フォルクスワーゲングループの一員であるポルシェとアウディ。シャーシ(プラットフォーム)を部分的に共有するモデルは多く、その代表といえるのがポルシェ「マカン」とアウディ「Q5(SQ5)」ではないでしょうか。
アウディ/SQ5(963万円)

ブランドの違いのほかに、この2台はどのような違いがあるのでしょうか? 今回は、マカンT(925万円)とSQ5(963万円)という「1000万円弱」モデルでどっちが買いかを、タレントのあらた唯さんとともに比較してみました。
同じ価格だとアウディの方がお買い得?


マカンTは、マカン(862万円)をベースに、15mm車高をダウンさせたスポーティーな専用チューニングのサスペンションを搭載したモデルです。パワートレインですが、マカンTは2L 直列4気筒ターボ(最高出力265PS、最大トルク400N・m)とリッター100PSオーバーを記録。これは期待できそうです。


SQ5は、Q5(716万円)に専用サスペンションだけでなく、パワートレインまで変更。3LのV6直噴ターボ(最高出力354PS、最大トルク500N・m)と、SQ5の方が100PS弱パワフルです。ちなみに、マカンTは7ATであるのに対して、SQ5は8ATとギアが1枚多いという特徴もあります。
もちろんマカンにも、この3L V6エンジンを搭載するモデルが用意されていますが(マカンS)、お値段が1140万円とK点超え。今回は1000万円以下、という縛りを設けていますので、ここでは取り上げないことにしました。
どちらもオプションのバリエーションが豊富で、お見積りサイトのコンフィギュレーターで、あれやこれやと調子に乗るとK点超えどころか、1200万円とかいう金額になったり……。ただ、コンフィギュレーターで見る限り、ポルシェの方が「これをつけておかないと」というオプションが多いように思います。
使い勝手はアウディに軍配が上がる
では、ボディーサイズを比較してみましょう。同一プラットフォームなので、サイズは当然近い数字になります。


マカンの方がわずかにワイド&ローで、SQ5はマカンTよりホイールベースが長い。さらに天井も高く居住性に影響しそうです。そしてマカンTはクーペスタイルで後端はスラントしていますが、SQ5はどちらかといえばクロカンっぽいスタイル。つまり荷室容量が多いと予想できます。






荷室を見ると、アウディの方が使い勝手は良さそう。というのもプライバシートレイがロールスクリーン式だから。マカンTは「ただの板」で、取り外した板はどこに収納すれば……となります。また、SQ5は荷室側から後席を倒すことができますが、マカンTはそれができません。SQ5の方がユーザビリティーが高いといえそうです。










SQ5の後席はクロスステッチのレザー表皮、マカンTはファブリックとレザーのコンビ表皮。ですがマカンTのシートはオプションでフルレザーを選べますので、高級感云々は割愛します。マカンTの方が足元が狭く、また天井も低い印象。
アメニティに目を向けると、マカンTにはUSB充電コネクター(Type-C)がありますが、SQ5にはありませんでした。そこは残念なところ。
運転席はスポーツカーっぽいマカンTと乗用車っぽいSQ5



マカンTの運転席はかなりスポーティー。シートはかなりサイドシルが立っているほか、センターコンソールの位置が高くてコクピット感を強めています。そしてインフォテインメントディスプレイの位置は下にあり、前方視界は良好。




SQ5の運転席は乗用車っぽさを残したもの。なかでも、インフォテインメントディスプレイが高い位置にあり、メーターパネルと同じ高さに設定されています。この位置だとナビは見やすい反面、座高の低い女性からは「斜め左前の視界が悪い」という声につながったりします。


それでは、メーターパネルを見てみましょう。マカンTは速度計と回転計が指針式、右側にインフォメーションディスプレイを配置するのに対し、SQ5はフルLCD。写真はスポーツモードですが、走行モードに表示は切り替わります。


そしてSQ5はメーターパネル内でナビを全画面表示できます。



スマホ対応ですが、どちらもAppleとAndroidに対応。ですがアウディの場合、カープレイのナビを使うと、前出のメーターパネル内ナビでのルート表示ができないため(道路の表示はできます)、あまり魅力を感じないのが正直なところ。アウディ、ポルシェともにセンターコンソールにスマホを置くスペースはなく、アームレスト内に置くことになります。USB端子はどちらもTYPE-Cです。
【まとめ】乗るならSQ5、運転するならマカンT
乗り味は、ブランドイメージ通り。ライトウェイトスポーツのような、クイックなドライバーズカーのマカンTに対し、プレミアムでグランドツアラー的なSQ5という印象。乗り心地でいえば、ポルシェはシッカリカッチリ感がある一方で、アウディに比べるとショックは強め。アウディはフワッとした優しさ。そして高速道路に乗ると、SQ5の方が直進安定性が高いと感じました。
この違いはステアリングフィールにも表れており、しっかり感のあるマカンTに対し、とても軽いパワステフィールのSQ5といったところ。ですが、ワインディングになるとさすがポルシェの楽しさ。

見た目はSUV、走ればスポーツカー、乗れば高級車という2台。「同乗するならSQ5ですけど、運転するならマカンT」と唯さん。その意見に同意しつつも、使い勝手や、日頃の乗り心地を考え、筆者はアウディに軍配を挙げたいと思います。ちなみに燃費は、どちらもほぼ同じだったことを最後にお知らせいたします。
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モデル紹介――あらた唯

10月5日栃木県生まれ。ファッションモデルとしての活動のほか、マルチタレントを目指し演技を勉強中。また2022年はSUPER GTに参戦するModulo NAKAJIMA RACINGのレースクイーン「2022 Moduloスマイル」として、グリッドに華を添えた。