株式会社ニレコ(本社:東京都八王子市、代表取締役社長:中杉 真一)は、この度、5m程度の中長距離で、μmオーダーの高精度と800mm以上の測定範囲を両立した高精度レーザ計測器「BFSレーザ距離計測器」を開発しました。


BFSレーザ距離計測器は、レーザを用いた一般的な距離計測器で用いられているToF(Time-of-Flight)センサ方式や三角測量センサ方式とは異なる光ヘテロダイン方式を採用することで、他の方式では困難な中長距離でのリアルタイム精密計測を実現しました。
また、最大4ヘッドまでの完全同期による多点同時測定、φ17×21mmの超小型照射受光ヘッドによる狭所対応、光ファイバ延長による柔軟なレイアウト設計、IP65準拠の堅牢な照射受光ヘッド構造など、現場での実用性にも優れた特徴を有します。同軸測量方式の採用により、凹凸形状やピンホール内部など、従来測定が困難であった箇所にも対応可能で、材質に依存しない安定した測定性能を発揮します。
本計測器は外乱光・空気の揺らぎ・高温環境などの過酷環境下であっても精密測定が可能であり、800mm以上の測定範囲を有することから、鉄鋼・非鉄金属分野、精密工作機械、半導体製造装置、自動車産業におけるギガキャストなどの大型ダイキャスト形状計測やエンジンブロック等の鋳物、航空宇宙・防衛分野、ロボティクス、半導体製造、土木・建築物モニタリングなど、幅広い製造・インフラ分野などでの活用が想定されます。当社では、本計測器の販売活動を2025年9月より開始します。

ニレコは、制御、計測、検査の技術を活かした製品をお客様へ提供することで、鉄鋼・非鉄金属業界やフィルム・金属箔・軟包材などのシート状素材を扱う業界、食品業界、半導体分野など、幅広い分野の生産活動を支えてきました。今回開発したBFSレーザ距離計測器は、当社の培ってきた知見を活かし、従来一般的に用いられるレーザ計測器とは異なる新たな計測・検査用機器として、過酷な環境下での幅広い利用用途を想定して開発しました。
BFSレーザ距離計測器は光ヘテロダイン方式により、ビート周波数を発生させます。このビート周波数は測定距離に応じて周波数が変動することから、ビート周波数を解析することで、距離情報を高精度かつリアルタイムに取得することが可能となります。この結果、測定環境に左右されることなく得られた距離情報を利用することで、高度な精密測定を可能としました。
レーザ計測器として一般的に用いられているTOFセンサ方式は、5m程度の距離で測定した場合の精度がmmオーダーとなります。また、別の方式である三角測量センサ方式の場合は、精密測定を行う場合の測定対象物との最大距離が2m程度となり、測定距離が長くなるにつれてセンサの大型化や測定対象の傾き誤差、外乱光や温度変化などの環境変動による誤差が顕著となり、中長距離での測定には不向きです。今回、当社が開発したBFSレーザ距離計測器は、5m程度の中長距離で大型対象の精密測定を必要とするユーザーにニーズがあるものと考えています。

BFSレーザ距離計測器は、中長距離での高精度計測が可能であり、耐環境性に優れ、さらに多ヘッド化が容易であるという特長を有しています。これらの特性を活かし、鉄鋼の熱間圧延工程における厚み計測装置の応用試験を実施し、高精度な測定が可能であることを確認しました。従来のX線やγ線を用いた透過型センサでは対応が難しかった厚板材の測定にも適用可能であることから、今後、新たなアプリケーションへの活用を期待しています。


●BFSレーザ距離計測器

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/542702/LL_img_542702_1.jpg
BFSレーザ距離計測器本体
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/542702/LL_img_542702_2.jpg
BFSレーザ距離計測器照射受光ヘッド

●想定アプリケーション例
・鉄鋼・非鉄金属製品
高温測定対象への厚み・形状計測

・航空宇宙・防衛分野
構造物の変形モニタリングや、組立時の高精度アライメント
衝撃試験や振動試験時の変位計測

・自動車産業
エンジンブロック等の鋳物形状計測
ギガキャスト等の大型ダイキャスト製品形状計測

・ロボティクス・自動化装置
ロボットアームや搬送装置の高精度位置決め
直線移動時高精度フィードバック制御

・精密工作機械
CNCマシンや研削盤などで、温度変化や振動の影響を受けにくい加工対象物の位置制御や変位測定用途

・半導体製造装置
位置決め時やステージ制御の高精度測定や半導体ウェハ・チップの高さ計測

・産業用部品の品質管理や医療機器の内部構造検査
従来の接触式プローブでは困難であった複雑な内部構造の形状計測

・土木・建築構造物のモニタリング
橋梁や高層ビルの長期的な変位・傾きの監視
地震や風荷重による構造変化の検出


●仕様
型式 :BFS15-D
光源・波長(典型値):ファイバーレーザ・1558nm
レーザ出力 :20mW
測定範囲 :860mm
スポット径(典型値):φ0.6 (焦点位置)
機械・電気仕様 :レーザユニットサイズ:W200 - H250 - D350 mm
重量:<7kg
ヘッド数:1
ファイバ長・ファイバ保護構造:5m・SUS管(最小曲げ半径20mm)
電源電圧:DC24V (80W)

型式 :BFS15-T
光源・波長(典型値):ファイバーレーザ・1558nm
レーザ出力 :10mW(各ヘッド)
測定範囲 :300mm (各ヘッド)
スポット径(典型値):φ0.6 (焦点位置)
機械・電気仕様 :レーザユニットサイズ:W200 - H250 - D350 mm
重量:<7kg
ヘッド数:2
ファイバ長・ファイバ保護構造:5m・SUS管(最小曲げ半径20mm)
電源電圧:DC24V (80W)


【ニレコについて】
商号 : 株式会社ニレコ
設立 : 1950年11月設立
連結売上高: 10,756百万円(2025年3月期)
資本金 : 3,094百万円
市場 : 東証スタンダード上場(証券コード:6863)
事業内容 : 制御および計測装置の開発、製造、販売ならびに保守サービス
URL : https://www.nireco.jp
レーザ装置: https://www.nireco.jp/product/laser/


■本件に関するお問合せは
株式会社ニレコ レーザ事業グループ営業チーム
TEL : 042-660-7387
e-mail: info-laser@nireco.co.jp
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