過去最多の来場者を記録した鈴鹿サーキット
3月27~29日に三重県・鈴鹿サーキットで開催されたF1日本グランプリを観戦してきた。鈴鹿サーキットには高校生のころから通い始めているので、35年近く日本グランプリを観戦し続けてきていることになる。
今年の鈴鹿サーキットはとにかく人が多かった。
フリー走行だけの27日金曜日が7万5000人、予選の28日土曜日が11万人、そして決勝レースの29日日曜日が13万人を記録した。3日間合計で31万5000人が来場したことになり、昨年の26万6000人を4万9000人も上回ったことになる。
鈴鹿サーキットは2007年から2008年にリニューアルされているが、2009年以降、最多来場者記録であった2025年を大幅に上回る数字となった。
円安と春開催がもたらした「コスパ最強」のインバウンド需要
実際に鈴鹿サーキット内を歩いていると、特に「外国人」と「若い人や女性」が多かった。外国人が多いのはやはり「円安」の影響が大きそうだ。
グランドスタンドのチケットは1枚で14万円もするところがあるのだが、ドル建てで見れば1000ドルを切るわけで、外国人にとって見れば「お手頃」と感じるのではないか。
実際、鈴鹿サーキット内で、ハイネケンのビールは1本800円で売られていた。いま、アメリカなどでビールを1杯飲もうとすると10ドル以上はする。つまり、800円をドル建てにすると5ドル程度になるわけで「日本はアメリカの半額でビールが飲める」と思えば、なんて安いと感じることだろう。
しかも、鈴鹿サーキット内は食べ物が充実し、どれも美味しい。海外のサーキットでもF1を観戦したことがあるが、正直言って、向こうレパートリーがとにかく少ない。その点、鈴鹿サーキットであれば、安くて美味しい選択肢が豊富なので、レース観戦の満足度が高いのは間違いない。
さらに、F1日本グランプリはこれまで秋に開催されていたが、2024年から春開催となっている。ちょうど桜が咲く時期であり、今年もこの週末に鈴鹿サーキット内の桜が一気に開花して満開となった。外国人からすれば円安、グルメ、桜と、日本を観光するうえで最強のコストパフォーマンスでF1を観戦できるというわけだ。
Netflixが火付け役。急増する若者と女性ファン
もうひとつ「若い人や女性」が増えたのも、ここ最近のF1における特徴といえる。最大の理由はNetflixで配信されている「Formula 1:栄光のグランプリ」というドキュメンタリー番組の影響だと言われている。
Netflixのドキュメンタリーは、F1ドライバーやチーム代表の素顔(かなりの演出があるが)に迫ったものであり、これまでF1レースを見たことがない人も興味深く視聴できる内容となっている。
そのおかげで、アメリカを中心にF1人気が爆発し、いまアメリカではテキサス、マイアミ、ラスベガスという、年間3つのサーキットで開催されるほどとなっている。
今年、新たにF1チームが1つ増えたのだが、それもキャデラックというアメリカの自動車メーカーだ。ホンダが今年、F1に再参入した一方、トヨタは「GAZOO Racing」としてHAASというチームをサポート。また、アウディも今年F1チームとして参入している。
いずれも、F1が特に人気となっているアメリカ市場を強く意識したといわれている。
その昔、日本でF1を見ようと持ったら、衛星放送やケーブルテレビを契約する必要があった。しかし、DAZNなどアプリで見られるようになったこともあり、テレビではなく、スマホでF1を視聴する人たちが増えてきた。
今年になってアメリカでは、アップルが独占的にF1中継を配信。日本ではフジテレビが独占的に放送、配信をするようになった。フジテレビとしては、地上波でダイジェストやニュース番組でF1を紹介しつつ、FODという配信サービスの顧客獲得の流れを作ろうとしている。
「レースを見ない」新しいファン層と企業のSNS戦略
F1の視聴層が変わりつつある現状をF1チーム側はどう見ているのか。
HRC(ホンダ・レーシング)でHRC-UK 広報・マーケティング戦略担当を務める鈴木悠介氏は「新しいF1ファンの特長として“レース自体を観ない人”が意外と多い。毎戦フルでレースは観戦せず、YouTubeで配信されるダイジェスト版をチラ見する程度。むしろ、SNSでドライバーやチームの情報を追いかけるといった、F1をカジュアルに楽しむ層が増えている」と語る。
SNSでF1を楽しむ、そうした若い世代にリーチしようと、自動車メーカーだけでなく、さまざまな企業がF1チームにスポンサーをしたり、コラボレーションをしているのが、ここ数年のF1のトレンドでもある。
ITや金融関連企業として、グーグル、レノボ、クアルコム、AMD、IBM、Claude、VISA、マスターカード、アメリカン・エクスプレス、Revolutなど、挙げればきりがない。今年の日本GPではゴジラがHAASとコラボレーションしているのが印象的であった。
企業側とすれば、F1というメディアからSNSを経由して、若い層に自社のブランドを届けたいという狙いがある。
Netflix以前のF1といえば「クルマやレースが好き」という人が支えてきた。
自分も1989年の日本グランプリで、フジテレビが中継した「アイルトン・セナとアラン・プロストがシケインで接触事故を起こしたレース」からF1にのめり込むようになった。当時、ホンダエンジンは圧倒的に強く、セナとのコンビで連勝しまくっていた。フジテレビがF1を盛り上げたことで、日本でF1ブームが起きた。セナプロ時代だけ、F1を観ていたという人も多い。
しかし、いまの若い人に「セナプロ時代は強かったホンダ」と言っても、ちんぷんかんぷんだろう。ではホンダは今のF1で、若い人に対して、どのようなメッセージを発信していくつもりなのか。
鈴木氏は「私見にはなるが、若い層はそもそもクルマへの興味が薄い傾向がある。若い人に対してはいきなり強いメッセージを発信するのではなく、まずはホンダのHマークを覚えてもらい、ブランドを認知してもらうことが大事」と語る。
若い人たちがクルマを購入するタイミングになったときに「ホンダ」を思い出してもらえるか。F1に参戦する自動車メーカーたちは、SNS上でも熾烈な戦いをしているようだ。
筆者紹介――石川 温(いしかわ つつむ)
スマホ/ケータイジャーナリスト。









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