Hondaのスポーツモデルである初代NSX、S2000、そして自然吸気エンジンを搭載するシビック TYPE-Rは、今でも根強い人気があります。それゆえ中古市場では「当時より高いじゃん」みたいなプライスタグは当たり前。
誕生から35年経ったNSX
古さは感じるがカッコ良さはあのときのまま

まずは初代NSXから。誕生は1990年ですから、今から35年前になります。アイルトン・セナとアラン・プロストがF1で大活躍した時期に誕生したこと、そして当時の日本車のスポーツカー最高金額だったこともあり、F1少年たちの憧れの的でした。そんなNSXを今買おうとすると1000万円は当たり前。TYPE-Rグレードになると、もうとんでもない値段だったりします。

現車を目の前にすると、誰もが「カッコいい!」と声をあげます。ですが一方で「小さくない?」とも。全長4430×全幅1810×全高1170mmと、確かにイマドキの車幅2メートル近いクルマたちを見慣れた目からすると小さく見えるかもしれません。

ちなみに、試乗車にはModuloパーツが取り付けられており、単純に当時のクルマかというと、そうではありません。ということで試乗してみましょう。

まずコクピットに座ると「狭い!」が誰もが思うところ。S660と大差ないのでは? と思うほどで、成人男性が2人乗りしたいかというと、したくありません。
VTEC領域まで回したかったのですが、大人の事情で回すことはあまり叶わなかったこともあり、「思っていたクルマとは違う」「やっぱり古いクルマなんだなぁ」という印象を受けたのでした。35年も経っていますからね。
FRオープンスポーツ「S2000」
意外にも乗り心地良し

続いて1999年に誕生したS2000。本田技研工業の創立50周年記念企画として誕生したFRスポーツ車です。こちらもModuloパーツてんこ盛り車両になります。サイズは全長4135×全幅1750×全高1285mmと、初代NSXに比べて少し小さいのですが、乗ってみるとNSXより室内は広い印象を受けます。

走り始めた途端、NSXより今のクルマに近いという印象。それに、NSXにはない普段使いできそうな日常性があります。それはアイポイントがNSXよりも高いこと、そして乗り心地もNSXよりもしなやかであるということもあるでしょう。この日のモデルを務めた、あらた唯さんによると「最初はNSXの方がカッコいいなぁと思っていたのですが、乗り比べたらS2000の方が楽しかったですね」とのこと。そのあと、別のクルマを試乗して「今のクルマの方が全然ラクで快適ですね」とポツリ。

ちなみにS2000の中古車価格は300~400万円弱が相場のようです。
2007年登場のFD2型シビック TYPE-R
ファミリーカーとしても使えるが足が硬い

最後はTYPE-Rグレードの中から、FD2型シビック TYPE-Rを試乗しました。FD2型は2007~2010年に販売していた車両で、中古相場は250万円強~350万円弱といったところ。ボディーサイズは全長4540×全幅1770×全高1430mmと、3ナンバーサイズです。こちらもModuloパーツがてんこ盛りです。

NSXとS2000が2シーターであるのに対し、FD2型は4ドアの5人乗り。これなら家族のクルマとしても使えそうです。

エンジンは2L 直列4気筒のi-VTEC搭載K20A型。最高出力225馬力とリッター100馬力を優に超えます。

それでは試乗開始。まず気づいたのは、NSXやS2000と比べて、やたらエンジン音がウルサイこと。特にVTECに切り替わると、もう一段階パワーが上がるとともに、ンバアアアアというメカニカル音が大絶叫。

試乗車にはModuloのサスペンションが取り付けられていたのですが、これがまた硬いのなんの……。

憧れを手に入れるのが幸せか
憧れは憧れのままの方が幸せか

今のクルマに慣れ過ぎてしまった、というのもありますが、NSX、S2000、FD2のすべてに共通して「昔のクルマ」であると実感。それぞれの良さは感じるものの「毎日乗りたいか?」と言われると……。憧れは憧れのままでよかった、という想いを抱くとともに、何やかんや言われても、今のクルマってよくできているなぁと感じました。
とはいえ、もし購入するなら相当な「愛」と「お金」が必要になりますが、楽しくて充実したクルマライフが送れそうです。
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