クラウンが生誕70周年を迎えたことを記念し、クラウンが選出した「日本が世界に誇る道(47ROADS BY CROWN)」を走り、日本の伝統工芸を体験する「47ROADS BY CROWN -THE EMOTIVE JOURNEYS-」が開催された。一般的なディーラー試乗とは異なる新しい試みをレポートする。
ミュージシャンやクリエイターが
日本の魅力を再発見させてくれる

トヨタは、今年の4月2日よりクラウン生誕70周年を記念して、世界に誇る日本の魅力とクラウンの豊かな移動時間を体験できるプロジェクト「47ROADS BY CROWN」を実施している。特設サイトでは、ミュージシャンやクリエイターがクラウンで47ROADSを駆け抜けて感じた、日本の魅力と豊かな移動時間を疑似体験できるコンテンツを掲載している。
「47ROADS BY CROWN -THE EMOTIVE JOURNEYS-」では、抽選で選ばれた方が、全国に6ヵ所あるクラウン専門店「THE CROWN」を起点にクラウンで47ROADSを走行。さらに伝統工芸を体験するという特別試乗モニターキャンペーンだ。約半日じっくりとクラウンに触れるだけでも貴重な体験であるのに、さらに普段は体験できないコンテンツが用意されているとあって、全国から数多くの応募があったそうだ。
福岡のクラウン専門店からスタート!




スタート地点として選んだのは、福岡県の中心部にある「THE CROWN 福岡天神」。2階のフロアーに上がるとオープンスペースのような空間に、クロスオーバー、スポーツ、セダン、そして今年発売したばかりのエステートと4車種すべてが展示されている。

クラウンの歴史がわかるコーナーを用意され、写真を見ているだけで懐かしい気持ちになったりも。そう思うだけ、クラウンは長い歴史があるという事を実感する。


クラウンを手掛けたデザイナーの手によるクラウングッズも数多く販売。いずれも価格はリーズナブルで、クラウンオーナーでなくても欲しくなること間違いナシだ。



店内を注意深く見ると、クラウンのシートを使った「クラウンシートチェア」という、遊び心あふれる一品も! 高さ調整が電動であるほか、シートヒーターやシートベンチレーション機能も使えるのが◎。シートベルトのバックル部分にはUSB充電端子(TYPE-C)も用意されている。残念ながら試作品で、製品化は未定のようだ。
福岡天神店では抽選で選ばれた3組が参加。いずれも九州にお住まいの方だったが、クラウンは所有していないとのこと。

コースは「47ROADS BY CROWN」で選出されている海の中道に行き、昼食後に久留米絣(かすり)の藍染体験をするというもの。10時に出発し16時に戻ってくるという、約半日のコースだ。
この「47ROADS BY CROWN -THE EMOTIVE JOURNEYS-」の驚くべきは、約6時間という異例の長さ。通常、ディーラーの試乗は街中を少し走って終わりで、高速道路で長距離走ることは稀だ。さらに試乗モニター中、助手席に営業マンが同乗しないというから二度驚いた。日常に近い環境での試乗できるのは、大変貴重な機会といえる。
日本の道を知り尽くしたクラウンで
九州本土と志賀島をつなぐ道を走る

今回はクロスオーバーRSモデルをお借りした。走り始めた瞬間から、「しっとり」という言葉がピッタリの極上の乗り心地に心がときめく。ゆったり市街地を走っても、ペースの速い高速道路でもその印象は変わらない。70年に渡り日本の道を走り続け、日本の道を知り尽くしていることが伝わる。形は変わっても、クラウンはクラウンだ。

快適さは走りだけではない。エアコンがスグに効き、高い静粛性は車内の会話を阻害しない。乗り心地の良さと相まって、運転手だけでなく同乗者も快適さが享受できるのも、クラウンがクラウンであるところだ。

走ること約1時間。「47ROADS BY CROWN」で選ばれた、九州本土と志賀島をつなぐ全長約8kmの道「海の中道」に到着した。博多湾と玄界灘に挟まれたこの道をクラウンで走ると、浮世離れという言葉がふさわしい夢の世界。ふと、ファラオとの戦いに勝利したモーセが、イスラエル人たちを率いて、海を割ってカナンの地を目指す有名な場面が頭をよぎる。パートナーや友達と目的地という希望の地へ向かうのに、もっとも適したクルマはクラウンなのか、などと思った。


志賀島も素晴らしかった。青い海を観ながらワインディングを走る。クラウン・クロスオーバーRSのハンドリングの良さと相まって、この時間がいつまでも続けばいいのに、と思ったのは言うまでもない。普段のディーラー試乗ではわからないことが、この試乗ではよくわかる。
クラウンで伝統工芸を体験しにいく新しい試乗


「47ROADS BY CROWN -THE EMOTIVE JOURNEYS-」は、ドライブだけでなく日本の伝統を受け継ぎながら、進化し続ける工芸の体験も含まれている。そこで志賀島を背にして福岡を南下し、もうひとつの目的地である「藍華 田中絣工房」へと向かうことにした。「藍華 田中絣工房」は、70年以上も久留米絣(かすり)を紡ぐ工房。うかがうと、3代目の田中麻美子さんが優しい笑顔で出迎えてくれた。


久留米絣は今から220年以上前、米屋の娘で当時12歳の井上 伝という少女によって発明された藍染の織物。



染料(と空気)が触れたところは染まり、触れない部分は白のままという特性を活かし、柄を構想して綿を染めてから織り上げるのが特徴だ。もともと筑後地方では藍の栽培が盛んだったこと、紺地に白の点を散らした模様が人気を集めたこと、そして政府の奨励もあって産業は隆盛を極めたのだという。
「藍華 田中絣工房」では、糸を束ねて、染めない場所を縛る「括り」から染色、そして機織り機を使うところまで行なっている。


機織りの様子は昔話「ツルの恩返し」そのもの。ちなみに機織り機の前までは足を使って織っていたそうだ。



工房体験では、そのうちの藍染をハンカチで行なった。ハンカチを折りたたみ、輪ゴムで一部を縛る。縛ったところは白い部分として残る、という事はわかっているのだが、でき上がりがイマイチ想像できない。童心に帰った気分と普段使わない脳の一部が格闘する。


決まったところで、いざ藍染。藍桶からほんのりと甘い香りが漂う。藍染には発酵が欠かせないそうで、日によって桶のコンディションは異なるという。


ハンカチを桶に入れながら手もみし、絞っては空気に触れさせ、そして再び桶に染色作業をする。自然に触れることが少なくなった手には新鮮な感覚だ。これを中腰で約10回。次第に辛くなり、体の衰えを感じ始めたところで作業が終わった。


輪ゴムを外して水洗いすると、綺麗な模様が浮かび上がった。人工染料とは異なる鮮やかながらも優しい色合い。なにより世界に一つだけのハンカチ。クラウンの乗り味と共に思い出に残ることだろう。




工房の隣には「鵲珈琲」(カササギコーヒー)が併設されている。同店はシングルオリジンの豆を自家焙煎し、ハンドプレッソで抽出する珍しい店だ。ちょっと汗をかいたあとに、爽やかで豊かな風味のアイスコーヒーがとてもうれしい。ちょっと大人の贅沢だ。


工房で作られた久留米絣を使ったアイテムも販売している。アイテムによってはリーズナブルな価格のものもあるので、お土産にちょうどよい。何より作られた人の顔が見える。ハンカチ同様、これも良い思い出になるハズ。

工房を離れ、「THE CROWN 福岡天神」店へ。参加者は皆、満足した表情をみせていた。長い1日だったが、疲れをみせた人はいない。それは疲れづらいクルマで、楽しい体験だったからだ。このような試乗会がもっと増えれば、と思わずにはいられない。
トヨタは、このクラウン専門店特別キャンペーン「47ROADS BY CROWN -THE EMOTIVE JOURNEYS-」第二弾の募集を9月30日まで実施している。第2弾は世界に誇る日本らしさをより体感できるよう、全国から厳選したホテルにクラウンで訪れる、ホテルステイ付きドライビングプログラムを実施するとのこと。ぜひ応募してはいかがだろうか。
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