Honda/プレリュード(617万9800円)

 約四半世紀ぶりに復活したHondaのクーペ「プレリュード」。果たしてそのでき栄えは? 結論から申し上げるなら「今の良いHondaを凝縮した最高の1台」でした。


新型「プレリュード」は今のHondaを凝縮したハイブリッドスポーツの前奏曲だ!
プレリュード
ジャパンモビリティショー 2023で発表されたプレリュードのコンセプトモデル(モデル:寺坂ユミ)

復活した「ハイブリッドスポーツ」
短いホイールベースがキーポイント

 プレリュードは2年前の「ジャパンモビリティショー 2023」で「スポーツ」の名を掲げて、コンセプトを発表。青春時代にプレリュードの名に触れたことのあるオッサンたちは「デートカーと言われたクルマが、スポーツカーなの?」「3ドアハッチバックならプレリュードじゃなくてインテグラだろ」などと揶揄していたことを思い出します。まぁ、私もその1人なのですが……。


新型「プレリュード」は今のHondaを凝縮したハイブリッドスポーツの前奏曲だ!
プレリュード
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プレリュード
新型「プレリュード」は今のHondaを凝縮したハイブリッドスポーツの前奏曲だ!
プレリュード

 あれから約2年。プレリュードはハイブリッドスポーツという形で販売することに。いざ目の前にすると、実にカッコイイ! 少なくともプリウスとはまったく違います。ボディーサイズは全長4515×全幅188×全高1355mmで、ホイールベースは2605mm。ちなみに、シビック TYPE-R(FL5型)が全長4595×全幅1890×全高1405mm、ホイールベース2735mmなので、TYPE-Rより背が低く、全長はあまり変わらないけれど、ホイールベースが13cmも短く、これがポイントだったりします。


デートカーの面影と現代Hondaの融合
ラグジュアリーと実用性のバランス

新型「プレリュード」は今のHondaを凝縮したハイブリッドスポーツの前奏曲だ!
プレリュード
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プレリュード
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プレリュード

 室内はシビックに通じる、今のHondaらしいたたずまい。そこに少しラグジュアリーを加えたという印象です。運転席と助手席のシート表皮はブルー×ホワイトと清潔感を覚えるもので「デートカーじゃ~ん」などと思ったのですが、電動シートではなく手動調整式で、シートベンチレーションやヒーターといった快適装備はナシ。ついでに言えば、ヘッドレストが動かしづらい印象。さらに言えば「スケベレバー」(助手席のリクライニングレバーが、窓側ではなく運転席側の側面に取り付けられていたことに由来)はありませんでした。


新型「プレリュード」は今のHondaを凝縮したハイブリッドスポーツの前奏曲だ!
プレリュード

 インフォテインメントは、シビックやアコードでも使われているGoogleのAndroid Automotive OS搭載の9インチHonda CONNECTディスプレイ。

イマドキのクルマから見たら画面が小さい印象を受けますが、音声認識の精度は比類なく、特にナビは効果絶大。Apple CarPlayにも対応していますが、そのまま使った方が使い勝手がよい印象を受けました。


新型「プレリュード」は今のHondaを凝縮したハイブリッドスポーツの前奏曲だ!
プレリュード
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プレリュード

 クーペ形状から予想できるとおり、後席はとても狭く、FITやN-BOXの方が遥かに快適。そもそも乗り込むのすら一苦労で、何かあった時に使えるくらいの気持ちの方がよいでしょう。


新型「プレリュード」は今のHondaを凝縮したハイブリッドスポーツの前奏曲だ!
プレリュード
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プレリュード
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プレリュード

 荷室はかなり広く、ゴルフバッグ2つは余裕で入るとか。ハッチバックドア形状により、荷物の出し入れがしやすいのも美質です。後席を倒せばさらに容積拡大できますが、後席を倒すレバーがCピラー近くにあるので、ちょっと作業はやりづらいかも。後席そのものの狭さもありますから、普段は倒して2シーターとして利用するのが良いでしょう。


近代Hondaの至宝「e:HEV」と
気分を高揚させる独自技術

新型「プレリュード」は今のHondaを凝縮したハイブリッドスポーツの前奏曲だ!
プレリュード
新型「プレリュード」は今のHondaを凝縮したハイブリッドスポーツの前奏曲だ!
プレリュード

 パワーユニットはCIVICやZR-Vにも使われている2Lの直4「e:HEV」。筆者的にフルハイブリッドユニットの中でもイチバンのお気に入りで、現代Hondaの至宝と言えます。エンジン単体で最高出力141PS、最大トルク182N・mを、モーターは同184PS、同315N・mを発生します。


高速もワインディングも意のままに
F1ドライバーになったかのようなドライブ体験

新型「プレリュード」は今のHondaを凝縮したハイブリッドスポーツの前奏曲だ!
プレリュード
新型「プレリュード」は今のHondaを凝縮したハイブリッドスポーツの前奏曲だ!
プレリュード
新型「プレリュード」は今のHondaを凝縮したハイブリッドスポーツの前奏曲だ!
プレリュード

 走行モードは「SPORT」「GT」「COMFORT」「INDIVIDUAL」と4つ。エンジンレスポンスのほか、減衰力も変更できます。SPORTとCOMFORT、そして個別設定のINDIVIDUALはよく見かけますが、GTとは一体……。

実はこれがノーマルモードで、GTと名付けることで、このクルマが「どこまでも行きたくなる」という気持ちになるクルマであることを伝えているのでしょう。


 ちなみにSPORTを選ぶと、豪快な音が車内に響きますが、これは疑似サウンドとのこと。


新型「プレリュード」は今のHondaを凝縮したハイブリッドスポーツの前奏曲だ!
プレリュード

 トランスミッションはCVTですが、プレリュード最大の技術ポイントである変速制御「S+シフト」が加わります。これはステアリングホイールの回生量パドルを疑似的にセミATとして使うというもの。さらにHonda初のコースティング技術(回生ブレーキが働かないモード。端的に言えばNに入れた状態で走行しているようなもの)も用意されています。


 「コースティングなんて他車でもあるじゃないか」と言われそうですが、クラッチをつなげた時のショックをゼロにしたのがポイントとのこと。


新型「プレリュード」は今のHondaを凝縮したハイブリッドスポーツの前奏曲だ!
プレリュード
新型「プレリュード」は今のHondaを凝縮したハイブリッドスポーツの前奏曲だ!
プレリュード

 走行は高速道路とワインディングを中心に行ないました。高速道路ではGTというモードがすべてを現わしている通り「どこまでも走っていたい」と思わせる1台に仕上げられています。


 とにかく乗り心地はよく、居心地もよい。今のHondaの持ち味を凝縮したクルマといえば簡単なのですが、さらに1ランクも2ランクも上に行ったクルマと言えます。ありがたいことに、色々なクルマを試乗してきましたが、その中でもトップ5に入る乗り心地の良さでした。


新型「プレリュード」は今のHondaを凝縮したハイブリッドスポーツの前奏曲だ!
プレリュード
新型「プレリュード」は今のHondaを凝縮したハイブリッドスポーツの前奏曲だ!
プレリュード

 ワインディングに入りSPORTモードにチェンジし、S+シフトをオン。積極的にパドルを駆使すれば、楽しさが半端なく、気分はF1ドライバー。さらにホイールベースの短さが功を奏して、とにかく曲がる! 意のままにガンガン曲がる! 「俺って、こんなに運転が上手かったっけ?」と思えるほど曲がるし、しかも乗り心地が良いから文句ナシ!


 ブレーキもブレンボ製だからタッチはよく、その後の回生制御も上手く調律されているから、気持ちの良さは半端ナシ!


【まとめ】「集大成」にして「前奏曲」
今イチバン欲しいと思わせるでき栄え

新型「プレリュード」は今のHondaを凝縮したハイブリッドスポーツの前奏曲だ!
プレリュード

 正直、今イチバン欲しいクルマに挙げたくなるでき栄えの良さでした。日常も山も高速も、どこを走っても快適で楽しい。「ハイブリッドは楽しくない」と思っている方は、一度試乗してほしい1台です。


 きっとその考えは過去のものだと気づくハズ。プレリュードは今のHondaの集大成であり、未来への前奏曲でもあるのです。


新型「プレリュード」は今のHondaを凝縮したハイブリッドスポーツの前奏曲だ!
プレリュード
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