Uber Technologiesが中国のWeRideと提携して、完全自動運転ロボタクシーの商用サービスの世界展開を加速させています。
アラブ首長国連邦(UAE)を構成する7つの首長国の中でも、最先端テクノロジーの社会実装に積極的な地域として知られるアブダビでは、2025年11月に完全自動運転ロボタクシーのサービスが本格展開されています。
UberとWeRideが、UAEのアブダビの一部地域から提供を始めたロボタクシーのサービスを取材しました
モビリティの先端テック企業がタッグを組んだ
Uberが完全無人の自動運転サービスの国際展開において最初に選んだパートナーは、中国に本社を置くWeRideです。
WeRideはレベル4の自動運転技術を核に、ロボタクシーだけでなくバス、貨物輸送、清掃車など多岐にわたるソリューションを世界20以上の都市で提供するテック企業です。
アブダビでのサービス開始にあたり、両社は現地の運送大手であるTawasul Transport(タワソル トランスポート)と協力し、アブダビ近郊で自動運転車両の運用・管理を行なう体制も合わせて構築しました。
今回のサービスに導入された車両は、WeRideが開発した最新モデルの「GXR」です。ワゴンスタイルの車両には、最大5人が乗車可能。車内のレイアウトも公共交通としての実用性を追求した設計となっており、たとえばスーツケースも置けそうなほど足をゆったりと伸ばせる十分なスペースを確保しています。
筆者もアブダビのヤス・アイランドで、完全自動運転による約15分のライドを体験しました。
ロボタクシーの利用方法はとてもシンプルです。ユーザーは人間のドライバーによるライドシェアサービスを利用する感覚で、モバイルのUberアプリを立ち上げて「Autonomous=自動運転車両」をオプションから選択することが可能です。
または、通常は人間のドライバーによる「UberX」や「Uber Comfort」をリクエストした際にも、走行ルートが自動運転車両によるロボタクシーの対応エリア内であり、かつ車両が利用可能なタイミングであれば、自動運転車とのマッチングが提案される場合もあります。
Uberアプリから、あらかじめ設定で「自動運転車を優先する」オプションを選択することで、マッチング率を高めることもできます。
走り始めるGXR
移動中の車内。道が空いていたこともありますが、とてもスムーズで快適なドライブでした
筆者は2025年の3月に、当時は米国テキサス州のオースティンで始まったばかりの完全自動運転車両によるロボタクシーのサービス「Waymo on Uber」を体験しています。WaymoはAlphabet傘下の、米国では最も早く商用のロボタクシーサービスを立ち上げたパイオニアです。
オースティンではジャガーの「I-PACE」をベースに、Waymoが開発したロボタクシーが使われています。WeRideの車両との違いは、1つには5人のパッセンジャーがゆったりと乗れるクルマのデザイン(I-PACEは運転席を除く、前に1人+後に2人の計3人)があります。
ロボタクシーの外観も、WaymoのI-PACEはルーフトップに大型の回転式LiDARセンサーユニットを搭載していますが、WeRideのGXRは小型のソリッドステートLiDARを複数搭載して、センサーユニットをできるだけ目立たなくする工夫を図っています。
Waymoの車両はユーザーをピックアップするポイントに到着すると、ルーフトップの小さな液晶ディスプレイにユーザーのイニシャルを表示します。WeRideのGXRにはこの機能がなく、アプリの画面に表示されるナンバープレートの数字を車両のそれと見比べて確認する形になります。
もっとも、自分が呼んだ車両でないと、アプリからドアの鍵を開けることができません。間違えて他人が呼んだ車に乗って、意図しなかった場所に運ばれてしまう……という心配はありません。
アブダビの運行エリアは、観光施設やF1サーキット(ヤス・マリーナ・サーキット)、博物館などが多く集まるヤス・アイランドの賑やかなエリアです。現在、ヤス・アイランド内では完全無人運転が実施されていますが、その他のエリアや高速道路を走行する際は、安全を期してオペレーターが同乗する段階的なアプローチが取られています。
ロボタクシーを選んで乗りたくなる
約15分間のライドはとてもスムーズで快適そのものでした。筆者はもうアメリカで何度か完全自動運転車両を経験していたので、「運転席に誰もいないままクルマが動いていること」に対する違和感はとくに感じませんでした。
今回はデモンストレーションのため、UberのAutonomous部門シニア・ディレクターであるノア・ジッチ氏が同乗してくれました。もし、この広々としたGXRを独占しながら乗ることができたら、広い車内で歌をうたったり、仕事したり、移動時間を自由に思いのまま過ごせそうです。最高のプライベート空間と言えます。
特に海外でタクシーを利用する際、ロボタクシーであれば不慣れな言語でドライバーと会話を交わす必要がないので、コミュニケーションによるストレスからも解放されます。アブダビでは同一のルートで比較した場合、最もスタンダードな「UberX」に対して「Autonomous」のオプションを選んでも、3~5AED(UAEディルハム:1AEDは約42円)ほどロボタクシーの方が高値にはなりますが、一度この快適さを体験してしまったら、今後筆者は迷わずロボタクシーを選択すると思います。
乗車中に、ロボタクシーの優位性を実感する出来事もありました。交通量の少ないヤス・アイランドの道路を走行中、人間のドライバーが運転するマイクロバスが不必要に接近し、筆者たちが乗車するクルマにクラクションを鳴らしてきたのです。こちら側には速度や進路において何の落ち度もありませんでした。こうしたエチケットを欠いた運転がきっかけになり、大小さまざまな事故につながることも少なくありません。
対照的にロボタクシーは周囲の状況を冷静に把握し、プログラムされた通りに淡々と安全な走行を維持します。
2026年内には世界15都市に自動運転サービスを拡大
今回の体験走行に同乗したUberのAutonomous部門シニア・ディレクター、ノア・ジッチ氏は、WeRideのGXRによるUberのロボタクシーサービスが「安全性への配慮を徹底している」点を強調しました。
たとえば、乗車した全員がシートベルトを着用しなければ車両は発進しません。車内の音声や映像も、事故などの緊急事態を除いてリアルタイムで監視されることはなく、プライバシーへの配慮も徹底されています。
Uberは2026年末までに、アブダビやドバイを含む世界15都市で自動運転サービスを拡大する計画を発表しました。さらに2029年までには、商用自動運転トリップにおける世界最大のファシリテーターとなることを中期目標に掲げています。
自動運転車両によるロボタクシーは、日本にとっても重要な意味を持つサービスです。
日本の都市部ではタクシードライバー不足が深刻化しており、増加するインバウンド需要に十分応えきれていない現状があります。観光地における「旅行者の足」として、あるいは地方で高齢者の移動を支える公共交通の補完として、ロボタクシーは有力な選択肢になり得ます。
Uberが世界各地で積み重ねてきた運行ノウハウや安全管理のデータ、そしてWeRideをはじめとするパートナー企業との連携実績は、日本に最適な自動運転サービスを構築するうえで貴重なプラットフォームにもなるはずです。
安全で信頼できる次世代インフラとして、先端のロボタクシー技術が日本の街並みとなじむ日が来ることを期待したいと思います。
筆者紹介――山本 敦
オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。
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