BCNがDTM関連機器に分類する製品は、大まかに二つの系統が混在している。一つは鍵盤やドラムパッドなど、PCを使って音楽を奏でる際に用いるMIDIコントローラ。もう一つは、マイクなどの音をPCに取り込む際に使用するオーディオインターフェイス系の製品。MIDIコントローラは、多種多様の製品があるものの販売数が比較的少ない。オーディオインターフェイス系の製品は、限られたラインアップながら販売台数が勝る。MIDIコントローラがほぼ音楽用途に限られる一方、オーディオインターフェイス系の製品は音楽用途ばかりでなく、音声を取り扱う幅広いユーザーが対象であるためだ。
コロナ禍ではオンライン会議需要が急速に立ち上がり、マイクの音声をPCに取り込む用途として、一気にオーディオインターフェイスのニーズが高まった。人気が高かったのがヤマハのAGシリーズ。特に、マイク1本とその他の機器2台を接続できるAG03の売り上げが好調だった。コロナ禍の終息とともに需要が落ち着きを取り戻した後も、新製品の登場などで一定の需要は維持してきた。
現在のトップシェアメーカーはinMusic Japan。AKAIやAlesisなど音楽制作系ブランドを数多く抱え、M-Audioなどオーディオインターフェイスにも強いブランドも擁する。同社はMIDI系にもオーディオインターフェイスにも強く、この1年、高いシェアを維持しトップを走り続けている。11月現在の売れ筋は、M-Audioブランドの32鍵キーボード「KEYSTATION MINI 32 MK3」。平均単価5000円前後と手ごろなのが受けて、コンスタントに売れ続けている。同ブランドのオーディオインターフェイス「M-Track Duo」も6000円前後の手ごろな価格で売れており、同社のシェアを支えている。ヤマハがシェアを大きく失った昨年末以降は独走状態だ。
ヤマハの「AG03MK2」(左)とオーディオテクニカの「AT-UMX3」
こうしたinMusic Japanとヤマハの間に割って入ってきたのが、オーディオテクニカだ。同社はヘッドホンやマイクなどで知られるオーディオメーカーの老舗。
この勢いのおかげで、DTM関連機器市場全体にも活気が戻りつつある。10月の販売前年比は台数107.1%、金額も112.1%。15カ月ぶりに台数と金額が揃って前年を超えた。
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