取材・文/ 谷畑 良胤、写真/ 南雲 亮平
JXBは、社会人アメリカンフットボールリーグ「Xリーグ」の「イースト」「セントラル」「ウエスト」の各ディビジョンでレギュラーシーズンを戦い、上位6チームとワイルドカード2チームがポストシーズンに進出しトーナメント戦を繰り広げ、上位2チームが対決して年間チャンピオンを決める大会だ。2014年に行われたJXBでは、富士通フロンティアーズが、44対10の大差でIBMビッグブルーを破っているだけに、IBMの雪辱にも陣営の期待が高まっていた。
東京ドームは、野球でいう1塁側にチームカラー別に“赤い富士通”、3塁側に“青いIBM”の集団が応援に駆け付けた。IT業界では、富士通販社を俗に「富士通系」、IBM販社を「IBM系」と呼ぶが、恐らく両社の応援団として、両系統の販社が双方で応援に熱を入れたに違いない。
週刊BCNでは、タイミングよく直近号で、富士通フロンティアーズ顧問の濱場正明氏(https://www.weeklybcn.com/journal/hitoarite/detail/20171211_159864.html)と、IBMビッグブルーのプレースキッカー(フィールドゴールなどを蹴るポジション)である小田倉彦氏(https://www.weeklybcn.com/journal/face/detail/20171208_159863.html)を取り上げている。小田倉氏は、第2クオーターに絶妙なキックを披露した。この記事を並行して読むことで、このあとの記事に面白みが増すことだろう。 前半、第1クオーター(1Q)で先制したのは、富士通。キックオフ14秒で、猪熊星也のキックオフリターンが決まり先制タッチダウン(TD)。トライフォーポイント(TP)も決まり7点。
1Q終了段階で、IBM陣営には2014年の大敗の悪夢が蘇る。2Q開始から富士通が押し気味も、IBMも負けずディフェンスが踏ん張り、ターンオーバーなどでなんとか自陣を取り返す。1980年後半のオフコン市場を見ているようである。IBMは攻めあぐねる中、敵陣でフィールドゴール(FG)をねらって決まり3点を返した。しかし、その数分後に富士通がQBのコービー・キャメロンの見事なロングパスで、WR中村輝晃クラークがうまく捕球しTDを決め、また、前半終了4分前にも、富士通がIBMからインターセプトしてそのままTDし突き放す。それでも、終了間際にIBMは、FGを決め、前半は、35対13の富士通リード。勢いが富士通のまま終了した
試合をライブで観戦していた方は、なにも面白くないだろうが、続けて、後半の3Qをリポートする。
4Qは、開始2分もたたずに富士通のQBキャメロンが自ら持ち込みTDで、さらに差を広げた。このあとは、富士通の一方的なゲーム展開になった。IBMの応援席からは、帰宅の途につく人が増える。それでも、ギャンブルプレー満載のゲームだったが、両チームの全力投球は変わらない。だが、冒頭にも前述したが、最終的には、63対23で富士通が圧倒した。
勝利インタビューで藤田智ヘッドコーチは、「このゲームまでに特別な準備はしていない。今年も苦しかったので、まさかここまでくるとは思わなかった」と、リーグを含め戦績を振り返った。また、MVPになったWR中村輝晃クラークは、「シーズンを通してオフェンスがうまくいかないことも多かったが、今日は富士通のオフェンスを出せた。(ライスボウルは母校日大との対戦で)いろんな思いがあるのでうれしいし、とにかく頑張る」と、嬉しさを身体であらわした。
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