EV業界は、組み込みハードウェア上で高度かつ応答性の高いHMI機能を提供するという課題を抱えており、シームレスなユーザー体験の実現は、しばしばハードウェアの性能やコストによって制約を受けます。この課題に対応するため、スズキはQt GroupのクロスプラットフォームHMIツールを活用し、インストルメントクラスターやインフォテインメントシステムなどにデジタル・コックピットを展開しながら、迅速なUI/UX開発を進めていきます。
「Qtフレームワーク」を活用することで、スズキは、今後、異なる車種やプラットフォームにまたがるすべての UI コンポーネントを、単一のコードベースで設計、テスト、再利用できるようになります。モジュール化と再利用により、ソフトウェア開発時間とコストは大幅に削減され、プロトタイピングから生産に至る開発プロセス全体のコラボレーションが促進され、スケーラビリティとパフォーマンスの向上にもつながります。
また、コックピットのルック&フィールを自由にカスタマイズでき、スズキのブランドらしさを兼ね備えながらも、独自のユーザー体験を創出することが可能になります。デザイナーや開発者は、デジタル・ダッシュボードやインフォテインメント・メニューなどのインタラクティブ要素を、ドライバーや同乗者のニーズに合わせて柔軟に調整することができます。
Qt にビルトインされているUI コンポーネントとツールは厳格な品質テストを受けており、スズキのHMI 開発に信頼できる基盤を提供します。これは、スズキが独自のコックピット・ソリューションを設計・検証する際に、自動車業界の厳格な安全基準やコンプライアンス基準への対応をサポートするものです。
スズキ株式会社四輪電気電子技術本部長 常務役員 寸田 剛司氏は次のように述べています。「Qtを採用した理由は、GUIをスズキで資産化し異なるプラットフォームに供給可能とすることにより、ベンダーロックに陥ることなく開発コストを最適化しつつ、統一したグラフィックデザインから成るデジタルクラスターのラインナップを構築するためです。本プロジェクトは、スズキのデザイナーとHMI開発者とユニット開発者の役割分担と各々に必要なスキルセットを考え直すきっかけになり、今後のスズキのデジタルクラスター開発にとって非常に有意義でした。」
スズキは、オープンソースのAutomotive Grade Linux(AGL)( https://www.automotivelinux.org/ )上にコックピット・ソリューションを構築しており、開発者はゼロから始めるのではなく、業界標準の共通プラットフォーム上でソフトウェアを構築・展開することができます。Qt Groupは2015年以来、AGLの主要パートナーとして、コネクテッドカーのインフォテインメントやHMIシステム向けの先進的なオープンソースのLinuxベースのソリューションの開発に積極的に協力してきました。
スズキはAGL と Qt の両コミュニティと協力することで、商用ライセンスを活用しつつ共有コンポーネントへのアクセス、迅速なアップデート、幅広い互換性を得ることができます。この戦略は、スズキのこの先10年間の技術ロードマップを強化し、SDVをより身近なものにするという目標の実現を加速させるものです。
Qt Group の製品管理担当上級副社長であるユハペッカ・ニエミは次のように述べています。「私たちは、日常のユーザーに寄り添った技術開発を通じて、クルマにおける体験の革新に取り組んでいます。スズキのe VITARAは、Qtが自動車メーカーにプレミアムなデジタル体験を、より幅広いユーザー層に届けるうえでどのように貢献できるかを示す好例です。このパートナーシップは、美しく、かつ応答性に優れたデジタル体験を、自動車業界全体でより身近なものとすることを目指しています。」
e VITARAを通じて、スズキとQt Groupは、スマートでスケーラブル、そして美しくデザインされたデジタル・コックピットの新たな基準を主力EV市場に打ち立てています。これにより、より多くのドライバーがプレミアムな体験を享受できるようになります。
【Qt Groupについて】
Qt Group (Nasdaq Helsinki:QTCOM)はグローバルなソフトウェア企業です。産業界のリーダーと150万人を超える世界中の開発者が信頼を置き、ユーザーに愛されるアプリケーションやスマートデバイスを作成しています。UIデザインやソフトウェア開発から品質管理と導入まで、製品開発サイクル全体を通してお客様の生産性向上を支援します。Qt Groupのお客様は70以上の業界で180か国以上に広がっています。
公式ホームページ: https://www.qt.io/ja-jp/