がある2人です。川畑選手先行の1本目は、ラインアウト減点1をとられて97.1の走り。一方、齋藤選手は後追いポイント12.7点を獲得する見事な走り。入れ替えての2本目で川畑選手は寄せ過ぎて接触。ここで勝負が決まり5位で大会を終えました。

藤野選手ベスト16の対戦相手は、#9 山本選手(FORGED crew×佐藤牧場)。初めての顔合わせです。

ベスト8戦の対戦相手は、#33 石川選手(広島トヨタ team DROO-P)。藤野選手後追いの1本目は、前を走る石川選手に綺麗に合わせて12.3ポイントの後追いポイントを獲得。入れ替えての2本目は石川選手を引き離して勝利。

ベスト4に勝ち進んだ藤野選手。対戦相手は松山選手を倒した山中選手です。夕暮れの中、藤野選手先行の1本目、ノーミスの藤野選手に対し、山中選手はセクター4で少しミスをするものの、10.7の後追いポイントを獲得。入れ替えての2本目、序盤で引き離されるものの、後半で巻き返し。ですが走行点が低く3.1ポイント差で惜敗。
【会場の様子】D1 2024シーズン最後のファンサービス

ファンサービスが手厚いのがD1の特徴。大会終了後に行なわれるグリッドウォークは、来場者の誰もが参加できるとあって、いつまでも人が途切れることはありませんでした。
【最終戦・単走】藤野選手5位、川畑選手6位
松山選手11位で追走進出
前日とはうってかわり曇天模様。ときおり、肌寒い風が会場を吹き抜けました。


松山選手の1本目は、コースリミット減点があり失敗。ですが2本目に98.7と追走進出をほぼ確定。11位で追走を終えました。


藤野選手は1本目に98.7と高得点をたたき出すと、2本目に99.4と前日の優勝者である川畑選手に近い点数の走りを披露。ですがこの日は全体的に点数が高く5位に。


川畑選手の1本目、鋭い振り出しを魅せつけるものの、やりすぎて失敗。後がなくなった2本目、川畑選手らしいダイナミックな走りで99.4点を獲得。6位で追走トーナメント進出を果たしました。
【最終戦・単走】強い川畑選手が帰ってきた!
鬼神の走りで有終の美を飾る
午後から始まった追走。次第に雲行きは怪しくなり、途中で小雨が混じる展開に……。



それに伴って、大会も波乱模様。ベスト16とベスト8戦では接触やマシントラブルが相次ぎ、チャンピオンシップ争いも混沌としてきました。

藤野選手ベスト16戦の対戦相手は、#89 Lattapon Keawchin選手(NEXZTER DRIVE TO DRIFT)。藤野選手先行の1本目は、後追いの接触行為により30点の減点が入り大量リードを獲得。入れ替えての2本目は無理せず走って勝利。

藤野選手ベスト8戦の対戦相手は、前日敗れた山中選手。少し雨が降り出した藤野選手後追いの1本目、序盤はスピードで勝る山中選手に離されるものの、後半で巻き返して後追いポイント12.3を獲得。入れ替えての2本目、藤野選手のマシンが途中で止まるトラブルが。その後走り出すものの、ここで勝負が決し8位で大会を終えました。

川畑選手のベスト16の対戦相手は松山選手。川畑選手先行の1本目、98.7と綺麗な走りをする川畑選手にあわせた松山選手は、12.7ポイントの後追いポイントを獲得。


川畑選手ベスト8戦の相手はシリーズチャンピオン候補のひとり、#18 日比野選手(SHIBATA RACING TEAM)。陽が暮れ始めたころ、川畑選手の後追いで1本目がスタート。日比野選手は最終セクターでミスをしましたが、川畑選手は終始マシンを寄せて11.7と大量の後追いポイントを獲得。入れ替えての2本目、川畑選手は完璧な走りを披露。日比野選手は最終セクターで少し離され、川畑選手の勝利。

準決勝の相手は#70 横井選手(D-MAX)。川畑選手後追いの1本目、最初のコーナー侵入から横井選手にピタリと付ける鬼神の走り。後追いポイント14点と今日イチの走りを魅せつけます。入れ替えての2本目、川畑選手は完璧な走りで走行ポイントを稼ぎ、横井選手も13.7点と後追いポイントを稼ぎます。ですが逆転には至らず川畑選手の勝利。

決勝の相手は山中選手。ルーキー対ベテランの対戦となりました。陽が完全に落ちた頃、川畑選手後追いの1本目がスタート。逃げる山中選手のタイヤスモークで、川畑選手のクルマが見えない中、後追いポイント12の寄せに、山中選手は思わず1点減点のコースアウトをしてしまうほど。11点のアドバンテージで迎えた入れ替えの2本目、山中選手も近いドリフトを見せましたが、逆転には至らず。川畑選手約1年ぶりの優勝が決まりました。



勝利者の名を受けた川畑選手はガッツボーズの後、その場にしゃがみ込み思わず涙をみせたものの、すぐに喜びの顔に。表彰台では満面の笑みをみせてくれました。


表彰式の後、ピットでは3名のドライバーから1年の謝辞が述べられると、レースクイーンの2人の卒業式が行なわれ、1年という長いシーズンが終わりました。Team TOYO TIRES Driftは、川畑選手がシリーズ6位、藤野選手がシリーズ7位、松山選手がシリーズ8位、チームシリーズランキングは4位で2024年シーズンの幕を閉じました。

2024シーズンを終えて、ドライバーコメント
大会を終えて、選手に今大会と今シーズンについて話を伺いました。

松山選手「去年優勝しているので、当然優勝を目指して来たんですけど、ちょっと思ったようにクルマが動かせなかった部分と、土曜日はちょっとエンジンも銚子が悪くなっていいところに行けなくて。今日こそはって思って頑張ったんですけれど……。追走の後追いは川畑さんを信じれましたし、いい走りができたかなと思ったんですが、先行でちょっとミスが出て残念な結果になりました」
「1年間を振り返って、普段サラリーマンとして働いているので、クルマが完成するのが本当にギリギリになってしまって。あまりD1本戦以外で走れてないので、前半は苦労しました。後半はちょっとづつ分かってきたんですけれど、全部は出し切れていないんで、来年に向けて頑張りたいと思います」
「今年、GRカローラで優勝できなかったので、来年はまず1勝を目指したいです。すごくポテンシャルのあるクルマだと思うので、シリーズもちゃんともっと上位にいけるよう頑張ります」

藤野選手「今日は話すことはありません(笑)。土曜日が比較的良かったので、日曜日はさらに良くするつもりで頑張りましたが、自分が走る前に急に雨が降ってきて、色々なことが変わってしまって、すべてが崩れて終わったという感じです」
「オフシーズンは自分を見つめなおします。去年はチャンピオンが取れたんですが、今年は正直、あまり自分の中で上手く組み立てができてなかったというのはあります。周りも強くなってきているので、もっと色々考え直さないとダメですね。仕切り直します」

川畑選手「オートポリスのあと、足回りからボディー、ほぼほぼ総入れ替えな修理だったんですけど、うちのTRUE MAN RACINGというショップでは、僕以外に優秀なメカニックが2人いまして。それ以外の仲の良いお客さんとか色々手伝ってもらって、この場に立つことができたので、まずはそこに感謝したいなと思います」
「最終戦は、みんなが一番を目指して頑張っている中で、自分が勝ち上がっていけたのも、みんなの気持ちが1つになったのをすごく感じていて。本当に総合力、みんなで勝ち取った1勝だなというのを実感しています」
「もちろん、勝つのは大事なんですけれど、自分はやっぱり強いドライバーでいたいなという気持ちも忘れてはなかったので、D1グランプリに川畑真人がいるというのをとにかくアピールしたかったですね」
「1年間を振り返って……正直、何も覚えていないですね。いい時は覚えているんですけれど、悪いことはすぐ忘れるようにしているので。シリーズランキング6位も、本来の狙ったポジションではないのですが、少ないポイントを積み重ねなので。最終戦が良かったからではなくて、全部のレースで少しずつでもポイントを取ってきたいです」
「来シーズンは優勝もそうですけれども、皆さんの記憶に残るような走りができてこそ、優勝の価値があると思うので、とにかくこの気持ちを忘れずに戦っていきたいと思います」

D1参戦20周年を迎えたTOYO TIRESの2024シーズンはこうして幕を閉じました。あわせて5年にわたりお届けしていたTeam TOYO TIRES Driftの参戦レポートも、今回で終了となります。長い間、選手、チーム、そしてファンの皆様、ありがとうございました。
TOYO TIRESの「青い情熱」を燃やす挑戦は、これからも続きます。選手、チームの活躍に期待しましょう。

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