●10時間飛行の壁を越えろ! 意外と簡単な経験の積み方
ドローン申請を独自にやろうとした場合に直面するのが「10時間の飛行経験」という壁だ。DJI Campを受験する際の要件にもなっているため、どうしたらよいのか解説しておく。簡単にいうと「人や物がない私有地で飛行区域を制限して飛行」させれば初めてでもドローンを飛ばすことができる。
ドローン系の法律は一番大きいのが航空法、その下が小型無人機等飛行禁止法、その下が敷地の管理者による承諾となっている。つまり、航空法と小型無人機等飛行禁止法に該当しなければ敷地の管理者の許可があれば飛ばせるということだ。
ただし初心者の場合は飛行区域を制限した方が安全。万が一コントロールを失って敷地外に出てしまった場合は違法となるため、自宅の庭で飛ばす際などはドローンに付帯するジオ・フェンス機能を使うことが推奨される。GPSを使って特定の区域を出ようとすると停止するよう設定できるので安全だ。
また、こうした機能の設定がわからない初心者(ジオフェンスくらいは把握してから飛ばしたいものだが…)はシンプルにロープで係留する方法もある。庭の中心に杭を打ち、そこからドローンへ紐をつなげて特定の距離より先へは物理的に飛ばない状況を作れば問題ない。地方では庭でなくともこうした場所を見つけるのは容易だと思うので、ここで10時間練習をして申請やライセンス取得に臨むのが良い。
もちろん経験者がそばにいればなお良いので、10時間飛行までカリキュラム内にあるDJI Camp以外のスクールを選ぶのも良いだろう。
ちなみに都市部や集合住宅に住んでいて、こうした場所の確保が難しい方は地域の体育館を借りるのがおすすめだ。風の影響など、自然環境での練習ができないデメリットはあるが、屋内は航空法の対象外なのが明確だし、無人となれば事故も確実に防げるので安心できる。ただ、10時間飛行させるためには機種によるが少なくとも3本以上のバッテリと1週間以上の期間が必要なのは頭に入れておきたい。バッテリの数や期間が十分でない場合は素直にスクールで経験を積む方が良いこともあるだろう。
●取得しておいて損はなし! 空撮の魅力は公開して発揮される
もちろんここまで解説してきた方法も簡単ではないが、地方の大自然の中など、管理者の許可さえ出れば空撮できる場所が多いのも事実だ。ただ、綺麗に撮れた映像を個人でコレクションしておくだけの用途だという人は少ないのではないだろうか。せっかく撮った動画は何かしらのコンテンツにして公開したいという目的が多いだろう。
こうした場合、特にYouTubeなどで公開する場合においてはライセンス取得の経験が役立つ。登録者が1万人を超えたあたりからコメントへも「この空撮は許可を得ているのか」といった投稿が目立つようになってくるため、それらに的確に答えられる知識が求められる。DJI Campの講習を受けておけばこれらに間違いなく対応できるし、そうした用途を想定していれば講習時に質問することもできるだろう。
公開してはじめて発揮されるといっても過言ではない空撮の魅力。
●夜間・目視外飛行など広がる可能性
DJI Campでは通常の視覚に加え、夜間や目視外での飛行に関しても飛行形態の追加という選択肢も取れる。例えば、日の出前から上空でスタンバイし、太陽が昇る瞬間をおさめたいなどのニーズはあるだろうが、通常、日没から日の出までの期間は「夜間飛行」に分類され、ドローンでの撮影が難しい。
また、目視でドローンが見えなくなってしまうような飛行に関しても許可が必要な現状があるが、SEKIDO社のDJI Campでは2019年からこうした用途を想定した追加講習を行なっている。これを受けることによってライセンスに「夜間飛行」「目視外飛行」「危険物輸送」「物件投下」の項目が追加され、これらの飛行形態に対応しているパイロットの技能証明として活用ができるようになるのだ。
これらの追加項目は通常受講すると高額になったり、夜間・目視外飛行のみだったりするため、この価格で追加講習が受けられるのはありがたい。また、DJI公式の資格であることから前編で書いたように今後免許制になった際の措置にも期待ができる。免許制施行後は施行前の取得者との扱いに差が生じる可能性もあるので、免許取得まで考えている方は今年中に取得を検討するのが良いかもしれない。
●今どこで飛ばせるのか、免許で何が変わるのか
2回に渡って解説してきたが、最後にどこで飛ばせるのか、今後何が変わるのかをまとめておきたい。まず現状で一般の人が飛ばせる場所だが、簡単にいうと「地方で大自然の中、その土地の管理者の許可が取れる場所で高度150mまで」だ。例えば山や森、国立公園などの場合はそれらを管理する地方公共団体や森林管理局、公園管理局に連絡し許可が取れれば特段の申請が要らないことになる。
逆に申請が必要なケースは主に都市部での飛行。住宅地や都市部に関しては基本的にDID(人口集中地区)に指定されており、申請なしで飛ばすことはできない。また、こうした地域においては航空法だけでなく、小型無人機等飛行禁止法や飛行区域内にある建物などすべての管理者の承諾も必要な点にも注意が必要だ。
上記のような煩雑さを考えると都市部で飛行させるのはかなりハードルが高い。こうしたデメリットを解決するのが免許制だ。現状では免許を取得している者はこうした申請を省略して都市部でもドローンを飛行させられるようになる予定だ。したがって都市部での撮影が多くなりそうなユーザー・事業者や宅配など目視外でドローンを飛ばす予定がある事業者は免許取得に動くことになるだろう。
筆者は撮影の仕事上メリットが大きいため、今後DJI Campでの追加講習や免許取得も考えている。ただ、そこまで頻度が多くない場合はルールをしっかり把握しておけば全く飛ばせないわけではない。本記事が読者のニーズに合わせてドローンを活用する参考になれば幸いだ。
■Profile
木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。
普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。
【新きむら家】
https://www.youtube.com/rekimuras
記事と連動した動画でより詳しい内容、動画でしかお伝えできない部分を紹介しています。(動画配信時期は記事掲載と前後する可能性があります)
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