フォルクスワーゲン/ID.BUZZ(997万9000円)

 新車取材中に見知らぬ方から「このクルマ何ですか?」と声をかけられることがあります。ですが、今回紹介するフォルクスワーゲン(VW)の電気自動車「ID.Buzz(アイディーバズ)」ほど声をかけられることはありませんでした。

目立ってBuzzりまくりのID.Buzzのうち、ロングホイールベース版をご紹介します。


ヒッピー文化で有名なワーゲンバス
令和に蘇ったワーゲンバスが「ID.Buzz」

フォルクスワーゲンの令和版ワーゲンバス「ID.Buzz」は大きなミニマリストだ!
フォルクスワーゲン/Type2

 VWの担当者によると、同社には2つのアイコニックなクルマがあるのだそう。ひとつが「Type-1」、のちに「ビートル」の愛称で親しまれたクルマです。そして、もう1つが「Type-2」、のちにワーゲンバスとして長く親しまれた商用バンです。


フォルクスワーゲンの令和版ワーゲンバス「ID.Buzz」は大きなミニマリストだ!
メルセデス・ベンツ/Vクラス

 本稿で紹介するID.Buzzは、ワーゲンバスをオマージュした電気自動車。日本では初となる電動バンになります。ポップな見た目にだまされそうですが、価格は997万9000円。「アルファードPHEV」やメルセデス・ベンツの「Vクラス」が視野に入るプライスタグに驚かされます。


フォルクスワーゲンの令和版ワーゲンバス「ID.Buzz」は大きなミニマリストだ!
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 さらに驚くのが大きさ。全長4965×全幅1985×全高1925mm、ホイールベース3240mmはアルファードより全幅が100mm広く、ホイールベースに至っては240mmも長かったりします。ちなみに、ショートホイールベース仕様車も用意されています。


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 このホイールベースの長さゆえ、最小回転半径は6.2mで、駐車場での取り回しはかなり大変。とはいえバックモニターのほかに、鳥観モニターもあるので不安はそんなにありません。

入庫すると車庫枠ギリギリ。横幅があるぶん、さらに大きく見えます。


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 クルマの使い勝手はよく、3列目の背もたれを倒さなくても荷室はアルファードよりも広く、飛行機の機内持ち込み可能なトランクが2~3個収納できそう。「ロングホイールベース」仕様車には、取り外し可能なマルチフレックスボードと「VW」マーク入りのボックスが標準で装備されているので、うまく活用すればさらに収納ができるでしょう。


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 驚いたのは2列目と3列目シートを倒して完全フルフラットが実現すること。長くて大きな荷物はもちろん、エアーマットなどを使えば車中泊にも十分すぎるほど対応できます。これはアルファードやメルセデス・ベンツVクラスにはできない芸当です。さらに重労働になりますがシートを取り外すこともできます。もちろんバックドアは電動で開閉できます。


ロングホイールベースのシートは
2:3:2という珍しい構成

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 スライドドアが大きく、乗降性が優れるのもいいところ。3列目へは2列目シートを前に倒して乗降できます。車内は広いのですが、アルファードやVクラスのような高級感とは対極のカジュアルな雰囲気。1000万円でカジュアルが許せるかどうかが、このID.Buzzのポイントになりそうです。

3列目は2座で、シートごとにUSB Type-C充電ポートを用意。足元もかなり広めの印象です。


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 2列目がベンチシート(3名)はちょっと珍しい仕様。キャプテンシートではありませんので、オットマンなどの快適装備はありません。そしてテーブルがあるのですが、ドリンクホルダー部分は穴があいているのみ……。天井はサンルーフがついており、開放感たっぷりです。


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 運転席もミニマリストで、メーターパネルには速度などが表示する程度。センターコンソールに置かれたタッチパネルは、いわゆるディスプレイオーディオで、スマホとつなげてナビとなる仕様です。なので、車載ナビはありません。ペダルがアルミでちょっとスポーティーだったりします。


フォルクスワーゲンの令和版ワーゲンバス「ID.Buzz」は大きなミニマリストだ!
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 運転席と助手席の間に置かれたセンターコンソールは取り外し可能で、2列目へのウォークスルーができるようになるのも美質。ファミリーミニバンとしての機能も優秀といえそうです。


バッテリー容量は大きいが航続距離は短め
柔らかい乗り心地で静粛性も高い

フォルクスワーゲンの令和版ワーゲンバス「ID.Buzz」は大きなミニマリストだ!

 バッテリー容量は91kWh(ショートホイールベースは84kWh)。一充電走行距離は554km。バッテリー容量が大きいわりには航続距離が短いのですが、ボディーの大きさや重さなどが起因するのでしょう。当然人が乗ったら、もっと短くなることが予想できます。モーターの最高出力は286馬力で、後輪のみ駆動します。電費は5km/kWhとちょっと低め。


フォルクスワーゲンの令和版ワーゲンバス「ID.Buzz」は大きなミニマリストだ!

 走り始めて気づくのは、かなり柔らかな乗り心地。ドイツ車というと、ちょっと硬めのイメージを持っている人はかなり驚かれるのでは。街乗りではメルセデスよりも、アルファードよりも乗り心地がイイ! 一方、高速道路になると、ちょっとポヨンポヨンする感も。


フォルクスワーゲンの令和版ワーゲンバス「ID.Buzz」は大きなミニマリストだ!

 パワーがあるためか、かなり軽やかな印象。これならワインディングの登りも楽しめそう。ただ、飛ばし過ぎると制動距離の長さにもヒヤリとするかも。

スポーツモードを始め複数のモードを用意していますが、ゆったりのんびり走るのが、このクルマの良さを引き出す走りでしょう。


 EVなので当然車内は静か。3列目と1列目の会話だって楽しめます。こういうのって、ミニバンではとても大事なんですよね。


フォルクスワーゲンの令和版ワーゲンバス「ID.Buzz」は大きなミニマリストだ!

 「1000万円あったらアルファードPHEV、またはメルセデスVクラスが買える」と書きましたし、確かに内装をみると、あちらに心が惹かれる部分もあるのも確か。いっぽうでポップな本機も魅力的に思えます。それは今までにないミニバンだから。これにしかない魅力に心が奪われそうです。


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