ダイハツを代表する軽自動車「ムーヴ」がフルモデルチェンジしました。今回のフルモデルチェンジでの最大のポイントは、スライドドアが採用されたことです。
10年振りのフルモデルチェンジでは
電動スライドドアを初めて採用!

1995年に初代モデルが登場したムーヴは、ダイハツの軽自動車を代表するモデルとして進化してきました。これまで340万台以上を販売しており、ダイハツの歴史を語るうえで欠かせないクルマと言えます。
今回のフルモデルチェンジで7代目になったのですが、先代モデルの登場は2014年と10年以上も前。不正認証問題などから一時的にムーヴがラインアップから途絶えていたこともありました。

10年も経つと軽自動車のトレンドも大きく変化しています。軽自動車の主流はスライドドアを有するスーパーハイト系(背が高いモデル)へと移行しており、スライドドア採用車は販売台数の約6割になりました。
こうした背景もあり、優れたコストパフォーマンス、軽快な走りといったムーヴらしさを継承しつつも、新時代の軽のスタンダードとしてあるべき姿を追い求めた結果、スライドドアが採用されることになったのです。

最大のポイントは電動スライドドアを採用しても、ベーシック軽自動車のムーヴらしく、価格を抑えた点です。ダイハツが「必要な装備が備わった売れ筋グレード」としているNA(自然吸気)の中間グレードXの車両価格は149万500円と、150万円を切る設定となっています。Xの場合、電動なのは助手席側のみですが、運転席からも操作できる電動スライドドアが備わってこの価格は、かなり戦略的と言えます。
ターボエンジン車でも静か! その静粛性に驚き

今回は最上級グレードでターボエンジンのRSと、売れ筋グレードXの2台に試乗しました。まずはRSからです。
走り始めて最初に驚いたのは静粛性が高いことです。

ただ、乗り心地はやや角がある印象でした。RSには専用ダンパーが装備されていて、段差やギャップなど大きな入力があった時は比較的角が取れていると思うのですが、首都高の細かなうねりではヒョコヒョコとしたフィーリングが目立ちます。この辺りは15インチのホイールと低扁平タイヤの弊害が現れているようにも思えました。

RSを乗った直後にXを試乗。こちらはNAエンジンで、装備内容も少し質素になっています。ACCなどは装備されておらず、サイドブレーキも少し懐かしいと感じる足踏み式、電動スライドドアは片側だけでタイヤは14インチです。


乗り心地は正直コチラの方が良いと感じました。14インチで扁平率の高いタイヤを装着しているのが大きく影響していそうです。
高速道路も快適に走るならRSだが
走る場所を割り切るならXのほうがオトク
ターボエンジンのRSと比べると、快適に走行するなら高速の合流などで車速をキープすることが必要ですが、NAエンジンだからと不満を感じることはありません。RSで感じたコーナリング時のロールの少なさ、ドライバーに不安感を与えないポイントはXも同じで、加速性能に欲を出さなければXグレードは大いにアリと言えます。

高速道路を頻繁に利用する筆者としてはACCがないのは少し寂しいですが、開発陣によると軽自動車ユーザーは高速道路を利用しない人がほとんどとのこと。選ばれた装備で割り切って使用するならば、Xグレードの方がオトクと思う人も少なくないでしょう。
スライドドアへと大変貌を遂げた7代目ムーヴ。時代の変化の中で、スライドドアが求められる必須装備となったことがこの大きな変化に繋がりました。軽乗用車としてマストのスライドドアを採用し、ほかにも必要な装備をギュッと詰め込んだうえで低価格を実現していることを考えると、ムーヴらしい進化と言えます。
「リーズナブルなスライドドア軽」として生まれ変わったムーヴは、売れる予感がする1台です。









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