辞書によると「俗世間のことに無関心なこと」または「考え方や生き方が世間一般の常識とかけ離れていること」を浮世離れというのだそう。そういう意味では、今回紹介するメルセデス・マイバッハ「EQS680」は、価格も内容も浮世離れした1台といってもよいでしょう。
そんなウルトララグジュアリーSUVを、アイドルという浮世離れした職業に従事する、ゆみちぃこと寺坂ユミさん(純情のアフィリア)に試乗してもらいました。
その存在も価格も浮世離れしてるマイバッハ
メルセデス・ベンツ自体がラグジュアリーブランドであり、庶民には高嶺の花の存在。メルセデス・ベンツのおそろしいところは、さらに上級ブランドを2つも用意しているところ。ひとつは走りの刺激を求める人に向けたメルセデスAMG。そしてもうひとつが、贅の限りを尽くしたメルセデス・マイバッハです。

マイバッハブランドは一度途絶えたものの、2002年に超高級ブランドとして復活。メルセデス・ベンツのフラグシップをベースに、よりラグジュアリーに仕上げられており、さらには世界限定数台の超限定車なども用意されています。

庶民からしたらメルセデス・ベンツでもなかなか手が出ない存在で、浮世離れしている話なのですから、当然ながら金額も浮世離れ。本稿で紹介するメルセデス・マイバッハ EQS680の価格は2790万円! ポルシェだ何だと高級車を取材してきましたが、3000万円近いのはそうお目にかかる値段ではありません。
驚くべきは、さらにツートーンペイントの285万9000円をはじめ、オプションがとんでもない金額で、テスト車の総額は3452万3000円! 「3500万円あったらマンションを買える」「走る不動産」だと思うわけですが、こういうクルマを求める方は、そんなことは考えないでしょう。

浮世離れしているのは価格だけではありません。このクルマがバッテリーEVで、システム最高出力658馬力、車重3トン越えながらも、航続距離が640km(WLTCモード)を謳っているという点。航続距離600km台の電気自動車は未だ少ないだけに驚かされます。
運転するのではなく、運転してもらうクルマ



メルセデス・マイバッハ EQS680のスリーサイズは全長5135×全幅2035×全高1725mm。この躯体だけで威風堂々なのですが、さらに輝かせるのがハンドペイントだという点。なるほど、ツートーン塗装だけでコンパクトカー1台買える金額になるのは、そのぶん手間がかかっているというわけです。

ボディーをよく見ると、あちらこちらにマイバッハのマーク。そしてフロントグリルの桟はツルンとしており、電気自動車であることを無言で語ります。




後席をチェックしましょう。重たいドアを開けると、そこに拡がるは飛行機のファーストクラスのようなキャプテンシート。このキャプテンシートは、その名もズバリ「ファーストクラスパッケージ」というオプションで、価格は約123万6000円! 実際はさらに、ナッパレザーインテリア(クリスタルホワイト×シルバーグレー)というオプションが加わっていて、その価格が224万7000円。
大抵のことにはものおじしないアイドルの寺坂さんでも「なんか座ることすら躊躇しますね」と言うわけで、まるでドレスコードのある三ツ星フレンチに入店した時のような緊張感と変な汗が出てきます。

当然リクライニング機構があり、さらに言えばオットマンもあります。寝そべってみると「おおお」と声にならない声をあげる寺坂さん。


後席シートの間には、なにやら空間が。開けてみるとボトルクーラーが出てきました。

後席シートの間にはドリンクホルダーが4つもあるのですが、そのうち2つに保冷機能らしきボタンがあり驚き。

天井はガラスルーフ。スパークリングワインを飲みながら、星空でも見たらロマンチック体験間違いナシでしょう。
後席だけでなく運転席も超ラグジー
疲れ知らずで運転できそう





運転席もまた豪華絢爛。運転手も長距離運転で疲れ知らず、なのでしょうと思ったり。基本的なUIはメルセデスそのものですが、豪華すぎて別のクルマのよう。ステアリングホイールまでホワイトレザーだと、手垢で黒くなりそうと心配してしまうスタッフたち。





ラゲッジを見て驚きました。まず、バックドアがとんでもなく分厚いではありませんか。これなら追突事故を受けても、大切な荷物には傷ひとつなさそうです。続いて、見た目に反して容積が少ないことに驚き。

大柄ボディーなので取り回しが悪いと思われそうですが、実は四輪操舵なので最小回転半径は5.1mと、Cクラスセダンと同等だから驚き。とはいえ車幅が2mはあるうえに、ハンドペイントでドアパンチなどされようものなら……と思うと、駐車場は選びそうです。

タイヤはアメリカのクーパータイヤで、ホイールサイズは22インチ。日本ではなじみが薄いですが、100年以上の歴史があるブランドです。
重たいボディーを感じさせない
EVならではの走行性能

後席に座った寺坂さんはウルトララグジュアリーの世界に満喫。ドイツ車らしいやや硬質を残しながらも極上の乗り心地と相まって「今日、運転しなくていいですよね」などと言いだしたり。いやいや、寺坂さんの好きな「電気自動車+四輪駆動+SUV」の究極形態ともいえるクルマですので、試乗してください。

「やっぱり大きいですね。それにすごく力があります」とのこと。「やはり電気自動車はいいなぁ」と感心しきり。
バッテリーEVなので、車内はとても静か。ですが、その静かさが段違い。まさに浮世離れの静かさで、車内の会話がとても弾みます。乗り心地はやや硬めで、細かな段差などは拾いやすいかも。もっともこれはメルセデス全体にいえる傾向なので、マイバッハだから云々というわけではありません。

こうしてアイドルとして、おそらく初めてマイバッハを運転した人として歴史に名を残した寺坂さんは、ウルトララグジュアリーの世界を堪能してしまったのでした。浮世離れしたマイバッハの世界。ハイパフォーマンスなAMGよりも、選べるならこちらかなと思った事を正直に告白します。選べるなら、ですが。

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