昭和女子大学大学院(学長 金尾朗:東京都世田谷区)生活機構研究科 花香博美 教授及び大学院生が参加する共同研究グループは、ノーベル生理学・医学賞受賞者である故 ベンクト・サミュエルソン博士の下、カロリンスカ研究所で確立したホルモン療法抵抗性前立腺がん細胞を用い、最先端のイメージング技術により、がん細胞の生存戦略の破綻を可視化することに成功しました。これにより、今後は他の細胞株や生体モデルでの検証を進め、脂質代謝を標的とした新たな前立腺がん治療薬の開発につながることが期待されます。


【共同研究グループ】

● 国立大学法人浜松医科大学 細胞分子解剖学講座 瀬藤光利教授、荒牧修平特任助教
● カロリンスカ研究所 医学生化学・生物物理学講座 Olof Rådmark 博士
● 昭和女子大学大学院 生活機構研究科 花香博美教授、藤居京香(修士課程1年)、黒澤真梨子(修士課程2年)


【本研究のポイント】
1. 難治性がんの課題


前立腺がんの約10~20%はホルモン療法が効かない「去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)」へと進行し、有効な治療法が限られています 。


2. 新発見

CRPCモデル細胞において、プロスタグランジン産生酵素であるmPGES-1の発現を抑制(ノックダウン)すると、細胞死(アポトーシス)を誘導する「セラミド」が増加し、逆にがんの悪性度に関わる「ホスファチジルコリン(PC)」や「中性脂肪(TG)」が減少することを解明しました。


技術的ブレイクスルー

最新の「高空間分解能1細胞質量分析イメージング(AP-MALDI-MSI)」を用いることで、1細胞レベルでの脂質分布の可視化に成功。mPGES-1を抑制されたがん細胞は、代謝の「不均一性(ヘテロジェネイティ)」を喪失し、一様に脆弱な状態に陥っていることを突き止めました 。


【研究内容に関する問い合わせ先】

昭和女子大学 教授
花香  博美(はなか ひろみ)
h-hanaka@swu.ac.jp
浜松医科大学 特任助教
荒牧 修平(あらまき しゅうへい)
aramaki@hama-med.ac.jp


【論文情報】
掲載誌

Analytical and Bioanalytical Chemistry(日本時間2025年12月23日、オンライン版に掲載)


論文タイトル

LC-MS/MS and high-spatial single-cell MSI reveal selective downregulation of PC(16:0_16:0) and PC(18:0_18:1) due to mPGES-1 knockdown in hormone-resistant prostate cancer cell line (LC-MS/MSおよび高空間分解能1細胞質量分析イメージングにより明らかになった、ホルモン抵抗性前立腺がん細胞におけるmPGES-1ノックダウンによるPC(16:0_16:0)およびPC(18:0_18:1)の選択的ダウンレギュレーション)


著者

Mst. Sayela Afroz, Shuhei Aramaki, Md. Muedur Rahman, Maxime Dubail, Zhang Chi, Kyoka Fujii, Mariko Kurosawa, Keita Tamura, Tomoaki Kahyo, Katsumasa Nakamura, Teruo Inamoto, Olof Rådmark, Mitsutoshi Setou, Hiromi Hanaka


DOI

10.1007/s00216-025-06296-y


本件に関する取材のお申し込み先

昭和女子大学企画広報部 03-3411-6597 / kouhou@swu.ac.jp


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