【学び直しとしての大学院~社会人3年目からのリスキリング入門~・3】 連載第3回目となる今回のテーマは「大学院・研究室選び五つのポイント」です。大学院への進学を具体的に考え始めたら、まずは自身に合った大学院・研究室(教員と学生が特定のテーマについて研究を行うゼミのような組織)を探すことからスタートするのが一般的です。
その際、大学院は学部の一般選抜と違い、「偏差値」が存在しません。そのため、模試の成績を判断基準にマッチする志望校を選ぶようなアプローチを取ることはできません。では、一体どのようにして大学院・研究室を選べばいいのでしょうか。

●ポイント1:研究内容
 ポイントの一つめは「研究内容」です。大学院に進学する理由を問われ、「リスキリングのため」と答える人がいます。しかし、それは目的ではなく、あくまでも「手段」です。また、人によっては大学の知名度やブランド力も選定基準の一つに含まれるかもしれません。しかし、最も重要な視点はその大学院・研究室に入って何をしたいか、何ができるのか。すなわち、「研究内容」であることを忘れないでください。
●ポイント2:外部生の比率
 二つめは「外部生の比率」です。研究は分野を問わず、1人で完結することはありません。必ず仲間と協同して進めます。
そのため、研究室の「雰囲気」は大切です。また、指導教員によって研究の作法も異なります。内部生がほぼ10割を占めるような研究室に「ポツンと一人だけ新参者が……」といった場合、円滑な研究活動が難しいことも考えられます。入試の段階でも厳しく選抜されるはずですので、事前確認が不可欠です。
●ポイント3:社会人学生への配慮
 三つめは「社会人学生への配慮」です。大学院に入学したものの思っていた以上に多忙な日々。結局、退学を余儀なくされる人は少なくありません。大学院によっては、社会人学生が無理なく研究活動を継続できるように支援制度を整えているところもあります。例えば、「開講科目の夜間受講」「修業年限や単位数の調整」など、仕事との両立を考えている人であれば重要なチェックポイントといえるでしょう。
●ポイント4:選抜方法
 四つめは「選抜方法」です。当然ですが、大学院にも入試があります。ただし、入試合格は目的ではなく、「手段」です。
手段は最適な選択をすべきです。例えば、普段からビジネスレベルで英語を使っている人は、それを生かせる選抜方法を選ぶべきでしょう。「書類選考+面接」で決まるのか、筆記試験も課されるのかなど、大学院によって選抜方法は異なります。最新の募集要項を確認して合理的な選択をしましょう。
●ポイント5:学費
 五つめは「学費」です。言わずもがな大学院に合格できても学費を支払わなければ通学できません。初年度の費用は、入学金、授業料に加え、その他、施設費、教科書代などがかかります。国立か私立によっても費用額に差はありますが、例えば、同じ私立でも入学する研究科によって総額に大きな開きがあります。費用に関する情報はHPに掲載されています。大まかな目安を知る上でも事前にチェックしておくことが大事です。
●適した大学院・研究室が見つかるはず
 いかがだったでしょうか。これらの視点を意識することで、きっとあなたに合った大学院・研究室が見つかるはずです。
大学ホームページやパンフレットを確認するだけでなく、指導希望教員にアポを取って直接話を聞いてみることもおすすめです。ぜひ、参考にしてみてください。(志樹舎・小杉樹彦)

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