●画面の常時表示に対応、コンパス機能も内蔵
Apple Watch Series 5は2018年に発売されたSeries 4から見た目のデザインは大きく変わっていないが、実はハードウェアとソフトウェアの双方でますます便利な機能追加を果たしている。最も大きな進化は画面の「常時表示」ができるようになったことだ。
これまでのApple Watchは通常は内蔵バッテリーによる駆動時間を長くするためにディスプレイを消灯した状態を保ち、ユーザーが手首を返して画面をのぞき込む角度に変えた時に、本体に内蔵するセンサーが検知してディスプレイをオンにする仕様としていた。
Series 5では、ユーザーが画面をのぞき込まなくても常時ディスプレイに時刻のほか、コンプリケーションと呼ばれるユーザーが選択した日付やメール、アクティビティトラッカーなどApple Watchが対応するアプリへのショートカット、ならびにそれぞれの通知情報を表示できるようになった。
バッテリーの消耗をできる限り抑えるため、ユーザーが画面を見ていない姿勢になっていることを内蔵センサーが検知すると、画面の照度を下げて、文字盤内のべた塗りデザインのオブジェクトは輪郭線だけを描画するなど表示を可能な限りシンプルにする。ユーザーが手首を上げて画面をのぞき込むと、明るさを上げて見やすさ最優先の表示に切り替える。
電力効率の高いLTPO(低温多結晶酸化物)OLEDディスプレイを搭載。さらにディスプレイドライバーやパワーマネジメントIC、環境光センサーとそれぞれを統括するソフトウェアのアルゴリズムに見直しをかけて、システム全体としても省電力化を図った。こうしたさまざまな工夫で、内蔵バッテリーによる連続駆動時間はSeries 4と同じ約18時間を実現している。
ユーザーとしてはやはり使い勝手が大きく改善された手応えがある。
「設定」メニューから「画面表示と明るさ」を開き「常にオン」を選択すると、画面の常時表示をオフにして、従来モデルと同様に手首を返した時だけに文字盤を表示する仕様に変更もできる。ただ便利な常時表示を一度体験してしまうと、もう後戻りはできないだろう。
もう一つ、ハードウェアに由来するSeries 5の進化がある。それは本体に「コンパス」を内蔵したことだ。コンパスの機能はアプリ化されていて、文字盤上にコンプリケーションとして追加もできる。コンパスがあるとトレッキングなどアウトドアレジャーのお供としてもApple Watchがさらに活躍してくれそうだ。
さらにApple Watch用アプリにもなっている「マップ」がコンパスの情報を取り込めるようになったことも大きい。ユーザーが現在いる場所と、向いている方向もマップ上に表示ができるからだ。これでふだんの町歩きで道に迷う心配が減る。アップルではコンパスの機能を活かしたアプリをデベロッパーが開発できるようにAPIの公開も行っている。
●ウォッチ専用アプリが単独でダウンロードできる
Apple Watch専用のモバイルプラットフォームも「watchOS 6」にアップデートされた。iOS 13以降をインストールしたiPhone 6sよりも新しいiPhoneとペアリングした、Apple Watch Series 1以上の端末で利用できる。Apple Watchの使い勝手を最も大きく変そうなwatchOS 6の新機能は、App Storeが加わって、ウォッチ単独で専用アプリがダウンロードできるようになったことだ。
App Storeを開くと、アップルの専任エディタがセレクトした「watchOS 6のおすすめApp」などレコメンド情報のページが並ぶ。アプリの検索は音声入力にも対応するので、役に立ちそうなアプリが簡単に探せる。近くにiPhoneがなくても、単独でセルラー通信機能が使えるApple WatchのGPS+Cellularモデルなら、いつでも思い立ったときに必要なアプリをウォッチに加えられる。
筆者は計算機やボイスメモなど、仕事に使える実用性の高いアプリがApple Watchにも加わったことが心強く感じた。Apple Watchに内蔵されているマイクを使って、ユーザーの周囲を取り巻く環境騒音がリアルタイムに測定できる「ノイズ」アプリも面白い。聴覚にダメージを与えかねない80dB以上の大音量を警戒しながら過ごす習慣が身に付けられるなど、ヘルスケアツールとしても重要な意味を持っている。
Apple Watchは心拍センサーを内蔵するスマートウォッチなので、健康管理からアクティビティやワークアウトのトラッキングを目的とするアプリも利用できる。あらためてApp Storeの中を検索してみると、これらのカテゴリーのアプリが数多くリリースされていることがわかる。
●カスタマイズが楽しめる4種類のケースが登場
Series 5は従来のApple Watchと同様にベルトを交換してユーザーの個性を表現するファッションアイテムとしても楽しみ甲斐がある。ケースのサイズは44mm/40mmとして、Series 4から変更なし。Series 3以前のモデルに対応するバンドとの互換性も確保されているので、買いためてきたコレクションを活かし、コーディネートが楽しめる。
ケースの素材はアルミニウムとステンレススチールにチタニウム、そしてセラミックから選べる。セラミック以外のケースにはカラーバリエーションも用意する。鮮やかな輝きを放つチタニウムはプレミアム感が高く、物欲をそそられた。Apple Storeの店頭、またはオンラインショップではケースのサイズと素材、バンドの組み合わせをシミュレーションしながら好みを探せる「Apple Watch Studio」のサービスも始まった。
●いまスマートウォッチを買うなら「Series 5」がおすすめ
Apple Watchは2017年に発売されたSeries 3以降から携帯電話ネットワークにつないで単体で通信ができるセルラーモデルが登場後。独自の価値と魅力を備えたスマートデバイスとして飛躍を遂げたと筆者は思っている。例えば、Apple Musicで配信されている音楽コンテンツをウォッチだけで検索、AirPodsなどのワイヤレスイヤホンをペアリングして場所を選ばずに楽しめる機能はほかのデバイスにない魅力だ。スポーツと音楽を同時に心地よく楽しめる、ポータブル音楽プレーヤーの決定版としてもApple Watchはおすすめできる。
App Storeで配信されるアプリが増えれば、Apple Watchでできることや、育むことのできるクリエイティビティも広がるだろう。Apple Watchの買い換え、買い増しを検討している方、あるいはスマートウォッチ自体も使ったことがないという方の両方にSeries 5は良い選択になるだろう。最新モデル5と並行してApple Watch Series 3がお手頃な価格で継続販売されるが、筆者は今から買うなら格段に使いやすくなったSeries 5を頑張って手に入れるべきだと思う。(フリーライター・山本敦)
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