二季化現象とも言える異常気象により、今年は10月頃まで酷暑が続きました。一方、12月に入り、気温は下がり寒さがどっと押し寄せています。
朝起きた瞬間に、思わず肩をすくめるような冷え込みを感じたり、布団からなかなか起き上がれなかったりする人も多い時期です。実はこの“寒い冬の朝”が、身体に負担がかかりやすいタイミング。厚生労働省の集計によると心筋梗塞の死亡者数は冬(12月から2月)に急増するというデータ(※1)もあります。特に起床後の朝に血圧が急激に上がる「モーニングサージ」が起こることで心筋梗塞を発症している人が多く、実際起床後である朝8時~10時が発症数が最も多い時間になっています。
普段血圧が正常な人でも要注意とそのだ内科 糖尿病・甲状腺クリニック副院長・工藤孝文先生(以下、工藤孝文先生)はおっしゃいます。
今回、「モーニングサージ」の原因や対策について、工藤孝文先生にお話をうかがいました。

(※1) 出典:厚生労働省「2023年人口動態調査 急性心筋梗塞による死亡数」

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急性心筋梗塞の時間帯別発症頻度(出典:日本心臓財団「心臓」29(7)586,1997)

■工藤孝文先生プロフィール
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工藤孝文先生

そのだ内科 糖尿病・甲状腺クリニック副院長。福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。
帰国後、大学病院や地域の基幹病院を経て、現在は東京・渋谷の、そのだ内科 糖尿病・甲状腺クリニックで、糖尿病・ダイエット治療を行っている。『ズボラな人でも 高血圧がラクラク下がる!』(永岡書店)など著書多数。


■冬の朝に要注意「モーニングサージ」とは
血圧が瞬間的に急上昇することを、「血圧サージ」といいます。血圧は1日を通じて一定ではなく変動しますが、朝の起床時などに急激に血圧が上がる現象を「モーニングサージ」と呼びます。
朝だけ血圧が高い人は、朝に血圧が正常な人より心筋梗塞や脳卒中などにかかるリスクが2.47倍に高まる(※2)という報告もあり、冬に特に気を付けたい現象の一つです。

モーニングサージは、朝、特に寝起きは、交感神経が一気に優位になり血圧が上がりやすく、冬場はそれに加えて「布団の中」と「室内」の大きな寒暖差によって血管が収縮し、血圧がさらに上昇するために生じます。特に普段から血圧が高めの方は起床時の血圧もより高くなりやすいため要注意です。また、自律神経の乱れによって血管が収縮しやすくなることも、モーニングサージの一因とされています。

(※2) Kario K, et al. Home Blood Pressure and Cardiovascular Outcomes in Patients During Antihypertensive Therapy: Primary Results of HONEST, a Large-Scale Prospective, Real-World Observational Study. Hypertension. 2014;64(5)


■「モーニングサージ」が起こりやすい人とは?
高齢者やアルコールを多く飲む人等は要注意です。若い方の血管は、やわらかいゴムホースのように弾力がありますが、高齢になると、硬いゴムのように徐々に弾力性が低下していきます。血管が硬くなり、血流が悪くなることで、ちょっとした刺激でも血圧が急激に上がりやすくなります。さらに、高齢者になると、自律神経の働きも弱くなるため、血管の収縮・拡張の調整がうまくできず、急激な血圧上昇につながりやすくなります。年末年始などは、生活リズムが乱れやすく、自律神経が乱れやすい時期であるため、高齢者に限らず、若い方も要注意です。 モーニングサージをチェックする簡単な方法は、朝起きて1時間以内に血圧を測ることです。
上が130mmHg以上または下が80mmHg以上のどちらかを超える場合は、モーニングサージの可能性があります。

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高齢者(65歳以上)

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アルコールを多く飲む人

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血糖値が高い人

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コレステロール値が高い人

■「モーニングサージ」の予防策(起床時、就寝時、普段の食生活)
【起床時】ダッシュ体操
布団の中で横になった状態で、両腕を曲げて脇にぴったりとくっつけて、腕をふるようにこすりつけます。
さらに、膝を少し曲げて内またに寄せ、小刻みに走る(ダッシュする)ような動作で、深呼吸をしながら、体全体を動かします。ダッシュ体操により、朝布団を出る前に数十秒で体温が上昇します。この運動によりモーニングサージが起こる原因である「大きな寒暖差」を予防することができます。

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ダッシュ体操

【就寝時】就寝時は部屋の温度設定が大切。キーアイテムは靴下。
「大きな寒暖差」を防ぐという観点では就寝時に室内を適切な温度(20℃から22℃)に保つことも大切です。起床時の室温がこの範囲にあると、体温の急激な低下を防ぐことができます。体温を下げないために、エアコンのタイマーを設定し、起床前に部屋を温めておくことも効果的です。また、就寝時に靴下を履くことで足元の冷えを防ぐことが大切で、血圧の急上昇リスクを下げることにもつながります。

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就寝

【普段の食生活】食事で高血圧対策として、朝食に小さじ1杯のアマニ油
モーニングサージは高血圧の一種です。そのため、日常から、高血圧対策と同様の食事をすることが、モーニングサージの予防につながります。その食事の中で、毎日意識すべき栄養素の一つが「血圧を下げる」「血液をサラサラにする」効果があると言われている「オメガ3系脂肪酸」(以下、オメガ3)です。
オメガ3を多く含む食品は特にサバなどの青魚が知られていますが、続けやすく手軽なのが「アマニ油」で、私も毎日取り入れています。
「アマニ油」は亜麻という植物の種子から抽出される天然のオイルです。オメガ3の一つであるα‐リノレン酸が豊富であることが知られています。アマニ油はクセがなくて摂り易く、小さじ1杯程度でオメガ3の1日の摂取目安量を摂ることができます。朝食の味噌汁に入れたり、サラダのドレッシングの代わりにしたりと毎日の食事に取り入れやすいのもポイントです。
さらに、血圧対策としては「カリウム」が多い食材(ほうれんそう、バナナなど)も摂取しましょう。

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味噌汁にアマニ油

■朝のメニューにアマニ油を導入している喫茶店「はすね」(板橋区) ※取材調整可
店主の方が、お客様の健康を気遣って、「アマニ油」を使ったメニューが展開されている喫茶店があります。板橋区にある喫茶店「はすね」(所在地:東京都板橋区蓮根2-31-28 1F)は、近隣の高齢の方々が毎朝集まる“地域の朝の拠点”。まさに高血圧やモーニングサージが気になる世代が多く、「モーニングセット」のサラダのドレッシングとしてアマニ油を提供しています。

店主のコメント:「お客様の中で、健康を気にされる方も多く、朝の常連さんの健康をサポートしたいと思い、アマニ油を取り入れています。アマニ油はクセもなく、サラダにかけても味も変わらないので、お客様からは『気軽に血圧対策ができる』『早速、普段の食事にもアマニ油を取り入れている』などの好意的な反応をいただいています。」

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モーニングセット

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店舗の様子

■ヘルシーオイル・プラス・コンソーシアムについて
脂質は体内でさまざまな働きを担う必須の栄養素です。からだを動かす効率的なエネルギー源であるだけでなく、健康でいるために、多彩な役割を果たしています。
近年特に注目されているのが、からだ本来の機能を整える「オメガ3(アマニ油・えごま油)」と脂肪の燃焼を高める「MCT」です。「ヘルシーオイル・プラス・コンソーシアム」は、「オメガ3分科会」と「MCT分科会」を持つ機関として、専門家の知見や最新研究などを交えながら、脂質栄養全般、オメガ3、MCTの健康価値を広く発信していきます。
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