低迷の要因は、コロナ禍によって生じた巣ごもり需要の盛り上がりと反して、同じくコロナ禍によって供給体制が崩れたり物流が停滞したりしているためだ。販売の低迷は特に昨年の5月以降で顕著。2019年1月の全CPU販売数を1とする指数では、20年6月に指数が一時2を超えるほど売り上げを伸ばしていたものの、21年5月では0.83とピークの半分以下に縮小している。
この1月の販売指数は0.98とやや持ち直したものの、3年前の水準に戻しただけで、世界的な需要の高まりに追いついていない。税抜き平均単価はジリ上げ基調。19年1月の3万1800円から、直近では3万2900円に上昇した。見かけ上はあまり単価上昇がみられないが、実際は主力のCPUのグレードが下がっている影響もあり、価格上昇が抑えられているというのが現状だ。
CPUの2大メーカー、インテルとAMDの動きをみると、インテルはほぼ一定水準で販売数を積み重ね、足元で若干販売を伸ばしている。一方AMDは、2020年の6月と12月に大きく売り上げを伸ばし一時インテルを大幅に上回った。
AMD躍進の原動力は、Ryzen 5シリーズだ。同社の売り上げがピークだった20年6月は、Ryzen 5シリーズの販売数シェアが40.4%を記録しダントツの売り上げを誇った。その後シェアの下落が続き、この1月では12.6%まで売り上げを落としている。変わってシェアを拡大したのがインテルのCore i5シリーズ。この3年の間15%前後のシェアで推移していたが、昨年夏以降売り上げを伸ばし直近では35.7%と大きなシェアを獲得している。一方上位モデルのCore i7シリーズは、3年前はシェア28.4%と売り上げトップだったものの、一時15%を下回るまでシェアを落とした。直近では25.0%まで回復しているが主力はi5シリーズだ。
昨年春ごろまでは、需要増に応えられずインテルのCPU供給が伸び悩んでいたところを、AMDのCPUがカバーするという補完関係が成り立っていた。しかし、昨年夏以降、その構図も崩れてきた。半導体不足は様々な製品の供給にも影響を及ぼしているが、CPUの供給不足による影響もまたしばらく続くことになりそうだ。(BCN・道越一郎)
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