スズキ「e VITARA(ビターラ)」プロトタイプ

 スズキ初のBEV(バッテリー駆動EV)モデルとなる「eビターラ」。市販モデルに近いプロトタイプに試乗する機会を得ました。

スズキ初のトライと言えるこのモデルは、どのような仕上がりとなっているのでしょうか? 袖ヶ浦フォレストレースウェイでの試乗を中心にレポートします。


スズキ初のBEVは4WD設定のあるコンパクトSUV

スズキ初のEVでコンパクトSUVの「eビターラ」プロトタイプに試乗! 重たいのに軽快に走る!
市場のニーズを考えスズキ初のBEVは4WD設定のあるコンパクトSUVに

 スズキ初のBEVモデルとなるeビターラは、4WDグレードを有するコンパクトSUVとして登場します。世界の自動車メーカーとしてBEVを投入するのは後発となるスズキですが、自社の強みであるコンパクトカーを中心にBEV市場をリサーチ、そこでコンパクトSUVの4WDはライバルが少ないことを発見しました。


スズキ初のEVでコンパクトSUVの「eビターラ」プロトタイプに試乗! 重たいのに軽快に走る!
スズキ初のEVでコンパクトSUVの「eビターラ」プロトタイプに試乗! 重たいのに軽快に走る!
スズキ初のEVでコンパクトSUVの「eビターラ」プロトタイプに試乗! 重たいのに軽快に走る!

 BEVへの関心が高いヨーロッパ、なおかつ寒い地域では4WDが望まれているはず! と考え、スズキ初のBEVは4WDの設定があるコンパクトSUVとなったそうです。


スズキ初のEVでコンパクトSUVの「eビターラ」プロトタイプに試乗! 重たいのに軽快に走る!
バッテリーは中国の自動車メーカーBYDの子会社FDB製

 そして、eビターラはほかの日本車BEVとは大きく異なるポイントがあります。それはバッテリーです。国産BEVは三元系リチウムイオンバッテリーを採用しているのに対し、eビターラはリン酸リチウムイオンバッテリーを採用しています。


 リン酸鉄と聞いてピンときたあなたはバッテリーマニア。BYDと同じ方式のバッテリーなのです。eビターラに搭載されているバッテリーは、BYDの子会社のFDBという会社のもので「コスト・安全面・長寿命」この3つを高次元でバランスしているのが採用の理由とのことです。


スズキ初のEVでコンパクトSUVの「eビターラ」プロトタイプに試乗! 重たいのに軽快に走る!
スズキ初のEVでコンパクトSUVの「eビターラ」プロトタイプに試乗! 重たいのに軽快に走る!

 なお、バッテリーは49kWhと61kWhの2つの容量が用意されています。4WDが用意されているのは61kWhの方で、航続距離は49kWhで400km以上、61kWhで2WDは500km以上、4WDは450km以上となっています。


重たいボディーなのに高速コーナーの安定感が◎!

スズキ初のEVでコンパクトSUVの「eビターラ」プロトタイプに試乗! 重たいのに軽快に走る!
サスペンションはフロントにストラット形式リアにマルチリンク形式を採用

 今回は路面条件のいいサーキットでの試乗ということで、乗り心地に関しては詳細にチェックできませんでしたが、サーキットでは好印象でした。BEVらしく低重心であること表れたコーナリングとなっていて、SUVとは思えないほど高速コーナーでは安定しています。

イン側のタイヤがしっかりと接地していて、高い速度でコーナーに進入しても不安感のないフィーリングです。


 動力性能はBEVらしく、アクセルを大きく踏み込みと「おっ」と思わせてくれる加速を見せてくれますが、ビックリするような加速感があるほどではありません。2WDと4WDどちらも乗り比べましたが、加速性能が若干4WDの方が良いと感じた位で、コーナリングの感触もあまり差はありませんでした。積雪地域に住んでいるなど、明確な理由がない限り2WDでもOKだと今回のシチュエーションでは思いました。


 そしてBEVらしく静粛性は高く感じました。高速域でもロードノイズや風切り音はさほど気になりませんでした。


 車重はリン酸鉄リチウムイオンバッテリーのBEVということで、61kWhの2WDで1790kg、4WDで1890kgとボディーサイズのわりに重たい印象ですが、コーナーでのフットワーク性能と動力性能を考えると重さは感じない仕上がりです。


ヨーロッパ向けなステアリングとサスペンション

スズキ初のEVでコンパクトSUVの「eビターラ」プロトタイプに試乗! 重たいのに軽快に走る!
タイヤサイズは225/55R18、ヨーロッパ仕様では19インチも用意される

 そして、ビックリしたのがステアリングの重さ。フロントタイヤからのインフォメーションを感じやすいフィーリングになってはいるのですが、コンパクトSUVであることを考えると重たいステアリングと言えます。聞いてみるとコレはヨーロッパサイドからの要望だったようで、カントリーロードでのフラれ感を抑えるために重たくしたそうです。


 ちなみに、サスペンションのセッティングを含めてヨーロッパ仕様と日本仕様の違いはないとのこと、強いて言えば日本仕様には設定のない19インチがヨーロッパ仕様にはあるそうです(日本仕様は18インチのみ)。


 サーキットでの試乗となる今回は、好印象のサスペンションでしたが、一般道でハードに感じないかが気になるところ。

このあたりは公道での試乗を楽しみにしておきましょう。


スズキ初のEVでコンパクトSUVの「eビターラ」プロトタイプに試乗! 重たいのに軽快に走る!

 スズキ初のBEVということを考えると、重たい車重ながら高速域のサーキットでは好印象なフィーリングでまとまっていたeビターラ。今回が良かっただけに、公道での印象はどう感じるか? 日本の公道で試す日が待ち遠しい1台です。


スズキ初のEVでコンパクトSUVの「eビターラ」プロトタイプに試乗! 重たいのに軽快に走る!
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スズキ初のEVでコンパクトSUVの「eビターラ」プロトタイプに試乗! 重たいのに軽快に走る!
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