Honda渾身のコンパクトミニバン「FREED(フリード)」。7人乗り、6人乗りなど、色々ラインアップの中で、筆者が目をつけていたのは乗車定数5人乗りの「FREED e:HEV CROSSTAR(クロスター)」です。
ということで、実際に3泊4日、クルマとともに暮らしてみました。
日本で扱いやすいボディーサイズで
かつ車内も広くて使いやすいFREED



ボディーサイズは全長4310×全幅1720×全高1780mm。日本で扱いやすい5ナンバー(全長が4700mm以下、全幅が1700mm以下、全高が2000mm以下)規格のうち、少しだけ全幅がはみ出していますが、事実上5ナンバーのクルマと言ってもよいでしょう。

5ナンバーサイズにならなかった原因は、アウトドア感を演出するホイールアーチの加飾。このパーツがないFREEDは正真正銘の5ナンバーです。実際に乗ると「1.7mって、ホントに取り回しがいいな」と感心しきり。クルマを大きくするのはカンタンですが、車線や車庫枠を大きくするのは難しいですからね。

天井にルーフレールを設けるのもクロスターのポイント。ここにルーフキャリアやスキーキャリア、バイクキャリアを取り付けることも可能です。

パワートレインは1.5L 直列4気筒の自然吸気エンジンにモーターを組み合わせたe:HEV(ハイブリッド)。リッター20kmを超える燃費の良さをアピールしており、事実燃費はかなりよかったです。
また、パワー不足に関しても、さすがに峠道の登りは多少エンジンが唸りましたが、高速道路の合流など日常的なシーンで不満を感じることも少なかったです。



インテリアはどこか「FIT」っぽい印象。




収納関係の使いやすさであったり配置は、さすがHonda。収納はあればあるだけうれしいものです。

次はASCII.jpらしくUSBまわりをチェックすると、運転席側はナビとつながるUSB Type-Aのみ。「イマドキ、Type-Aかよ」と正直思ったのですが、世間はまだまだType-Aが多いのかもしれません。
荷室はとても広いので長期旅行でも安心


ステアリングホイールはFITのような2スポーク型。個人的にはサムレストがないのが気になるところです。メーターパネルはFITと同じタイプの液晶。ひさしがついているので、光の加減で見えづらいということはありません。



2列目シートは足元が広くて文句ナシ。さらに言えば1列目とウォークスルーができるようになっているのも◎です。




荷室はとても広く、ラージサイズSUVも裸足で逃げ出すほど。しかも2階建て構造で底板を取り外せば、より荷物を載せることができます。





その2階建てスペースを有効活用するべく、サイズを測ってみましょう。まず高さ方向は22cm。続けて幅が80cm。機内持ち込みサイズのキャリーケースを置いてみたところ、板が浮く結果に……。ともあれ、このサイズに合わせてケースを買えばよい、ということがわかってきました。




荷室を観察すると、両側面には穴あきボードがあり、収納に使えそう。ホイールアーチ付近には、フタつきの小物入れと、タイヤ修理キットなどがありました。






それでは、本機最大の特徴である2列目を倒しての広大な床面積を手に入れたいと思います。やり方はカンタンで、座面を運転席側に移動させて背もたれを前に倒し、2列目シートの背面に取り付けられている板で隙間を覆うだけ。コレを考えた人はホントに偉いなぁと感心しきりです。
大柄な人の車中泊はちょっと厳しい


この時の荷室の長さ(奥行き)は160cmを少し超える程度になります。別記事で矢田部明子さんが「車中泊ができます!」と言っていましたが、身長185cmの筆者にはできませんでした(ホンダの大人気ミニバン「FREED」に乗ってわかった5つの良くなったポイント)。

車中泊で必要なのは、夜の灯。

ということで、エビスサーキットで行なわれるD1グランプリの取材を、このクルマでお邪魔。運営スタッフから「何を撮っているんですか?」と言われながら、車両を記念撮影。では寝てみましょう。


車中泊で毎回問題になるのが「荷物をどこに収納するか」です。その点においてFREEDの二階建て方式は実にスマート。ただ、問題は160cmしかないので、185cmの筆者は車中泊できないと前述しましたが、できないと野宿になるので頑張って試行錯誤した結果「斜めに寝る」というワザを編み出しました。

こんな濃霧の中、安達太良山渓の中で数日間過ごしたのでありました。ただ床面が硬いので、エアーマットレスなどを用意した方が安眠できるでしょう。クッションの方が快適ですが、かさばるのでオススメはしません。
実のところ期待値が高すぎたため「思っていたのと違う」だったのですが、2泊もしてくると慣れてくるから不思議です。
【結論】車中泊はできなくはない
ただし考えることがたくさんある

実のところ、このクルマで車中泊をするというのは、知恵を絞ればできるけれど……といったところ。
結局のところ、人間が横になるためには、かなりの面積を必要とすると改めて思った次第。FREED CROSSTARの荷物収納スペースをいかに有効活用するかが、車中泊のポイントになるでしょう。
ただ、ほかのクルマは二階建てスペースがないため、収納面で優位なのは言うまでもありません。
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