100年に一度の大変革と言われる自動車業界。2024年の世界自動車販売台数(約8900万台)のうち、EV(電気自動車)は約1700万台と1/5近くを占めるなど、世界的にEVシフトが加速しているようです。

日本も政府が2035年から純ガソリンエンジン搭載車の販売禁止、2050年の自動車のライフサイクル全体でCO2排出をゼロ(カーボンニュートラル)の実現を目指すなどの政策を掲げていますが、世間のEVに対する眼差しは冷ややかで……。


 そこで今回、運転は大好きだけれどEVの試乗経験が少ないというモデルのあらた唯さんに、日産のEVを全部試乗体験してもらって率直な感想をもらいました!


日産は世界初の量産型電気自動車を開発したメーカー

 なぜ試乗車に日産自動車のEVを選んだのか? それはEVに力を入れているからにほかなりません。日産のEVの歴史は、終戦から2年後の1947年に誕生した世界初の量産型電気自動車「たま電気自動車」にまで遡ります。


どれがイイ!? スポーツカー大好きタレントが日産の電気自動車を全部乗ってみた
あらた唯
たま電気自動車

 「たま電気自動車」は、東京電気自動車(のちのプリンス自動車工業、そして日産自動車と合併)が、当時深刻な石油不足である一方、供給過剰気味だった電力の活用法として生み出されました。航続距離は96km、最高速度35km/hを誇り、1951年までタクシーなどで重宝されたのだそうです。


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あらた唯
初代・日産リーフ

 時を経て2010年。日産「リーフ(LEAF)」が誕生しました。Cセグメントのハッチバックで24kWhのリチウムイオン電池により、満充電で200km走行(JC08モード)できました。その後、バッテリー容量を30kWhに増量した後期型が登場し、2017年まで生産されました。


 2017年からは2代目リーフが登場。バッテリー容量を40kWhまで増やし、JC08モードで400kmの航続距離を実現。2019年には62kWhバッテリー搭載のリーフe+が登場したほか、スポーティーなNISMOモデルが登場しました。そして2025年、3代目が登場するとアナウンスされています。


発売から15年経っけどまだ現役!
ハッチバックEV「リーフ」

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あらた唯

 ということで、リーフ NISMOを初めて見た唯さんは「ボディーに赤いラインが入っていて、スポーティーな感じがしますね」とNISMOらしさにご満悦。「よくみると、マフラーがないんですね」と、少し不思議そう


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あらた唯
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 最高出力は150馬力、最大トルクは32.6kgf・mと出力は必要にして十分。ボンネットを開けても、パッと見た感じエンジン車とは大きく変わりません。


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あらた唯

 ドライバーズシートに座り、さっそく運転してみることに。走り始めるや「とても静かですね」と静粛性に驚いたようです。そして「なんかアクセルの感覚が不思議ですね。少し緩めると急減速するような……」と違和感を覚えたことを報告します。


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あらた唯

 これは「e-Pedal」というワンペダル動作によるもの。アクセルを完全に離すと、車は自動的に止まります。これはガソリンエンジン車では実現しえない、電気自動車ならではの制御方法です。「慣れないですけれど、確かにブレーキを踏む回数は減っていますね。上手く使いこなせれば、街乗りはラクになりそうです」とのこと。ただ、車庫入れ時にクリープ(アクセルを踏まなくても車がゆっくりと動き出す現象)を使いながらのバックなどでは「逆にここはアクセルを踏むんですね」と、ちょっと戸惑いも。


日本で一番売れているEVはコレ
EVの軽自動車「サクラ」

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 続いて「サクラ(SAKURA)」。2022年から販売している軽自動車規格のEVです。搭載するバッテリーは20kWhで一充電走行距離は180km(WLTCモード)をうたいます。ちなみに日本でイチバン売れているEVです。


どれがイイ!? スポーツカー大好きタレントが日産の電気自動車を全部乗ってみた
あらた唯
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 軽自動車規格ですので、モーターの最高出力は64馬力。ですがトルクは太くて19.9kgf・mと一般的な軽ターボエンジンの倍近くあります。


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あらた唯
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あらた唯

 軽自動車に乗るのは久しぶりという唯さん。「ぜんぜん軽自動車っぽくない! すごく進みますね!」とトルクの太さに驚いたようです。「軽自動車って、エンジンの音が気になったり、全然進まないという印象がありますが、このクルマはそのようなことはないですね」と電気の力に感心しきりです。


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あらた唯

 ここでもe-Pedalを試してみると、「あれ? こっちは完全停止しないんですね」と動作が異なることに気づきました。これは「e-Pedal Step」というもので、クリープ動作をします。「こっちの方がいいかなぁ」という唯さん。「でも、切った方がいいかも」と、普通にアクセルとブレーキを踏み変える動作の方がお好みのよう。

「とにかくすごく静かで、小さなリーフみたい」と、軽自動車と電気の相性の良さを感じたようです。


日産の技術の象徴「アリア」

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あらた唯

 最後は「アリア(ARIYA)」。日産自動車初のEVクロスオーバーSUVにして、現在の日産自動車を象徴する1台です。一充電航続距離が最大640km(B9モデル)ですので、快適なロングドライブが楽しめます。


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 「インテリアの色使いと未来的な雰囲気がいいですね。あと運転席の足元がとても広いのがうれしいです」とインテリアがお好みのよう。


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あらた唯

 走り始めて「今まで乗ったクルマの中でイチバン静かで、乗り心地も上質です」という唯さん。さらに「滑らかに走る印象を受けました。スーッと走ってスーッと止まる感じ。減速時の揺れが少ないので上質感があります」とも。これは最新の四輪制御技術「e-4ORCE(イーフォース)」によるところでしょう。


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あらた唯

 ボンネットを開けてモーターを見ながら、唯さんは「でもお高いんでしょ?」とポツリ。最も安価なアリアB6(2WD)の場合で659万100円、最も高額なアリアB9 e-4ORCE プレミア(4WD)で860万3100円です。

お高いと言えばお高いです。


 ですが、令和6年度補正予算「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」が最大で89万円。さらにエコカー減税3万8500円が受けられ、さらに自治体によっては補助金が適用される場合があり、たとえば東京都の場合は75万円ですので、最大168万8500円の優遇を受けることができます。「なんですか、それは!」と驚いたのは言うまでもありません。


電気自動車は魅力的
インフラは徐々に増えているが……

 「街乗りをするなら、電気自動車の方がいいですね。静かで滑らかですし、e-Pedal動作も慣れたら便利そうだし」と電気自動車への認識をアップデートした様子。「でも、充電とか不安ですよね」と、インフラへの不安ものぞかせます。


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あらた唯

 EV充電スタンド情報サイト「GoGoEV」によると、2025年4月末現在で、日本全国には2万5904拠点の充電スポットがあり、そのうち自宅で充電できない人や移動中に必要となる急速充電機の口数は1万2563口なのだとか。「思っていたより少ないんですね。300万口くらいあるかと思っていました。普通に街中で見かけないと……」と、車両に魅力があってもインフラが気になる様子……。


 これは初代リーフの頃から言われ続けていること。つまり、15年経っても人々のインフラに対する不安は解消されていないのです。

クルマはこんなに進化しているのに……。


どれがイイ!? スポーツカー大好きタレントが日産の電気自動車を全部乗ってみた
あらた唯

 経済産業省は、令和5年10月に発行した「充電インフラ整備促進に向けた指針」を出しました。その中に2021年6月に改訂したグリーン成長戦略の中で「急速充電器3万基を含む、充電インフラ15万基設置する」との目標を掲げていることを、改めて明記しています。あと5年で急速充電器は倍に、そして約4万7000基の充電スポット数が15万基になるのでしょうか?


 「日本の自動車メーカーはクルマの電動化に遅れている」という声を耳にしますが、遅れているのはクルマではなくインフラであると思ったのでした。経済産業省および政府は、今一度、インフラ整備に力を入れてほしいものです。


■関連サイト


モデル紹介――あらた唯

どれがイイ!? スポーツカー大好きタレントが日産の電気自動車を全部乗ってみた

 10月5日栃木県生まれ。ファッションモデルとしての活動のほか、マルチタレントを目指し演技を勉強中。また2022年はSUPER GTに参戦するModulo NAKAJIMA RACINGのレースクイーン「2022 Moduloスマイル」として、グリッドに華を添えた。


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