Hondaはハンズフリーパーソナルモビリティ「UNI-ONE」の事業化を決定。9月24日よりリース販売が始まった。
ASIMOの技術を応用した独自のバランス制御

UNI-ONEは目的地や施設内など、特定のエリアで利用するモビリティとして開発された。移動の負荷を低減することで、足腰の不安から外出を控えていた方への貢献できれば、と語る。現時点では車椅子としての利用はできないそうだが、リハビリの一環になればと、医療機関と提携し試験運用しているという。


最大の特徴は、同社開発の二足歩行ロボットASIMOなどのロボティクス技術を活用し、座ったまま体重移動するだけで走行できること。速度は徒歩より少し遅い程度で、年齢を問わず利用できる。





最大の特徴は、起動中は左右2基のモーターのみで駆動するという点。前後だけでなく左右にも駆動し、その場で方向転換も可能だ。防水・防塵性能も高く、屋外での雨天でも利用できるとのことだ。
エンターテインメントなど多様な活用法を模索


Hondaは、大型ショッピングセンターや空港、そしてアミューズメント施設などの利用を想定している。また、本体を大きなキャンバスに見立ててラッピングすれば、施設を明るく彩るアイテムになる。
なお、公道でも走行可能とする「移動用小型車」の型式認定を取得しているとのことだ。

利用例のひとつとして、清掃や配達、警備などに利用できるのではないかとHondaは考えているようだ。いずれも立ち仕事で、人によっては長時間労働が厳しいところ。着座して作業できれば、より効率が上がるという。

また、エンターテインメントの分野においては、ARゴーグルとの連携が考えられているという。すでにいくつかの施設で、拡張領域体験の実証実験なども行ない、好評だとか。


HondaはUNI-ONEを事業化し、5年間で1000台のリース販売を計画しているという。価格は本体のほか、交換用バッテリー、さらに保険(対物、搭乗者)も含めて、6年サービス10台以上で月8万円/1台から、3年サービス9台以下で月12万円/1台。そのほか1日あたり5万5000円の短期レンタルも用意するとのことだ。




すでにNTT東日本やサンリオエンターテイメントなど、複数の企業が導入を決めているという。発表会では導入企業の中のひとつ、サンリオエンターテインメントの小巻亜矢代表取締役社長が登壇した。



実証実験などでUNI-ONEの可能性を感じたことを明かすと、大分県にある「ハーモニーランド」に10台程度の導入を計画しているという。当初はスタッフの利用を考えているが、次第に来場者に開放していく予定だ。
「人の可能性を拡張する」新たなモビリティ

また、本田技研工業 新規事業開発部 UNI-ONE事業ドメイン 事業責任者 中原大輔氏は、「Hondaは今まで目的地へ移動するための乗り物を作ってきましたが、目的地で使う乗り物はありませんでした」と挨拶。「両手が使えることで、さまざまなことが可能となります。人々の暮らしをより豊かに、快適にサポートすることをめざしていきたい」と語った。


取材後、試乗してみた。着座後に手元の液晶画面で起動すると、スッと上に上がり動き始める。感覚としてはバイクや自転車に似ており、最初は意識的に体重移動をするのだが、次第に顔を向いた方向へ進む印象だった。

今後、高齢化社会が進む日本。足腰が弱まれば、外出するのも控えるようになる。だがUNI-ONEがあれば、座ったまま移動でき、両手が空いているから買い物だって楽しめる。もっと街に増えればと思ったのは言うまでもない。
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