●「超小型モビリティの認定制度」の壁
商品化を求める声が多かったにもかかわらず開発を休止した理由について、伊藤社長は「全国の公道を自由に走ることができないから」と説明する。壁になっているのは、現行の「超小型モビリティの認定制度」だ。
超小型モビリティとは、rimOnOやセグウェイ、電動キックボードなどのような、自動車よりコンパクトで小回りが利き、環境性能に優れ、地域の手軽な移動の足となる1人~2人乗り程度の車両を指す。超小型モビリティの認定制度は、こうした小型車両と他の車両が安全に走行できるように環境を整える役割を持つ。
現状、超小型モビリティは、観光地などのエリアに限って走行許可を得ることはできるものの、市町村をまたいで走らせることはできない。制度の検討は約10年にわたって行われているが、「なかなか前には進まない」(伊藤社長)という。
議論が進まない理由は、いくつか考えられる。例えば、大きな車両と衝突した際、小型の車両は大きな被害を受ける可能性があるから。速度の差で他の普通車両の交通を阻害してしまう可能性があるから、などだ。
結果的に、rimOnOを走らせるためには面倒な手順を踏む必要がある上、市区町村レベルの限られたエリアから出ることもできない。実際に使われるケースがごく一部に限定されてしまえば、当然ながら販売台数は少なくなり、事業としての収益化が期待できない。また、たとえ製品化したとしても、交通事情の改善という当初の目的を果たすのは難しい状況だ。ついには出資を募るのが難しくなり、やむなく休止になったのだという。
<% bcn_video1 %>
伊藤社長は「製品による地方の交通事情の改善が難しいなら、サービス面で改善していくことも考えた」と、乗り合いタクシーやライドシェアサービス、自動運転車両などのモビリティサービスの活用も検討したと話す。しかし、「実現したとしても、利用者が少なく赤字の事業では継続が難しく、結局、交通事情は改善しない」と懸念する。
「超小型モビリティに含まれるセグウェイや電動スクーターなどは、制度さえ整えば、家電量販店でも販売されるようになるかもしれない。実際に海外では販売されている。日本がいつ追いつけるのかわからないが、超小型モビリティが認められるためにも、啓発活動は続けていきたい」と語る佐藤社長。
制度が整った際にrimOnOの開発を再開するかは「未定」としているが、会社設立当初の理念である地方の交通事情の改善については、コンサルタントなどでサポートしていく。ただ、このまま凍結させるには、rimOnOは惜しい製品だと思う。
【関連記事】
事故被害を減らす柔らかボディの幻の車、「rimOnO」を実際に触ってみた!
キャッシュレス社会の盲点をつく 東急電鉄の券売機で預貯金引き出しサービス
LINE Pay、PayPay対抗で6月中ずっとキャンペーンか Payトク!!!第2弾やクーポン配布
店頭実演をネットで生中継、ビックカメラが新スタイルのライブコマース 現場で見た効果
「アンチゴージャス、アンチチープ」を実現した、“ちょうどいい”MUJI HOTELをいち早く体験