A社は、東京にある社員100人規模の中小企業。3月24日、2名の社員が取引先に打ち合わせに出かけた。1時間程度の通常の打ち合わせだった。その後、3月31日に取引先から「24日の打ち合わせに出席した者が新型コロナウイルスの陽性と診断された」とのメールを受け取った。メールによると、陽性と診断された人物は、24日の夜に発熱、数日様子を見ていたが収まらないため受診したところ、検査の結果陽性が判明したという。症状は発熱のみで、咳も鼻水も出ない状態。
24日の打ち合わせは、小さな事務所内で行われ、A社社員は2名ともマスクをしていたが、取引先の人物は最初はマスクをしていなかった。しかし、ほどなくマスクを着用、打ち合わせを開始した。食事を伴う打ち合わせではなかったが、A社社員はその場で出されたお茶を飲んだという。状況から、濃厚接触に当たるかどうか微妙なところだが、A社では2名を在宅勤務に切り替え様子を見ることにした。
打ち合わせからすでに1週間程度経過しているため、在宅勤務の期間は1週間後の4月6日までと設定した。4月2日現在、濃厚接触が疑われる2名の社員は何の症状も出ていないが、24日以降接触した社外の取引先の人に事情を説明、念のため気を付けるよう連絡した。社内では、連絡を受けた当日は社内打ち合わせも電話で実施するなどして対応。使用した共用機器などをアルコール消毒するなどした。A社は2名に対し、発熱や咳などの症状が出た場合に、「帰国者・接触者相談センター」に連絡し、判断を仰ぐよう指示している。
幸いA社は、2月26日に安倍首相が行ったイベント自粛要請などを受け、3月1日以降テレワーク推奨体制に移行していた。当該の2名の社員も、多少の障害はあるものの、テレワークができる状態が整っていた。
この事例がどこまで正しい対応かはわからないが、感染者との濃厚接触などがあった場合は、感染したことを前提にした行動が求められる。また、いつ、どこで感染するかは分からない状況になりつつある。当面できるだけ人との接触を避けることを考えたほうがよさそうだ。想像以上にウイルスの脅威は近づいている。(BCN・道越一郎)
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