●コンパクトで優秀なASシリーズ、価格も各家庭に導入しやすい手頃さ
ASシリーズの良さはなんといってもそのコンパクトさだ。小さくて軽い本体は長時間片手で作業しても疲れづらい。コンパクトにまとめるとどうしても使い勝手が損なわれがちだが、そのあたりは老舗のSTIHL、パワフルさも兼ね備えた仕様だ。他社製品と比較してみると、HSA26が絶妙なバランス感の上に成り立っていることが垣間見える。
ある会社の製品はコンパクトなものの、トリマー刃の長さが短く、作業に倍くらい時間がかかる。別の会社のものはパワフルだが、重量が1.8kgと2倍以上に。対してHSA26は人間工学に基づいた形状で、特にハンドルと刃の角度、刃とハンドルの段差が絶妙に使いやすい。
重さもバッテリーを含めて約1kgと軽いので、かなり実用的だ。もちろんバッテリーが小さめなので、ある程度の作業量をこなすには予備を含め3本くらい用意しておく必要がある。しかし、作業している間はすこぶる快適で、一旦これを使ったら別のものを使えないほどだ。
筆者は実際に月1回の緑化作業で使用しているが、HSA26とGTA26でかなり本格的な作業ができている。他の組合員から「どこで手に入るのか?」と頻繁に聞かれるほどだ。小さいのに使い心地は業務用、というのがASシリーズ最大の魅力だろう。
●プロ仕様のコンシューマー機、刃の形状にも注目したい
刃の形状も実は工夫されている。ミニトリマーはミニとはいいつつ十分な長さを確保。形状はプロツールと同じ水滴型形状刃を採用し、枝葉を刃の間にしっかり捉えられる。これにより、1回で確実にカットできるので往復も少なくなり、疲れずバッテリーも節約できる。緑化作業の折に女性にも使ってもらったが「これなら安心簡単に作業できそう!」とかなり好評だった。
一方、芝生カッターは伸びてはみ出てきた芝生のエッジの処理や狭い範囲の芝刈りに最適だ。こちらの切れ味も上々で、芝生以外に伸びてきている太めの雑草も問題なく刈ることができた。ミニトリマーよりさらに軽いので、芝生に限らずちょっとした剪定をしたい場合はこちらの方が取り回しが良い場合もあるだろう。
エッジの処理だけでなく狭い範囲なら芝刈り機としても利用できる。回転式の芝刈り機ではないので飛石の心配も少なく、隣家と近い自宅でも使いやすい。そしてさらにすごいのは、なんと延長シャフトという選択肢が用意されている点だ。これには本当に驚いた。ローラー付きのシャフトを装着すれば、立ったままの楽な姿勢で使えるようになるため、ある程度広い面積の芝刈りにも利用できる。シャフトの長さも95cmから110cmまで調整でき、取り付け角度は125°まで調整可能と痒いところに手が届く仕様だ。「そうそう、こういうのが欲しかったんだ!」と思えるオプション品で、さすがと言わざるを得なかった。
●GTA26同様、価格も含めて人気が出ないわけがない完成度
ここまで読んで「でもお高いんでしょ?」と思われた読者は驚くことなかれ。なんとこのスペック、完成度でHSA26の価格はなんと1万7600円だ。同様の工具と比較しても安い部類に入るし、アクセサリも同様に低価格。例えばバッテリーは3000円/本、上記の延長シャフトも7700円という手頃さだ。
GTA26を持っていればバッテリーは兼用できるし、充電器はそれぞれに付属してくるので二つ同時充電が可能になる。
●今後の広がりが非常に楽しみなASシステム
ここまで読んでお分かりように、ASシステムはプロ用の使用感を備えた低価格コンシューマーラインだ。チェーンソー然り、その実用性は他社のかなり上をいっている。今回のHSA26もそのラインにふさわしい完成度で、延長シャフトも非常に魅力的だ。電動工具を購入したことがない方は1万円を超えると高いと思われるかもしれないが、この機能性でこの価格は「絶対に買い」だと断言できる。戸建に住んで庭がある方は手入れの効率が格段にアップし、楽しくなるので必然的に頻度も高くなるだろう。
これから期待したいのはさらなる工具やアクセサリーの登場だ。特に二つ同時充電できるコンパクトな充電器や、ハンディーチェーンソーを高枝チェーンソーにできるアクセサリなどは熱望している。品薄なことから当面はSTIHL Shopのみでしか手に入らないのが難点ではあるが、探してまで購入する価値がある製品である。ウェブサイトに行けば最寄りのSTIHL認定ショップが検索できるし、近くにない場合も何店舗か電話してみると代引きで送ってくれる店舗もあるので、庭の手入れを毎年している方はこのタイミングでぜひ探してみてほしい。今後の展開が実に楽しみだ。
■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
記事と連動した動画でより詳しい内容、動画でしかお伝えできない部分を紹介しています。(動画配信時期は記事掲載と前後する可能性があります)
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