・2026年のM&Aにおいて重要な領域は、テクノロジーの破壊的進展、地政学、ポスト・グローバリゼーションおよびポートフォリオ戦略の転換と予測
・M&AにおけるAI活用は2025年に倍増、3人に1人のディールメーカーがAIを体系的に活用、またはAI活用を前提とした業務プロセスの再設計を進めている
ニューヨーク―2026年1月27日
ベイン・アンド・カンパニーが発表した最新の年次調査「グローバルM&Aレポート2026」によると、世界のM&A市場は2025年に取引総額が40%増の4.9兆ドルに達し、過去2番目の高水準を記録しました。ベインが実施した300名のM&A担当幹部への調査では、80%が2026年に取引を維持または拡大すると回答しました。
■2026年のM&Aを形づくる要因
2025年には、テクノロジーの破壊的進展、ポスト・グローバリゼーション、利益構造(プロフィット・プール)の変化が企業経営に与える影響は大きく、ベインによると、2026年には企業は戦略やポートフォリオを能動的に再構築する段階へと移行し、M&Aがその重要な手段となる見通しです。
テクノロジー業界の取引の約半数はすでにAI関連を含み、AI人材や技術の獲得を目的としたM&Aは今後さらに加速、非テクノロジー企業でも、技術基盤の構築・強化に向けたM&Aが活発化しています。
また、地政学およびポスト・グローバリゼーションは、2026年以降のM&A戦略を引き続き左右します。2025年の関税ショックを通じ、モノ・資本・知的財産(IP)・労働の流れが地域単位で再編されています。
企業は、自社のグローバル拠点の一部に投資を集中させ、不利な地域への事業依存を最小化する動きを強めており、M&Aや事業売却はこうした再編を迅速に実行するための重要な手段となります。企業はM&A(事業売却やスピンオフを含む)を通じてポートフォリオの再構築を進める動きを強めています。ベインの調査では、半数超の企業が今後数年以内に売却に向けた資産準備を進めていると回答しており、集中と選択、資金の創出、現在の高いバリュエーションを活用したいという意図が背景にあります。
■M&AにおけるAI活用―価値創出を高める5つの活用領域
ベインの調査によると、2025年にM&AでAIツールを活用した経営幹部は45%と、前年から倍増、約3分の1のディールメーカーは、AIを体系的に活用、またはAI活用を前提として業務プロセスを再設計しています。ベインが分析した先進企業のM&AにおけるAI活用方法は以下が挙げられます。
・動的なM&Aパイプラインの構築
・外部視点(アウトサイドイン)分析の精度向上
・シナジー創出までの時間短縮
・統合(PMI)準備作業の最小化
・ステークホルダーに対する、より早期かつ深い洞察
■2026年に向けたM&Aの重点アジェンダ
ベインが提起する2026年のM&A戦略における重要なポイントは以下の通りです。
・新たな戦略環境に根ざしたM&Aの位置づけ
M&Aの選択肢や個別ディールが、最も魅力的な市場での競争力強化、必要な能力獲得、あるいは「自社が最適なオーナーではなくなった事業からの退出」に資するかを厳しく検証する必要があります。
・メガディールを確実に価値創出につなげる
2025年のメガディールで規模を拡大した企業は、価値創出を確実にすることが不可欠です。勝ち組企業は、統合仮説に基づき、取り組む施策の優先順位を明確にし、「どこで・いつ」統合・安定化・そして変革させるか、などを整理した上で、何から着手するかを判断することが求められます。
・デューデリジェンス(DD)で「フル・ポテンシャル」を見極める
資本制約が強まるなか、DDは単なるディール妥当性の確認ではなく、M&Aが最適な資本配分であるかを検証するプロセスとなります。仮説主導で厳格なDDを行うことが、買収経験の少ない企業が経験豊富な買い手と競争するための鍵となります。
・次の成長段階に向けたM&A能力の構築
今、M&Aのエンドツーエンドの能力に投資する企業は、価値創出への確信を高め、シナジーをより迅速に実現することが可能です。
・戦略的な資本配分の再設計
CAPEX、M&A、R&Dを含む中長期の資本計画を長期的視点で管理することが重要。また、M&Aの戦略的役割を投資家に対して分かりやすく示せるように、定期的な見直しが不可欠です。
■業界別の視点
本レポートでは、下記を含む13業界・10地域にわたる戦略的M&A動向を分析しています。
・銀行:2025年の銀行M&Aは取引総額2,120億ドルに急増。規制環境の改善、金融政策の追い風、成長を支えるための近代化ニーズが相まって、防御的取引から成長志向の取引へと環境が転換。スケールとスコープを併せ持つディールは、主にスケールまたはスコープに偏ったディールに比べ、評価面で約30%高い成果を示しました。
・石油・ガス:2025年に記録的な統合が進行。規模拡大、単位コスト削減、バリューチェーンのさらなる統合を通じ、原油価格低下から天然ガス需要の過去最高水準まで、幅広い環境変化への対応を図っています。過去10年で、上位20社が取引額の53%を占めるなど、集中が進んでいます。
・ソフトウエア:2025年はAI関連資産の買収が過去最多。テック取引の約半数がAI関連で、2024年の4分の1から大きく拡大しました。企業はM&Aを通じて製品能力の強化、人材獲得、イノベーションの加速を図っており、収益シナジーの重要性が一段と高まっています。
本レポートでは、自動車・モビリティ、銀行、建材、消費財、防衛、機械・設備、メディア、医療機器、鉱業、エネルギー・天然資源、医薬品、ソフトウエア、通信といった13の業界を対象に、戦略的M&Aの動向を分析しています。また、オーストラリア、ブラジル、カナダ、大中華圏、ユーロ圏、インド、日本、中東、英国、米国の10地域をカバーし、グローバルな視点から市場動向を整理しています。
■ベイン・アンド・カンパニーについて
ベイン・アンド・カンパニーは、未来を切り開き、変革を起こそうとしている世界のビジネス・リーダーを支援しているコンサルティングファームです。1973年の創設以来、クライアントの成功をベインの成功指標とし、世界40か国65拠点のネットワークを展開しています。クライアントが厳しい競争環境の中でも成長し続け、クライアントと共通の目標に向かって「結果」を出せるように支援しています。ベインのクライアントの株価は市場平均に対し約4倍のパフォーマンスを達成しており、私たちは持続可能で優れた結果をより早く提供するために、様々な業界や経営テーマにおける知識を統合し、外部の厳選されたデジタル企業等とも提携しながらクライアントごとにカスタマイズしたコンサルティング活動を行っています。
また、ベインは環境・社会・倫理における企業のパフォーマンス評価を行っているEcoVadisより、全企業の中でも上位1%に位置づけられるプラチナ評価を獲得しており、社会課題に取り組む非営利組織に対し今後10年間で10億ドル以上に相当する無償のコンサルティング支援を行うことを公約しています。
商号 : ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン・インコーポレイテッド
所在地 : 東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー37階
URL : https://www.bain.co.jp