BMWのプレミアムスポーツコンパクト「1」シリーズが4代目にチェンジ。そのエントリーモデル「120」が、カジュアルでスポーティーでイイ感じなのです! そこで、日本の日常にピッタリな理由を紹介しますので、購入時の参考にしてください。
【BMW 120がイイ感じ! その1】
ボディーサイズがイイ感じ!
「最近のBMWって大きいんだよね」という声をチラホラ耳にします。SUVのX5シリーズとか車幅2mを超えますので、確かに納得。



ですが、120は全長4370×全幅1800×全高1465mmと、先代に対してほぼ同一。ホイールベースは据え置きの2670mmで、取り回しの良さはそのまま。車幅1800mmでしたら「大きい」という感じはあまり受けないのではないでしょうか。
また、エクステリアも最近のBMWにしてはカジュアルでドヤ感が薄い印象。キドニーグリルもライトアップしませんので、「目立つのはイヤだな」という方にも受け入れられるでしょう。

全高1465mmなので、都内に多い高さ制限1550mmの立体駐車場にも入ります。しかも、アンテナはバータイプではなくシャークフィンなので「スペック上では入るハズなのに、アンテナが引っかかり折れた」ということはありません。






ハッチバックですので荷室が気になるところ。後席背もたれを立てた状態で380L、背もたれを倒すと1200Lと容積も十分です。トノカバーはフロアボードの下に収納できるようで、これも実にイイ感じ! 12Vアクセサリーソケットがないのは残念ですが、側面にはコンビニフックが備わっているほか、パワーゲートに対応しているなど、使い勝手の面でも考慮されています。

ドアの開口が広く、間口も広いので乗り降りしやすいのも好印象。
【BMW 120がイイ感じ! その2】
お値段がイイ感じ! オプションの運転支援は必須アイテム

「BMWだから、お高いんでしょ?」と言われると、その通りなのですが……。それでも車両本体価格は488万円~と、500万円を下回ります。「でも、オプションがあるんでしょ?」という問いには、「はい」です。

こちらが、今回紹介する車両のメーカーオプションリストです。オプション総額は83万7000円です。


解放感たっぷりの電動パノラマ・ガラス・サンルーフは17万3000円。後席までガラスルーフなのはうれしいですね。

オシャレは足元から! カッコいい18インチホイールは10万1000円。ホイールスポークが多いので洗車が少し大変かも。ですがカッコいいので仕方ありません!


テクノロジーパッケージ(31万3000円)は、運転支援やパーキングアシストなどが付くというもの。パーキングアシストは、クルマがハンドル操作とアクセル操作を自動で行ない車庫入れをするもので、極狭の場所で試したところぶつけることなく綺麗に車庫入れしてくれました。

運転支援は、高速道路の渋滞時等特定条件下で、60km/h以下の速度であれば手放し運転を可能とするもの。
ハイラインパッケージはインテリアに関するもの。次章でご紹介します。
【BMW 120がイイ感じ! その3】
清潔感がありシンプルな車内空間




ハイラインパッケージ(25万円)の車内を見てみましょう。上品なブルーのファブリックシートで、座り心地はかなり良いところ。BMWの設計基準は自動車バイクを問わず身長185cmなのだそうで、大柄な男性でも室内は狭くないですし、シートもゆったりしています。シート調整は電動でメモリー機能もあり。パートナーで車両を共有される際に便利ですね。




ドアまわりもスッキリしていて、ファブリックを多用しています。ハイラインパッケージにはハーマン・カードン(サムスン傘下のオーディオブランド)のカーオーディオが取り付けられています。
ハーマン・カードンのカーオーディオはBMWに限らず装着率が高く、さらに言えばハーマン・カードン傘下にはJBLやマークレビンソンが含まれ、トヨタ車に取り付けられています。ですのでBOSEと並んでカーオーディオの2大ブランドと言えるでしょう。



太めのステアリングホイールまわりもスッキリとした意匠。





ではどのように調整するかというと、大型ディスプレイで「車両メニューから走行設定のアイコンをタップし、ドライバーアシスタンス項目をタップして、ドライバーアシスタンス画面へ遷移。走行をタップして、車間距離維持システムを選択して3段階から選ぶ」というもの。
もちろんショートカットメニューを作ることもできるとはいえ、さすがに運転中にこの操作は無理かと……。一方で「そんなに車間距離っていじる?」とも思えるわけで、BMWとしては「そんなに使わないだろ」という割り切った選択をしたようです。



このような大型ディスプレイを使ったUI(ユーザーインターフェース)は、走行モード切替にも当てはまります。まずは、センターコンソールからMYMODESボタンを押下。すると画面が切り替わり、左から通常、スポーツ、エコと出てきます。あとはタップするだけなのですが、これもまた「運転中にボタンを探したり、画面をタップするのはどうかな?」とも。
もっとも止まっている時にやるべき話ではありますが。

BMWとMINIに乗るたび、運転席まわりでイイナと思うのがルームミラーの裏側にETCカードスロットがあるところ。これなら「グローブボックスを開けてセットし……」ということがないばかりか、ミラーの上に「ETC OK」などのメッセージが表示されるので、いちいち音声案内がないのが◎。「ETCカードなんて、一度入れたらそのままだろ」と言われるとそうなのですが、レンタカーなどをメインに利用すると入れ変えることが多いですよね。



USBはType-Cで運転席側は2系統用意。ワイヤレス充電に対応するスマホトレイも用意されています。スマホ連携はAndroid、iOSに対応しています。どちらもワイヤレス接続に対応しています

エアコン送風口はスリット形状でスッキリとした見た目を演出。温度や風量の調整はディスプレイで行ないます、テスラやロータスなどはエアコンの送風口の向きまでディスプレイで調整しますが、BMWの120は手動。物理的操作と画面内操作の使い分けが上手だなと感じました。






後席はサイズなりの広さといったところ。センターコンソールにはUSB Type-Cの充電ポートとエアコン送風口が用意されていました。
【BMW 120がイイ感じ! その4】
1.5L 直3エンジンが素晴らしい出来栄え!

パワートレインは1.5Lの直列3気筒DOHCターボ(最高出力156PS/5000rpm、最大トルク240N・m/1500~4400rpm)に、7段DCTに仕込まれた48V電気モーター(20PS/55N・m)の組合せ。いわゆるマイルドハイブリッド(エンジンの始動や加速をモーターがアシストする、モーターのみでの走行は不可)で、システム最高出力は170PS、最大トルクは280N・mを誇ります。
BMWが3気筒エンジンの導入を始めたのは2012年のF20型1シリーズだったと思います。それから熟成を重ねた最新バージョンは、直3エンジン特有のボクシーな音と振動が上手く抑え込まれた仕立て。加減速時にエンジンが唸りをあげることもなく、でも静かながらも太い排気音や心地よいメカニカルノイズをドライバーに伝えます。
その出来栄え、心地よさたるもの、過去様々な3気筒エンジンを試乗した筆者的にはピカイチ! 言われなければ4気筒エンジンと区別はつかないほどパワフル。「さすがバイエリッシェ・モトーレン・ヴェルケ(バイエルン州のエンジン工場)」と脱帽せずにはいられません。
ちなみに燃費は街乗りでリッター15km程度、高速道路では伸びて20km/L超え。国産の1.5L・フルハイブリッドに比べると劣りますが、輸入車でこの数字は立派じゃないでしょうか?
【BMW 120がイイ感じ! その5】
BMWらしい「駆けぬける歓び」がある
「FFの3気筒なんてBMWじゃない」と言われそうですが、そんなことはありません。走りはじめると、シッカリとBMWらしさを感じるではありませんか。同価格のVWゴルフに乗り心地という点では劣るけれど、サスペンションにはストローク感があり、しっかりとしたボディーによってミシリもともしないで、街や高速道路、ワインディングも駆け抜けていきます。
さらにFFであることを意識させない、リアがどっしりしていて、ステアリングフィールがRWDみたいなスムーズさ。速度レンジの高まりとともに、乗り味にシットリさが出てくるあたりもBMWそのもの。
また、7速DCTが一切の段付きなくスムーズに、それでいて確実にギアチェンジのたびに回転数が変わる音と、わずかな手応えを伝えてくれます。これぞ「駆け抜ける歓び!」であり、この味付けがあるからBMWはやめられない!

気を良くしてスポーツモードにチェンジし、アクセルをベタ踏み。3気筒らしい太めのサウンドを豪快に叫ばせます。ですが加速は穏やか。そういうクルマじゃないよねと思いつつも、たまに踏みたくなる気持ちにもさせてくれます。もっとも走りを求める人は、上位グレードのM135(2L 直4ターボで300馬力)モデルが用意されているので、そちらをどうぞ。
感心したのは下り坂で、頭(エンジン)の軽さと足の良さと相まって、想像以上に速いではありませんか。直6や直4こそBMWと思っていましたが、普段使うには直3はとてもいいかも。
【まとめ】エントリーだからといって侮るなかれ!
日本の道路事情でも気持ちよく走れる1台

エントリーグレードの直3モデルと思い、タカをくくっていたことを後悔。実用的だし、走りもイイし、普段乗りでもイイ。なによりBMWらしさを感じさせるところがあります。
ですので「日常を犠牲にせずドライバーズカーテイストのコンパクトハッチが欲しい」という人と、「高速道路を多用する人」には絶対にオススメ! BMWの1シリーズ、あなどってはいけません! これは欲しいぞ!
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