調査の結果、2024年における業界全体のハードディスクドライブ(HDD)およびソリッドステートドライブ(SSD)の復旧依頼台数は、72,100台(パソコン 54,300台、外付け15,200台、サーバー2,600台)と推定した。
パソコン(PC)の販売台数は4年ぶりの増加。2024年は2025年10月に控える基本ソフト(OS)「Windows10」のサポート終了に向けたPCの入れ替えが始まり、法人市場を中心に需要が高まっている。一方で、個人市場では法人市場に比べ入れ替えのタイミングが遅れており、2025~2026年初頭にかけてPCの入れ替え需要が続くとみられる。
当協会としては、Windows11へかけこみアップグレードによるトラブル発生が増加することも想定している。この回避先として、必ず「Microsoftアカウント登録」や「BitLockerの回復キーのバックアップ」を行うよう引き続き発信していく。
外付けについては、当協会ストレージメーカ3社の調査より、HDDからSSDへのシフトが更に進みつつあるも、総販売台数は減少。復旧依頼率は一定を保っている。
サーバーの販売台数は6年連続で減少。オンプレミスからクラウド化へ移行が更に加速している。
データ復旧業界・市場全体としては、個人および法人とも復旧依頼台数は若干の減少傾向にあるもののストレージの大容量化により、1件あたりの消失ファイル数は増加、つまりは、発生したときの被害は甚大になりつつある。また、ランサムウェアによる被害も依然後を絶たず、当協会としても大容量およびランサムウェアの復旧対応においては引き続き課題とする一方で、全国各地で起きている自然災害によるデータ消失被害にも注視している。近年DX促進でクラウド化も進んでいるが、クラウドとはいえデータ消失が起こらないとは限らず過信はできない。
そのうえで、もし可能であればそれを別の場所に保管しておくことで災害時にバックアップデータまで失うことへの対策も行っていただきたい。これは同一の事業所内でランサムウェア感染が発生した際にも有用であり、外部に保管されたバックアップのためデータの真正性を担保する形にもなる。この措置によりマルウェア感染などの潜在的リスクから除外された安心して再利用できるバックアップデータとなるため参考にしていただきたい。
また、データ復旧サービスに関するトラブル相談も未だ絶えず、当協会としても公益性ある活動をより一層強めていく一環として、ビジネスや日常生活の緊急事態につけ込む悪質な業者の手口を「レスキュー商法」と呼び、「データ復旧サービスのレスキュー商法」として、よくある勧誘手口の説明に加え、実際のトラブル相談事例も随時、追加更新しながら公開している。
当協会では企業・個人問わず、日常で起こるデータトラブルにおいて、データ復旧サービスの選定で迷った場合などに活用いただき、今後一人でも多くの方が安心し取引できるよう広く周知することを目指している。
参考)当協会への2024年度相談件数は121件と増加傾向にある。
過去3年(2023年度112件、2022年度100件、2021年度96件)
相談内容のうち、特定の企業に対する苦情は91%を占めている。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/545623/LL_img_545623_1.png
近年、DRAJに寄せられた苦情や相談
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/545623/LL_img_545623_2.png
苦情の内容合計苦情件数
データ復旧サービスのガイドラインについてはこちら
https://www.draj.or.jp/guideline/
データ被害時におけるベンダー選定チェックシートについてはこちら
https://www.draj.or.jp/guideline/
データ復旧サービスのレスキュー商法およびデータ復旧サービスのトラブルにあわれた方の問題解決に向けた支援のための情報についてはこちら
https://www.draj.or.jp/rescue/
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/545623/LL_img_545623_3.png
データ復旧依頼台数推移
■2024年
【PC (MM総研参考)】
(1)販売台数(2024年) :1,239.4万台
(2)稼働分(5年分) :6,725.9万台
(3)データ消失率 :0.95%
(4)復旧必要台数((2)×(3)):63.9万台
(5)復旧依頼率 :8.50%
(6)復旧依頼台数((4)×(5)):5.43万台
【外付け(NAS含む) ※テレビ録画用途を除く】
(7)販売台数(2024年) :201.3万台
(8)※稼働分(5年分) :1,169.0万台
(9)データ消失率 :1.00%
(10)復旧必要台数((8)×(9)) :11.7万台
(11)復旧依頼率 :13.0%
(12)復旧依頼台数((10)×(11)):1.52万台
【サーバー(MM総研参考)】
(13)販売台数(2024年) :31.6万台
(14)稼働分(5年分) :183.2万台
(15)データ消失率 :1.00%
(16)復旧必要台数((14)×(15)) :1.832万台
(17)復旧依頼率 :14.0%
(18)復旧依頼台数((16)×(17)) :0.26万台
(19)合計復旧依頼数 ((6)+(12)+(18)):7.21万台
<用語の定義、推定根拠については下記の通り>
※1 (5),(11),(17)の復旧依頼率は前回調査同様、各社の経験値から算定。
※2 (7)については、当協会独自調査(当協会ストレージメーカ3社の調査)から推計。
※3 (8)については、アーカイブ、バックアップ用途の未稼働分を含む。
※4 (15)については、サーバーの原価償却期間を5年として稼働期間を定義、その間に各HDD個体の障害に遭遇する確率が全体で30%ほどに達するとして、冗長化継続対応を怠ったためにデータを消失するユーザーが1%と想定。