期待と不安が交錯する「電動化」の波
SDGs(持続可能な開発目標)という言葉を見ない日はない昨今。エコも杓子もカーボンニュートラルで、ポルシェも売れ筋のSUV「マカン」をEVに一本化しました。この電動化の流れは大看板である911にも波及。
911がハイブリッド化したと聞いて「ポルシェ終わったな」と思ったのは筆者だけではないでしょう。我々は伝統の水平対向6気筒エンジンの鼓動や息吹、そして力を味わいたいから911を求めるのであって、エコのためにモーターやらバッテリーなど余計なモノを搭載して欲しくないのです。
その一方で「最新のポルシェは最良のポルシェ」という言葉があるのも事実。期待と不安が入り混じりながら、パワートレインを見てみることにしましょう。
走りに特化した新開発のハイブリッドユニット
相変わらずリアハッチを開けても、エンジンを見ることはできません。ただ従来と違うのは2つのファンの中央に「3.0」や「4.0」といった排気量を示すバッジが「911」に変わっているということだけ。
それでは、911初となるハイブリッドユニットについて紹介しましょう。エンジンは新開発の3.6L 水平対向6気筒 シングルターボで、最高出力は485馬力/最大トルク58.1kgf・m。このエンジンと8段PDK(トランスミッション)の間に最高出力56馬力/最大トルク15.3kgf・mのモーターを介しているとのこと。
エンジンをモーターがアシストする、いわゆるマイルドハイブリッド形式ですが、エンジンとモーターの間にはクラッチを設けないため、モーターだけで走行することはできません。システム最高出力は541馬力/最大トルク62.2kgf・mで。この大パワーを後輪のみに伝えます。
バッテリーは容量1.9kWh/重量27kgのリチウムイオン型で、以前フロントにあった12Vバッテリーの場所にマウント。12Vバッテリーはリアに移設されています。
「エコ」ではない! 徹底したパフォーマンス向上のための電動化
電動化はこれに留まりません。まず、ターボチャージャーにモーターを取り付けて電動化。これによりレスポンス向上を達成。さらに補器類も電動化することで、エンジン高が110mm下がって低重心化に貢献しているようです。
つまりエコのためのハイブリッド化(電動化)ではなく、走りのための電動化と言えそうで一安心。実際、燃費は従来の911とあまり変わらず、街乗りと高速道路を合わせて6km/L程度でした。
ボディーサイズは全長4553×全幅1852×全高1297mmで、ホイールベースは2450mmと、先代に比べて全長がちょっと長くなった程度。見た目もパッと見た感じ、違いがわかりません。
ですが、フロントバンパーの両サイドにアクティブエアロフラップ、アンダーボディーには可変式のディフューザーを備えたほか、リアをみるとライトストリップとポルシェのロゴが一体化しています。と言われたところで、全然わかりません……。
筆者的に最初に気づいたのは大型のブレーキローター。「これが標準でついてくるとか、さすが2254万円!」と思ったところ、これが「ポルシェセラミックコンポジットブレーキ キャリパー/ハイグロスブラック塗装」というメーカーオプションで、お値段170万円! 軽自動車1台が買える値段に驚かされますが、街乗りからバツグンのブレーキフィールとストッピングパワーが楽しめます。大パワーを感じたい人にはマストアイテムでしょう。
伝統と決別? デジタル化されたコックピット
911 GTSの室内を見てみましょう。ちなみに試乗車にはオプションのフルカーボンバケットシート(80万2000円)が装着されていました。前後は手動ですが高さ調整は電動で、乗降性は悪いですが、シートに納まればクッションは厚くて座り心地は上々。写真は左ハンドルの2人乗りですが、右ハンドルもありますし、無料で4座にもできるとのこと。
ちなみに、フルカーボンバケットシートを取り付けた状態で後席に乗るのは、至難の業でしょう。
運転席周りの大きな変更点は2つ。まずメーターパネルがフル液晶化し、指針式タコメーターがなくなったこと。タコメーターは外周側がエンジン、内周側がモーターの動作を表示します。そして、911というと5連メーターが伝統だったのですが、911 GTSは3連表示に。文字サイズが大きくなり見やすくなりましたが、ちょっと寂しい気持ちにも。
そしてエンジンスタートスイッチが、捻るスイッチからボタン式へと変更。キーレスになっても、かたくなにこだわっていたポイントがなくなったのは残念です。
そのほかは変更がない、というよりハイブリッド車にありがちな「エコモード」や「チャージモード」といったものがなく、センターコンソールを見回してもハイブリッドであることを意識しそうな操作類は一切ありません。
強いて挙げるなら、インフォテインメントディスプレイのパワー表示に、E-BOOSTというハイブリッド動作状態を示すものがある程度です。
ASCII.jpらしくスマホ対応をチェック。Android AUTOとApple CarPlayに対応しますが、ワイヤレス接続は非対応の模様。スマホトレイはセンターのアームレスト内にあり、ワイヤレス充電のほかUSB Type-Cを2系統備えていました。
フロントのラゲッジ容量は135リットルとほかの911と変わりません。機内持ち込みサイズのトランクなどは入りそうです。
街乗りで実感する「最新」の滑らかさ
スタートボタンを押下した途端、爆発的なエンジン音に驚き。コールドスタートのフラット6で、ここまで大きな音を聴いたことはなく、最初何が起きたのかと。ちなみに音は段々小さくなり、普通の911の排気音レベルにまで下がります。
街乗りで気づくのは、とても滑らかなエンジンとミッションフィールであるということ。
ですがハイブリッド化して、モーターアシストが加わったためか、このようなギクシャク感はなく、普通のクルマの低速フィールになりました。最新のポルシェが最良のポルシェ、という言葉は、普段乗りでも当てはまるのかと。
伝統のトラクションとV8のような太いトルク
続いて気づくのが、ハイブリッドであることをまったく意識しないフィールであること。既存のツインターボのフラット6では感じることのなかった、アメリカンV8のような太いトルクに、気持ちのよい回転がついてくるという印象。早い話がブン回したい衝動に駆られるエンジンで、パドルシフトを駆使し、意図的にギアを何段も下げて踏みたくなること間違いナシ!
そして、踏んだ瞬間に背中を蹴り飛ばされたかのような、911特有のトラクションを体験すると「やっぱり911はリアエンジン・リアドライブだよな!」と、顔をひきつらせながらも、心はニッコリ。
走行モードはWET、NORMAL、SPORT、SPORT+の4種類。ステアリングホイールに設けられたダイヤルで変更できます。中央には15秒間フルパワーが出るボタンも用意されていました。
【まとめ】やはりポルシェは最新こそが最良だった!
筆者の知る限り、911史上もっとも重厚で安定感/安心感を覚えるフィールが堪能できます。すべての操作にズッシリとした手応えがあり、それでいて911らしい精緻さもあり。これが992.2型に共通するフィールなのか、911 GTS特有なのかは分かりませんが、好感を抱きました。
911がハイブリッド化したと聞いて「ポルシェ終わったな」と思ったことを大反省。
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