Hyundai Mobility Japan(以下、ヒョンデ)は、2025年5月、大阪・心斎橋にブランド体験施設「Hyundai Customer Experience Center 大阪」をグランドオープンしました。さっそく、新幹線に乗って大阪へ取材に。
大阪でもヒョンデのEVを体験できる施設が誕生
ヒョンデが日本に再上陸したのは2022年2月のこと。ネットを中心に、現在5車種のバッテリーEVと、水素燃料電池車を販売しています。同年7月には、新横浜に試乗のほか購入相談、車両整備に至るまでのサービスを提供する「Hyundai Customer Experience Center 横浜」をオープン。そのほか、オートバックス・セブンの一部店舗でもブランドストアを展開しています。

大阪・心斎橋にオープンした「Hyundai Customer Experience Center 大阪」は、日本では2例目、関西圏では初となるブランド体験施設です。場所は大阪メトロ心斎橋駅を出てすぐの好立地で、以前は「出光長堀ビルのガソリンスタンド」として親しまれていた場所。かつての化石燃料の供給地点から、電気自動車のショールームへ転身したということで、ある意味時代を象徴しているように思いました。










施設ではヒョンデが展開するEVラインアップの展示・試乗に加えて、日本では初となるヒョンデオフィシャルグッズ「Hyundai Collection」の実店舗販売、ゆったりと快適な時間をオーナーや来場者に提供するラウンジスペースや、車を運転する楽しさを実体験できる「Nドライビングシミュレーター」などを用意。さらに150kW級の急速充電器も備えています。

オープニングセレモニーでは、大阪韓国総領事の陳 昌洙(チン・チャンス)氏が祝辞として、「ヒョンデが関西地域において電動モビリティの普及を通じて日韓の経済・文化交流をさらに深化させていく可能性に期待を寄せるとともに、地域に根ざした新たな象徴的存在となる」ことを述べました。

続いてHyundai Motor Companyの鄭 裕錫 (ジョン・ユソク)副社長が登壇。関西地域において電動モビリティの普及を通じて日韓の経済・文化交流をさらに深化させていく可能性に期待を寄せているとしたうえで、同施設が多様性と活力が共存する大阪において、電動化戦略とお客様体験の進化において極めて重要な拠点になることを望んでいると明かしました。

Hyundai Mobility Japanの七五三木 敏幸 代表取締役社長は、施設を紹介したあとに「地域との連携を深めながら、CXC大阪を通じて関西圏での顧客接点をさらに広げていきたい」との抱負を述べました。今後ヒョンデは、関西地域限定のイベント開催を予定しているとのことです。

大阪万博で活躍するヒョンデのEVたち

「Hyundai Customer Experience Center 大阪」の施設取材が終わり、ヒョンデにお誘いいただいたので大阪・関西万博に足を運んでみました。心斎橋から夢洲までは電車で40分ほど。ミャクミャクと大屋根リングを観ながら歩いていると……。




場内にヒョンデのEVバスを発見。これは休憩施設として使われており、日よけのある休憩施設が少ない会場内ではとてもうれしいサービス。さらにバスの電気でスマホの充電をするサービスも行なっており、何でもスマホな会場では大変にありがたいものです。バスの中には人工芝が敷き詰めらているのもユニーク。



そのバスの近く、EXPOメッセ「WASSE」で「韓国観光フェスタ」が開かれていたので、覗いてみると、韓国の企業が多数出展。韓国グルメが楽しめるブースもあったり、美容コーナーもあったりで盛況でした。



その中にヒョンデの姿もあり、ブース内では新しくなった「IONIQ 5」と最新のコンパクトカーである「インスター」を展示。電気自動車をアピールしていました。

どこかのパビリオンを見学しようかと思いましたが、60分待ちとか120分待ちと言われて断念。早々に会場を後にしました。
EVで長距離走行に挑戦!
果たして充電は何回必要か?

帰り道は冒頭で述べたとおり、コンパクトEVのインスターをお借りして帰ることに。ヒョンデの電気自動車とはいかなるものか? 「Hyundai Customer Experience Center 大阪」から「Hyundai Customer Experience Center 横浜」までの約500kmを自走してみることにしました。


充電量89%で出発。静かでパワフル。ちょっとフワッとした乗り心地に感心しながら、大阪の街を走ります。ナビも日本語のローカライズができており、まったくもって不安ナシ。途中、道を間違えながらも、阪神高速に乗り、京都を抜けて滋賀県へ。



朝から働きづめだったため、この日は滋賀県草津駅前にあるホテルで1泊。ホテルの駐車場には充電器があったのですが、今回は高速道路で何回充電したら帰れるか、というのを試してみたく、あえてしませんでした。



16時までに「Hyundai Customer Experience Center 横浜」に到着せよ、と言う話だったので、朝8時にホテルを出たのですが、通勤時間帯と重なり大渋滞に巻き込まれました。


高速道路に乗ったら、ハンドル支援付きのアダプティブクルーズコントロール機能を使って、ひたすら東へ。鈴鹿という文字が見えてきたら、個人的には勝手知ったる道なのですが名古屋あたりで工事渋滞。渋滞時でもアダプティブクルーズコントロールはしっかりと機能。
完全停止状態でも、一定時間内なら自動的に発進してくれるので、ドライバーはハンドルを握ったまま、特にやることはなく。電気自動車で振動が少ないことも相まって、コンパクトカーなのにあまり疲れません。





そうこうして電池残量が20%を切り、そろそろ充電しないと。ということで、浜松サービスエリア(上り線)で急速充電することにしました。浜松SAには90kWhの急速充電器のほか、150kWhも用意されています。インスターは120kWhに対応しているようなので、150kWhで入れたかったのですが、なぜか充電器側がe-Mobility Powerカードに反応せず断念。
90kWhで充電してみましたところ、なぜか60kWhくらいでしか充電できず。30分後、64%(257km)まで復帰。再び新東名を走らせます。120km/h区間も左車線で100km/h巡行で電費を稼ぎます。

運転中何度か車線変更しましたが、その度にレバー先端の感触にニッコリ。筆者は右手中指でウインカー操作をするのですが、その時にあまり力を入れずに、それでありながらカチッと入るフィール。しかも、先端が丸みを帯びているのでスンナリと指が抜ける。これはよく考えられているなぁと思いました。




足柄サービスエリアのあたりで。

15時過ぎに「Hyundai Customer Experience Center 横浜」に到着。大阪から走行だけで8時間半、休憩を入れると9時間30分。残量56%で到着できました。電費は約8km/kWhと良い数字でした。さすがに疲れましたが、それでもほかのクルマで鈴鹿から帰った時に比べれば、疲労度は少なかったですね。

日本に再上陸して3年。EVのみであること、ダイレクト販売ということもあり、なかなか街中で見かけることのないヒョンデですが、実際に乗ってみると「いいじゃないか」と素直に思いましたし、何より「電気自動車でもこんなに長距離移動ができるんだ」とも。「アリかも、ヒョンデ」と素直に思ったことを告白します。
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