いやはや、とんでもないクルマに乗ってしまいました。雲上カーとはまさにこのクルマのためにある言葉でしょう。
なお、試乗した日は幸いにも快晴だったのですが、残念ながら一般道も高速も渋滞で、まともに走れていないことを前提にお読みください。そのかわり写真多めに、細部まで見せます!

街を走れば注目のマト!
注目を集めるにふさわしい性能がヤバイ
このランボルギーニの新たなフラッグシップ「レヴエルト」は、アヴェンタドールの後継で、スーパーカーの常識を根底から覆す存在です。価格は日本円で約6600万円と、まさに雲の上、かつ“夢”のクルマですが、その価値はスペックと存在感を見れば納得せざるを得ません。ちなみにすでに中古市場では新車価格以上で出回っています。




レヴエルトは、ブランド創立60周年を記念して登場した、ランボルギーニ初のHPEV(ハイパフォーマンスEV)プラグインハイブリッド・スーパースポーツカーなのです。PHEV(プラグインハイブリッドEV)とは言わないところがランボルギーニっぽいですね。
最大の特徴は、伝統の6.5L V型12気筒自然吸気エンジンと、3基の高性能電気モーターを組み合わせたパワートレイン。システム最高出力はなんと1015PSに達し、0-100km/hの加速はわずか2.5秒、最高速度は350km/h超という、すでに数字でお腹いっぱいになる驚異的なパフォーマンスを誇ります。



しかも、エンジン単体でも825PS/9250rpm、最大トルク725Nm/6750rpmというスペックを持ち、フロントに2基、リアに1基のモーターが四輪を駆動させます。EVモードでは10km程度なら電気走行も可能で、静かな住宅街でも気兼ねなく走れるのも新時代のスーパーカーならでは。朝早くにエンジンをかけて、爆音で周りの家のガラスを振動させてしまうこともありません。
ボディーは新開発だというカーボンファイバー製モノコック「モノフュージ」を採用し、従来比で25%のねじり剛性向上と大幅な軽量化を実現しています。空力性能も大幅に進化し、アクティブエアロや三段階可変リアウイングなど、最新技術が惜しみなく投入されています。なお、ボディーサイズは全長4947×全幅2266(ミラー含む)×全高1160mm、ホイールベース2780mm、車重は1772kgです。



スーパーカーの象徴であるシザードア(跳ね上げ式ドア、ガルウィングではない)やY字型LEDデイライトなど、ランボルギーニらしい伝統も踏襲しつつ、先進の安全装備やADAS(先進運転支援システム)も初搭載。ランボルギーニにADASが搭載される日が来るなんて! まさに「過去と未来の融合」を体現した1台です。
さらに、パープルのカラーとサイバーな見た目が合わさって、エヴァ初号機にしか見えない!



インテリアも「Feel Like a Pilot」をコンセプトに、戦闘機のようなコックピット感と高級感を両立。デジタルメーターや大型インフォテインメントディスプレイ、さらに助手席用ディスプレイまで備え、ドライバーだけでなく、助手席の人も飽きさせません。まあ、このクルマに乗ってて「ヒマだ」と思うことはあまりないと思いますが……。





本気の走りは試せなかったが
V12の咆吼を聞けただけで満足
肝心の走りですが……冒頭に書いたとおり、この日は運悪くどこに行っても渋滞で、一般道はほとんどEVモードで走り、バッテリーがなくなってくるとV12エンジンが起動して充電してくれるの繰り返しでした。ただ、EVモードはさすがに静かで、朝早くや夜遅くに住宅街を運転するには最高です。これで国道や高速まで移動すればいいのです。




最初、「こんな静かなの、ランボルギーニに乗ってる気がしないよ!」とも思ったのですが、一般道だと目立ちすぎるので、途中からこれはこれでいいなとなりました。しかも、充電速度が速いので、信号待ちなどで止まっているだけでグングン充電されます。
首都高湾岸線で一瞬だけ(300mほど)、前が空いた瞬間があり、ここでV12の咆吼を聞くべくアクセルを踏み込んだのですが、背中がシートに押しつけられる感覚を味わえました。EVモードでスーっと走り、突然「ドドドド!」と重低音が車内にも車外にも響き渡る、このギャップがレヴエルトの魅力かもしれません。



加速したあと、すぐに前が詰まったのでブレーキを踏みましたが、手前からよく効くので、一瞬で止まれました。速いクルマはそれを受け止めるためのブレーキシステムもしっかり作られているのです。









【まとめ】ランボルギーニとしての矜持を失わず
それでいて、時代に合わせる柔軟性
まとめると、レヴエルトはランボルギーニの歴史と哲学を受け継ぎつつ、未来のスーパーカー像をみせてくれる1台です。V12エンジンという伝統を守りながらも、ハイブリッド化による環境対応とパフォーマンスの両立を実現するだけでなく、前モデルのアヴェンタドールと比べても、出力・加速・運動性能すべてにおいて大幅な進化を遂げています。



また、アクティブエアロやリアホイールステアリング、13種類のドライビングモード(ほとんど使えず)など、走りの幅も格段に広がっています。さらに、先進のADASやコネクテッド機能も備え、日常使いの快適性や安全性も大きく向上しています。
インテリアは男子が大好きな戦闘機を思わせる近未来的なデザインと、ラグジュアリーな素材で所有欲は確実に満たせるでしょう。




一方で、車高が極端に低く、車幅が2.2m超と超ワイドなため、狭い道や段差には注意が必要ですが、車高を上げるフロントリフターや広いガラスエリアによる視界改善など、実用面も配慮されています。とはいえ、走れる道は限られますが。
いろいろ述べてきましたが、レヴエルトに乗って感じた最大の魅力は、どう見ても普通のクルマではない存在感だと思います。




V12エンジンが始動した瞬間の咆哮、暴力的な加速とそれを制御する圧倒的なストッピングパワー。そして、EVモードで静かに街を流すという今までのランボルギーニにはなかった体験。すべてが「特別」な存在です。所有しているクルマでドヤれる時代でもありませんが、レヴエルトはドヤっていいクルマです。究極に所有欲を満たしてくれるでしょう。
価格も性能も“別世界”のレヴエルトは、筆者含め世の中のほとんどの人が買えないクルマですが(数年先まで受注が埋まっているとか)、「これこそスーパーカーだ!」を体感できる1台です。
もし手に入れることができたなら……筆者も乗せてください!








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