21年12月、ドライブレコーダーの販売前年比は台数で86.2%、金額でも84.4%と2桁割れ。以降、22年6月に台数59.0%、金額58.7%まで落ち込んだのをピークに、10月までは前年割れが続いていた。しかし、年末商戦を控えた11月から12月、久々に前年を上回った。平均単価(税抜き、以下同)も上昇。21年12月の1万6700円から22年12月には1万8100円と8%値上がりした。一方で、主要機能の搭載率を見ると、例えばリアカメラでは21年12月は72.0%だったのに対し、22年12月は73.5%とわずかに搭載率が上がっただけ。逆にGセンサーや、音声記録機能、GPSなどの各種搭載率はこの1年で低下している。全体が値上がりしている状況ではあるものの、コロナ禍から脱しつつある環境が販売を押しあげているようだ。
メーカー別の動きを見ると、この1年で大きくシェアを拡大させたのがコムテック。21年12月の30.1%から22年12月には49.1%と躍進した。逆にJVCケンウッドは29.9%から16.1%へと大幅にシェアを失った。シェア差が開いた大きな要因はJVCケンウッドが4月に実施した値上げだ。例えば、主力製品の「DRV-MR450」の平均単価は3月では1万3000円だったが、4月には2.9%上昇、6月には1万6600円と27.7%も上昇した。メーカー全体の平均単価でも、コムテックはおおむね21年3月の水準を下回って推移している。一方で、JVCケンウッドは、7月には3月比で28.6%も上昇。落ち着いてきた12月でも8.7%高いままだ。
コロナ禍はほぼ終息を迎えつつあるものの、今度は円安やインフレが市場を襲っている。調達価格の上昇で値上げを余儀なくされる事態は、どのメーカーにとっても頭が痛い問題だ。さらなるコストダウンによる価格の維持や値上げのタイミングといったインフレ対策は、当面、シェア獲得の重要なポイントになりそうだ。(BCN・道越一郎)
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