一般社団法人 日本損害保険協会(会長:舩曵 真一郎)では、損害保険会社における情報漏えい事案や8月の「保険会社向けの総合的な監督指針」一部改正を踏まえ、「損害保険会社からの出向者派遣に係るガイドライン」、「損害保険会社に係る個人情報保護指針」、「損害保険会社における個人情報保護に関する安全管理措置等についての実務指針」、「政策保有株式に係るガイドライン」を改定しました。

1. 「損害保険会社からの出向者派遣に係るガイドライン」の改定概要
今回の改定では「適切な出向を担保するための態勢の整備」に「必要な措置」と、適切性を判断・検証する際における出向先や出向形態等を踏まえた「留意点」を新たに追記しました。

また、出向の適切性を十分に確認できる場合を除き、代理店への出向を行わない旨を明記するなど、「顧客の適切な商品選択の機会」、「顧客の同意に基づく顧客情報管理」、「代理店等の自立」、「損害保険会社における適切な利益相反管理」の観点から、出向の適切性を担保する内容としています。

■損害保険会社からの出向者派遣に係るガイドライン
https://www.sonpo.or.jp/about/pdf/syukousya_guideline.pdf


2. 「損害保険会社に係る個人情報保護指針」および「損害保険会社における個人情報保護に関する安全管理措置等についての実務指針」の改定概要
「損害保険会社に係る個人情報保護指針」では、出向者を介して情報が不正に取得されないために必要な対応や、保険代理店から他の保険会社への情報提供について必要かつ適切な監督を行うことを明確化しています。
「損害保険会社における個人情報保護に関する安全管理措置等についての実務指針」では、コンプライアンス部門が関与し、顧客等に関する情報の管理状況を適時・適切に検証できる体制を構築することやアクセス権限の設定を適切に行うことを明確化しています。

■損害保険会社に係る個人情報保護指針
https://www.sonpo.or.jp/about/guideline/individual/ctuevu0000005hsf-att/sonposhishin.pdf
■損害保険会社における個人情報保護に関する安全管理措置等についての実務指針
https://www.sonpo.or.jp/about/guideline/individual/ctuevu0000005hsf-att/action_jitsumushishin.pdf


3.「政策保有株式に係るガイドライン」の改定概要
政策保有株式(非上場株式を含む)は、早期に縮減する方針を定めることをガイドライン上で明確化する等の改定を行いました。

■政策保有株式に係るガイドライン
https://www.sonpo.or.jp/about/pdf/seisaku_guideline.pdf


4. 今後の対応
当協会は、これらガイドラインおよび指針の十分性を確認した上で、必要に応じて改定するとともに、会員会社の取組状況を定期的にフォローアップしていきます。


【ご参考】
・金融庁の「損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議」報告書(※1)においては、損害保険会社から代理店等への出向は、代理店等の業務品質の向上やお客さまニーズの発掘による商品開発への貢献等、顧客本位の業務運営に資する一面がある一方で、お客さまの適切な商品選択を阻害するなどの弊害があると指摘されている。
・会員会社4社は、2025年3月に、損害保険会社や保険代理店における情報漏えい事案について、個人情報保護法および不正競争防止法を照らして不適切な行為ならびにその背景にある態勢上の問題が認められたことから業務改善命令(※2)を受けた。
・2025年4月には、個人情報保護委員会から上記4社に対し、個人情報保護法第147条に基づく指導(※3)が行われた。当協会も認定個人情報保護団体として、同日付で同4社に対して個人情報保護指針に基づく指導(※4)を行い、全対象事業者に対して個人情報保護法および「損害保険会社に係る個人情報保護指針」等の遵守を改めて要請した。
・2025年8月に一部改正された「保険会社向けの総合的な監督指針」(※5)では、顧客等に関する情報へのアクセスおよびその利用について、業務遂行上の必要性を踏まえた組織体制の確立や取扱基準の策定、アクセス管理の徹底等の態勢整備を保険会社に求めている(監督指針II-4-5)。保険会社は保険代理店に対する不適切な出向を防止する必要があるとして、適切性を担保するための態勢整備および保険代理店の特性等に応じた適切性の判断・検証を求めている。また、出向の適切性を十分に確認できる場合を除き、出向を行わないことを求めている(監督指針II-4-2-13)。
保険市場において政策保有株式が公正な競争を阻害する要因になり得るとして、コンプライアンス上問題となり得る行為を防止する態勢構築を求めている。
また、保険シェアを獲得することを意図した預金協力や融資も同様の阻害要因になり得るとしつつ、非上場株式も含めた政策保有株式の早期縮減に係る方針策定等を求めている(監督指針II-4-12)。

(※1)2024年6月25日付「損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議」報告書の公表について(金融庁): https://www.fsa.go.jp/news/r5/singi/20240625.html
(※2)2025年3月24日付 損害保険会社4社に対する行政処分について(金融庁): https://www.fsa.go.jp/news/r6/hoken/20250324/20250324.html
(※3)2025年4月30日付 損害保険会社及び保険代理店に対する個人情報の保護に関する法律に基づく行政上の対応について(個人情報保護委員会): https://www.ppc.go.jp/news/press/2025/250430_02/
(※4)2025年4月30日付 損害保険会社に係る個人情報保護指針に基づく対象事業者 4 社に対する指導について(日本損害保険協会): https://www.sonpo.or.jp/news/release/2025/g34l0i0000007g58-att/250430_01.pdf
(※5)保険会社向けの総合的な監督指針(金融庁): https://www.fsa.go.jp/common/law/guide/ins.pdf


これまでのお客さま・社会からの信頼回復に向けた取組みについては、こちらをご覧ください。
https://www.sonpo.or.jp/news/shinrai/index.html
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