日本車ではSUV人気に押されて少なくなったステーションワゴン。ですが、ドイツではいまだ人気があるようで、アウディも最新モデル「A5」にもステーションワゴン「A5 Avant」がラインアップされています。
実はわかりやすいアウディのネーミング
アウディは「電気自動車(BEV)は偶数、内燃機関(エンジン)搭載車は奇数」という命名法に改めるのだとか。よってA5は現行「Q4 e-tron」(EV)と同等車格となるエンジン車ということになります。
本体価格は706万円。なのですが、取材車はオプションがテンコ盛りの951万円。250万円分のオプションの中身を全部書くと大変なのですが、ザックリ言うと「Sラインパッケージプロ」(44万円)と「テクノロジーパッケージプロ」(45万円)がメインになりそう。
標準の3インチアップとなる20インチタイヤ(25万円)と、Sラインパッケージプロに含まれる電子制御連続可変ダンパー「ダンピングコントロールSスポーツサスペンション」は乗り心地に大きく関係するので、本レポートはその点をご留意していただきたいと思います。
エンジンは2L ガソリンターボ。2輪駆動(FF)が最高出力150馬力(110kW)で、4WD(クワトロ)が204馬力(150kW)と、駆動方式により異なります。試乗車は4WDで、正しい商品名は「A5 Avant TFSI クワトロ 150kW」。そう、商品名から出力がわかるのです。
ちなみに外観からエンジン出力はわかりませんが、Bピラー付近にモデル名が書かれており、そこに「TFSI quattro」とあれば四駆モデルであるとわかります。quattro(クワトロ)はイタリア語で「4」という意味です。
燃料はもちろんハイオク。気になる燃費ですが、高速道路と街乗りでリッター10km程度、街乗りオンリーでリッター8km程度でした。
ボディーサイズは全長4835×全幅1860×全高1470mmと、先代より全長で65mm、全幅は15mmほど大きくなったけれど、まだまだDセグメントの大きさです。ステーションワゴンの不人気の理由に、デザインが古臭い(または商用車っぽい)というのを耳にしますが、A5 Avantはその例にあてはまらないような。実に流麗でカッコいいエクステリアです。
マフラーは左右2本出しでスポーティー。静かですが、わずかに太い音が響きます。
SUVにも負けないくらい荷物が載る実用性
「いうてSUVの方が荷物が載るでしょ!」と思われがちですが、ラゲッジを開ければ考えが変わります。荷室の容量は448リットル。後席を倒せば1396リットルで。SUVに比べると数字上の容量は少ないですが、床面積が広いので色々な荷物が載せられそうです。
荷室側から後席の背もたれが倒せるし、12Vアクセサリーソケットも用意されていました。「それって普通では?」というのは、日本車に慣れている人。
バックドアもクーペ形状に近いので、うしろの壁が近くてもドアの開閉に苦労することは少ないでしょう。
「それでもSUVの方が……」という方にために、後席の背もたれを立てた状態で寸法を測ってみました。適当な測り方ですが、奥行き方向で110cm、幅100cmはありそう。これだけあれば十分に広いと言えませんか?
後席は従来よりホイールベースが70mm伸長していることもあってか、かなり広い印象。さらにヘッドルームも少し広くなっているそうで、快適そのものです。これならお偉いさんが乗っても文句は言われないハズ。プライバシーシェードもありますし、USB Type-Cの充電ポートも用意されています。
ただ、四輪駆動ということもあってかセンタートンネルは高めなので、5人乗りですが実質4名乗車といえそうです。
先進性な運転席は健在!
オプションのディスプレーにはアプリもインストール可能
運転席は今までのアウディとは一線を画すもの。センターディスプレイと一体化したカーブドディスプレイは、運転席側が11.8インチ、センター側が14.5インチと大画面。そして、ハンドルの上下が少し直線形状の近未来デザインになっていました。
シートはSラインパッケージのオプションである、Sスポーツシート。
助手席にはオプションのディスプレーが取り付けられていました。これがテクノロジーパッケージプロの一部に含まれるもの。ナビ画面が操作できるほか、YouTubeやAmazon Musicなどがインストール可能。ちなみにZoomも入れられるようですので、運転中にテレビ会議、ということもできそうです。
「運転中にYouTubeが楽しめるのか」と思ったのですが、運転席からは見られないようです。助手席の人は動画が出たというので、角度によって見ることができない仕様っぽいです。なお、音声は車内スピーカーから出ます。
天井は今ハヤリの、ボタン1つで透明度が変わるパノラマガラスルーフ(33万円)が取り付けられていました。他社の場合、オンオフの2段階ですが、アウディは9分割で前だけ明るくする、といった調光が可能。遊び心があります。
Apple CarPlay、Android Autoの両方に対応。
安定感のある走りで気持ちよく走れるA5 Avant
重ね重ねの話になりますが、試乗車は「Sラインパッケージプロ」(44万円)の可変ダンパーと、20インチタイヤ(25万円)を取り付けた状態。つまりノーマルではありません。グッドイヤー・イーグルF1スーパースポーツの35偏平を見て「これは絶対に覚悟がいる」と思ったのですが……、そこはアウディ。実に見事な仕上がりで、まるで地面を掴んでいるかのように走る。この上質さがアウディのアウディたるところ。
運転中に気になったのは、メーターパネル内のナビ表示がなくなったこと。この手の機能の先鞭をつけたのはアウディだし、そのためだけにアウディが欲しいと何度も思ったものです。気づけば他社も似たような機能が出てきたので、オリジネーターの優位性は失われつつありましたが、見やすさは段違いだっただけに残念なところ。ヘッドアップディスプレイには速度とルート表示されていました。
そして高速道路で、前方車両との車間距離を自動的に調整するアダプティブクルーズコントロール機能は搭載されているものの、ハンドル支援はしない様子。車線を逸脱した時にハンドルを戻す「アクティブレーンデパーチャーワーニング」はあるので、大きな問題はないのですが、ちょっと気になりました。
走行モードはコンフォート、インディビジュアル、エコ、ダイナミックの4段階。コンフォートはちょっと上下動が多いかもですが、極上の乗り味。ダイナミックは引き締まりすぎない足に好印象。その中間がインディビジュアルで、一般道の快適さ、高速道路の快適さ、コーナリングの気持ちよさで文句なし!アウディA5を買うなら、このSラインパッケージプロはマストだと思いました。
エンジンは滑らかで静か。ちょっと回転数を上げると、助手席側からタービン音が聴こえてくる。ハイブリッドやBEVに慣れた身からすると、反応が鈍いように思えてしまうけれど、エンジン車ってこうだったよな、とも。アイドリングストップからの復帰も静かだし、サーキット走行をしない限り、このパワーで十分すぎると思います。
アウディの良さは、山手育ちの方が乗っていそう、似合いそうな「品の良さ」だと筆者は思います。上質な雰囲気、イイモノ感というアウディらしさが、アウディA5には色濃く受け継がれていました。同じドイツでも、メルセデス・ベンツやBMWとは違う個性、良さ。アウディを選ぶべき理由が、このA5にはしっかりあると思いました。









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